
アニメ版、実写版「ルックバック」タイトルの意味と隠しテーマはどう表現されたか
前日、友人から電話がありました。
友「ルックバックのnote記事読んだよ」
私「お気に召しまして?」
友「想像の倍、酷い文章でワロタ」
私「だから嫌と言ったのだ、友よ」
友「すぐアニメ版、実写版の感想も書きなよ」
私「記憶違いとかあったら炎上するからヤダ」
友「前に聞いたあんたの感想の要点を、気にしながら今、実写版観たよ。アニメ版もAmazon primeで監修するから記憶ある内にすぐに書いて送って、またしゃぶ葉おごるから」
私「ワン!ワン!(合点です、やらせて下さい)」
友「あと、『チェーンソーマン』じゃなく、『チェンソーマン』な!ファンじゃない事が伝わる味になってるから直さないで」
私「キャイーン!?(恥をさらせと!?)」

注意、漫画版、実写版、アニメ版「ルックバック」ネタバレ記事かつ、前回のnote記事
「ルックバック」タイトルの意味と隠しテーマ
の続編です。
先に前回の記事を読んで下さい。
私はアニメ版、実写版共に
映画館に行った理由は
①タイトル「ルックバック」は「背景も見て」
(漫画は背景もちゃんと見て)
②隠しテーマの「成人式」
(漫画家が一人前になる瞬間)
媒体が漫画だからこそ自分が受け止めれた
2つのテーマを映画ではどう表現したか
知りたかったから。
③加えて
「雨に唄えば」、「ショーシャンクの空に」
「インターステラー」等、漫画だから「オマージュ」で済まされた名作映画シーンは、映画でやったら「パクリ」騒動になりそうなので監督はどうするか知りたかったから。
まずは2024年7月5日TOHOシネマズ上野で観たアニメ版

漫画版から気になった変更
①オープニングから主人公の名前がネタバレしている。(赤いネタ帳の表紙)
②藤野が小4〜小6の時、絵の勉強をするための本を買うのだが、本のタイトルが変更
漫画版で「基礎から身につくはじめてのデッサン」という、絵描きにはまあまあ有名な実在の本が登場する。これは新しい本のため作中の時代設定には存在しない本だが、そんな事は絵描きあるあるなので漫画版ではスルーしてたら、アニメ版ではタイトルを微妙に変えた架空の本になっていた。私はフィクションに時代検証を絡めるのが嫌い(2020年の日本描写でマスク付けてない!リアルじゃない!とか嫌)なので、ここで悪い予感がした…
③カレンダーの月が意図的に読めなくされてる
(エンディングのアニメ版オリジナル追加シーンを除く)
残念だけど映画だと日付け検証とか無理だから仕方ないよねー
④雪のコンビニ、「メタルパレード」が準入選
誌面に書かれたコンクールの回数
原作→第440回
アニメ→第400回
アニメ版が前にずれてる、何で?
⑤京本が死んだ日の2年ずれ
原作(ナレーションにて)
2016年1月10日
アニメ(藤野のスマホにて)
2014年1月10日(金)
京本の美大合格通知書
原作→2012年度
アニメ→2010年度
⑥京本が読む背景美術の本
原作→表紙が描写されないので特定できない
アニメ→架空タイトル「背景美術の世界」という黒い表紙の本
映画のエンディング、泣いている人もいたが、私はモヤモヤでいっぱいだった。
映画館を出て、蒙古タンメン北極を食べながら私は悩んだ。
なぜ2年ずらした?は、すぐにピンときた。
こういう変更は、コロナマスクみたいにリアルとの整合性がつかなかった時だ。
原作でリアルとリンクしてるのは、京本が通う大学として作中ニュース映像で流れる「東北芸術工科大学」。
アニメでは京本が死んだ日を
2014年1月10日(金)と曜日まで表示していた。
ひょっとして?と、原作で京本が死んだ日を
スマホカレンダーで見ると2016年1月10日は日曜日だった…
あちゃー、日曜日だと話がおかしくなる。
成人の日は1月11日(月)でも、実際の成人式は前倒しの日曜日に行われる事が多い、京本が死んだ日が2人の成人式の日になると話に無理が出る。
さらに日曜日に京本が通学した事になる。
不自然ではないが、大学は特定の土日が入構禁止期間になったりするので完璧に事実に即したいならやめた方が無難な設定だ。
あと、東日本大震災が2011年3月11日だから、原作の2012年度AO入試ってのは何かしらの矛盾があると後から分かったからかもしれない。
藤野の部屋の本のタイトル変更を含めて、時代検証されてるアニメ版は凄い!リアル!
