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#わたしとラジオ📻️【見えない声が私の毎日を彩る】女性2人の会話の物語💡

    あなたは、最近いつ「想像」しましたか?


    YouTubeを開けば、すぐに映像が流れてくる。

    ショート動画なら、数十秒で次の世界へ連れていってくれる。


    便利で、楽しくて、私も大好き。


    でも、ふと思うことがある。


    見えないからこそ、

    想像できるものもあるんじゃないだろうか。


    ラジオには、顔がない。


    聞こえてくるのは、誰かの声と音楽。

    そして、ときどき届く、ちょっと笑ってしまうラジオネーム。


    「この人、どんな人なんだろう?」


    何度も聞くうちに、

    顔も知らない誰かが、

    いつの間にか身近な存在になっていく。


    夜、ひとりの部屋に流れる「こんばんは」。


    その声があるだけで、

    静かな闇が少しやわらぐ。


    ラジオは、

    何かを見せてくれるものではなく、

    私たちの中にある「想像」をそっと動かしてくれるものなのかもしれない。


    これは、

    そんなラジオと過ごした、

    ある二人の女性の小さな会話。


    そして、あなた自身の中にある

    「想像する時間」の物語です。

    #わたしとラジオ
    コンテスト応募作品📻️


    わたしとラジオ


    「ねぇ、ラジオって聴く?」


    仕事帰り、カフェの窓際で向かいに座った友人が、突然そんなことを聞いてきた。


    「え? ラジオ?」


    「うん。最近、また聴き始めたの」


    「珍しい。YouTubeとかじゃなくて?」


    「そう。ラジオ」


    彼女はそう言って、少し笑った。


    「何がそんなに面白いの?」


    「うーん……」


    彼女はコーヒーをひと口飲んで、少し考えた。


    「想像できるところ、かな」


    「想像?」


    「そう」


    「顔が見えないから?」


    「それもある」


    「それだけ?」


    「ううん。むしろ、顔が見えないから面白いの」


    私は、少し首をかしげた。


    「例えばね、ラジオネーム」


    「ああ、あの投稿するときの名前?」


    「そう。たまに、めちゃくちゃ面白い名前の人いるでしょ?」


    「いるいる(笑)」


    「それでね、何度も投稿してる人がいるの」


    「常連さん?」


    「そう。毎週のように名前を聞くの」


    「へぇ」


    「するとね、だんだん、その人のことを知ってるような気がしてくるの」


    「でも、会ったことないんでしょ?」


    「ないよ」


    「顔も?」


    「知らない」


    「年齢も?」


    「知らない」


    「どこに住んでるかも?」


    「知らない」


    「じゃあ、何を知ってるの?」


    彼女は笑った。


    「……名前と、言葉だけ」


    私は思わず笑った。


    「それだけで?」


    「それだけだから、想像するの」


    「どんなふうに?」


    「この人、きっとこんな顔で笑ってるんだろうな、とか」


    「うん」


    「たぶん、ちょっと照れ屋なんだろうな、とか」


    「勝手に?(笑)」


    「勝手に(笑)」


    「じゃあ、全然違う人かもしれないよ?」


    「もちろん」


    そう言って、彼女はまた笑った。


    「でも、それがいいの」


    私は、その言葉が少し気になった。


    「それがいいって?」


    「答えがないから」


    「……あぁ」


    「顔が見えたら、それで終わることってあるじゃない?」


    「たしかに」


    「でもラジオは、声しかない」


    彼女は窓の外を見た。


    「だから、その人の姿を想像する時間が生まれるの」


    私は黙って聞いていた。


    「そういえば私も、いつも同じ名前を聞く人いる」


    「誰?」


    「えっと……『洗濯物は明日にたたむ』さん」


    「なにそれ(笑)」


    「でしょ(笑)」


    「絶対、ズボラな人じゃん」


    「私も最初そう思った(笑)」


    「でも?」


    「何回か投稿を聴いてたら、なんか違う気がしてきた」


    「どんな人?」


    「たぶん……忙しいお母さん」


    「なんで?」


    「投稿の内容がね、いつも家族の話なの」


    「へぇ」


    「子どもが学校でこんなこと言ったとか、旦那さんがこんなことしてくれたとか」


    「じゃあ、洗濯物も本当に明日まで放置してるのかな」


    「どうだろう(笑)」


    「でも、なんかいいね」


    「うん」


    私たちは、顔も知らない一人の女性について、勝手に想像していた。


    その人が笑っている姿。


    夕飯を作っている姿。


    洗濯物をたたみながら、ラジオを聴いている姿。


    会ったこともないのに。


    知らない人なのに。


    なぜか少し、近くに感じた。


    「ねぇ」


    彼女が静かに言った。


    「私、夜にラジオを聴くのが好きなんだ」


    「夜?」


    「家族が寝たあと」


    「ひとりの時間?」


    「うん」


    「寂しくない?」


    彼女は少しだけ考えてから答えた。


    「昔はね」


    「今は?」


    「ラジオをつけるの」


    私は何も言わなかった。


    「部屋は静かなんだけど、ラジオから声が聞こえてくるの」


    「うん」


    「『こんばんは』って」


    彼女は、その言葉をゆっくり口にした。


    「それだけで、なんか……ひとりじゃない気がするんだよね」


    その瞬間、私はラジオというものを、少し違う角度から見た気がした。


    画面はない。


    映像もない。


    次から次へと情報が流れてくるわけでもない。


    ただ、誰かの声がある。


    そして、その声の向こうにいる誰かを、私は想像する。


    笑っているのかな。


    今、どこにいるのかな。


    今日はどんな一日だったのかな。


    そんなことを考えているうちに、時間がゆっくり流れていく。


    「今ってさ」


    私は言った。


    「動画とか、短いものがいっぱいあるじゃない?」


    「うん」


    「一瞬で楽しめるし、便利だよね」


    「うん。私も見るよ」


    「私も」


    二人で笑った。


    「でも……」


    私は少し間を置いた。


    「想像する時間って、減ったのかもしれないね」


    彼女は、何も言わなかった。


    ただ、ゆっくりうなずいた。


    「全部見せてもらえるからね」


    「うん」


    「顔も、景色も、答えも」


    「だから、想像しなくてもわかる」


    「でもラジオは?」


    「わからない」


    「だから、想像する」


    私たちは、顔を見合わせた。


    「なんか、不思議だね」


    彼女が笑った。


    「何が?」


    「見えないものって、こんなに想像できるんだね」


    「うん」


    「むしろ、見えないからこそ、広がるのかも」


    その言葉が、胸に残った。


    店を出るころには、外はもう暗くなっていた。


    「じゃあ、またね」


    「うん。またね」


    私は家へ向かって歩き始めた。


    夜道。


    街灯。


    車の音。


    遠くの踏切。


    そして、イヤホンから聞こえてくるラジオの声。


    「こんばんは。今日も一日、お疲れさまでした」


    私は足を止めた。


    なぜだかわからない。


    でも、その一言が、今日の私には妙に沁みた。


    しばらく歩いてから、ふと思った。


    そういえば、あのラジオネームの人。


    今日は投稿しているかな。


    いつもの名前が聞こえたら、きっと私は笑う。


    そして、また想像する。


    どんな顔をしているんだろう。


    どんな声で笑うんだろう。


    今夜も、どこかの部屋でラジオを聴いているのかな。


    そんなことを考えながら歩く。


    顔も知らない。


    声も知らない。


    会ったこともない。


    それでも、


    いつの間にか、少しだけ身近な人になっている。


    ラジオって、不思議だ。


    闇の中に、音がある。


    音の中に、声がある。


    声の向こうに、誰かがいる。


    そして、その誰かを想像する時間がある。


    もしかしたら、


    想像することは、

    見えない誰かと出逢うことなのかもしれない。


    家に着いた。


    部屋の明かりをつける。


    そして私は、いつものようにラジオをつけた。


    「こんばんは」


    「……こんばんは」


    今度は、声に出して返してみた。


    画面のない夜。


    答えのない時間。


    それでも、心の中には少しずつ景色が広がっていく。


    今日も、いつもの一日だった。


    だけど、


    ラジオがあるだけで、

    いつもの暮らしに、少しだけ色が増えた。


    そして私は、まだ知らない誰かのことを想像しながら、


    静かな夜を楽しんだ。


    今日の気付き💡


    見えないからこそ、想像できる。


    便利な時代になって、

    私たちはたくさんのものを「見る」ことができるようになりました。


    顔も、景色も、答えさえも。


    でも、すべてが見えることで、

    いつの間にか「想像する時間」が少なくなっているのかもしれません。


    ラジオは、顔が見えない。


    だから、


    「この人、どんな顔なんだろう?」


    「どんな場所で聴いているんだろう?」


    「このラジオネーム、どんな人が考えたんだろう?」


    そんな小さな想像が生まれる。


    そして、その想像の中で、

    会ったことのない誰かが、

    少しずつ身近な存在になっていく。


    もしかするとラジオは、


    音を届けるメディアであると同時に、

    想像する時間を届けてくれるメディアなのかもしれません。


    画面から離れて、

    耳を澄ましてみる。


    見えないものを、

    少し想像してみる。


    そんな時間が、

    忙しい毎日に心の余白をつくってくれる。


    今夜は少しだけ、

    ラジオを聴いてみませんか?


    あなたの知らない誰かが、

    どこかで同じ夜を過ごしているかもしれません。

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    人の心や感情を言葉にする人😊 「リード導入→物語→今日の気付き」で、 日常の「なんで?」を物語にしています。 毎日更新🆙2回✨️ 朝6時.夜19時〜20時 2000文字 5分で読める物語。 「これ、言葉にできる?」 そんな相談から、新しい物語が 始まります🫶

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