なんては思わず、ただ窮屈に思えた。
「フィクションですからー!」と叫びたかった。
そしてアニメ版は、原作で私が感じた
「ルックバック」→「背景も見て」
「隠しテーマ」→「成人式」
に、結びつかなかった。
しっかり見ればまた違うかも知れないが、藤野がアシスタントに不満を漏らしたがごとく、当時の私は友人に「アニメ版、もやもやした」と愚痴った。
からのー、実写版 感想
こちらも気になった変更点から
①アニメ版よりさらにオープニングから主人公のフルネームをアピール
名札にフルネームとかやりすぎでは…
アニメ版もだけど、
藤野歩→藤本キョウ→藤野歩
の変化を強くアピールしたかったのかな?
②アニメ版で変更された本のタイトル
「基礎から身につくはじめてのデッサン」は
原作版と同じ実際の物になってた。
短い時間なので、一字一句同じかは不明。
私は今も持ってるので、間違いないとは思う。
③カレンダーは確認できる。アニメ版と同じ2年前設定
初出は多分、6年生の時、藤野が姉から空手に誘われるシーンで7月で1日が金曜日だったので、2005年7月だと計算できる。
④雨の中、舞う藤野
これは表現抑えめ、やはり実写映画で、実写映画のオマージュって無難になるよね。
アニメ版の方が良かった。
⑤雪のコンビニ、「メタルパレード」が準入選
誌面に書かれた藤本キョウの年齢
原作、アニメ→13歳
実写→14歳
これはどうして変更されたか分からない
小学卒業時から描いていた「メタルパレード完成に1年かかった」とセリフがあるが、ジャンプの賞の発表期間を合わせても、13歳でもおかしくない気がするのだが。
⑥大学襲撃ニュースの前に流れる「成人式の準備が行われてるニュース」
カレンダーでのしかけが成立しにくい実写版では、ダイレクトに成人式直前を伝えている。安直な表現だけど、これは原作版のファンサービスだと思う。
⑦京本が読む本が、となりのトトロ美術監督の「男鹿和雄」の背景画集。
ラストに京本の部屋にあるのは、藤野の漫画、ポスター、4コマではなく、藤野と一緒に行った場所の風景画と、となりのトトロのDVD。
これが凄い変更で、原作やアニメで京本は
中学の雪の日、
藤野「漫画を連載できたら超作画でやりたい」
京本「私は描くのか遅い」
藤野「画力が上がれば早くなる」
京本「もっと絵ウマくなるね!」
高校時代、連載が決まって2人が別れる時
京本「もっと絵…上手くなりたいもん…」
という「藤野のため絵が上手くなりたい」ともとれる発言をしているのだが、これが実写版では、「超作画でやりたい夢」ではなく「アニメ化が夢、アニメ背景の勉強する」に置き換わってるのだ。
「男鹿和雄」を美術の巨匠ではなく、ジブリの背景描いた人って捉えられると、俗でミーハーっぽく見えるこの変更にガッカリした人もいるかも知れないが、私は大賛成だし「背景を見て」の実写版の解釈として、アニメ版よりはるかに好きになった。
そもそも、藤野の夢「超作画」が京本ありきだし、漫画家として不自然なセリフと感じていたってのもある。(私だったら「デジタル作画にも挑戦したいよね」って言います)
なにより私はアニメ版では泣かなかったのに、実写版では泣いた。なんなら原作版よりも。
だって、死んだ友達の部屋にいったら、
「自分の単行本が置いてあった、
自分を影から応援してくれてた。」
っていう母親的な応援よりも
「自分と一緒に行った場所の背景を描いて、
自分のアニメ化の夢のために頑張ってた。」
っていう友達的な応援の方が感動しませんか?
きっと実写版監督は、同じ結末なら意味ないと思ったんじゃないかな?
原作が漫画特化の表現、結末なのだから、原作に合わせるのは悪手だと私なら思う。
途中までほぼ同じで、ラスト手前を変えて、違う展開で感動させるなんて凄すぎます。
素晴らしい作品をありがとうございます。
100てーん!
