
ハロウィン夜ふかし相談所・待合室編|本日は大変混み合っております。 | ハロウィンアート2026
こんばんは
IT現場の効率家 デジさしみです🍣
今日は2投稿目!!
KITAcoreさん主催の「ハロウィンアート2026」!
ハロウィンアート2026 展示サイト
前回の話の番外編です。
それでは、相談所を開けましょう🎃
日が暮れると、商店街は一気にお祭り騒ぎになりました。
軒先にずらりと並ぶかぼちゃのランタン。
お菓子の袋を振り回して走る子どもたち。
魔女の帽子、
コウモリの羽、
包帯、
マント。
どこまでが仮装で、
どこからが本物なのか、
もう誰にも分かりません。
その人波が、
なぜか丸ごと小さな相談所に流れ込んできました。

デジさしみ:「待って待って、開店前だよね!?」
シオン:「開店前です。鍵も閉めていました」
骸骨:「ごめーん! 鍵穴、骨でちょちょいっと開いちゃった!」
デジさしみ:「それ、ピッキングじゃない?」
待合室は大混乱でした。
ミイラさんの包帯は椅子の脚に絡まり、
狼男さんは窓の外の月を確認しながら
スクワットを始めています。
黒猫さんはカウンターの真ん中を陣取り、
ジャック・オー・ランタンさんは、
自分の顔がいちばん光る場所を探して
部屋中をうろうろしています。
狼男:「押忍! 満月なんで最優先でお願いしゃっす!」
ミイラ:「どうしようどうしよう、包帯がほどけて、ほどけたら中身が、中身って何でしたっけ」
吸血鬼:「我が輩は招かれておらぬ! ゆえに入ってよいか確認しに来たのである!」
デジさしみ:「もう入ってるよ!」
おばけの子ども:「ねえねえ! お菓子ここでもらえる? なんで? なんでもらえないの?」
ジャック・オー・ランタン:「はいはい注目〜! 主役が来たっしょ〜!」
カブのランタン:「わしのほうが先に来とったんじゃが」
黒猫:「ふん。順番なんて、偉い者からに決まってるでしょう」
シオン:「――はい、全員、静かに!」
シオンがハンドベルを鳴らしました。
チリリリリン!

待合室が、一瞬で静まり返ります。
シオン:「受付票をお一人一枚どうぞ。お名前と、ご相談を一言で。急ぎの方は、その旨も書いてください」
狼男:「急ぎっす!」
シオン:「書いてください」
狼男:「……押忍」
ミイラ:「一言って何文字ですか? 句読点は含みますか? もし二言になったら――」
シオン:「一言です。はい、次」
ペンが走る音、
骸骨さんのカラカラという音、
黒猫さんがカウンターから受付票を一枚ずつ落とす音。
デジさしみ:「書いてもらうと、本人も何に困ってるか整理できるんだよね」
シオン:「それに、一言なら私たちも読めます」
デジさしみ:「そっちが本音だね」
集まった受付票は、ちょうど十枚。いえ、十一枚ありました。
一番下の一枚には、見覚えのある大仰な字で「お菓子」とだけ書いてあります。
シオン:「……では、一枚目からまいります!」
相談①:ジャック・オー・ランタンさん🎃
顔を毎年勝手に彫られる! 今年は自分で選びたい!
ジャック・オー・ランタン:「去年なんて泣き顔っしょ!? 主役が泣き顔って、あり得なくない!?」
デジさしみ:「希望の顔、もう決まってるの?」
ジャック・オー・ランタン:「キメ顔! ウインクで!」
シオン:「では、彫る方に見本を渡しましょう。言葉だけだと伝わりません」
ジャック・オー・ランタン:「見本? 俺の顔、俺が描くの? 最高じゃん!」
デジさしみ:「仕様書を自分で書くタイプの依頼者だ」
相談②:カブのランタンさん
元祖はわしじゃ。
カブのランタン:「わしの若い頃はな、ハロウィンの灯りといえばカブじゃった。それがどうじゃ。今や写真はかぼちゃばかり」
ジャック・オー・ランタン:「えー、先輩ちっちゃくて写真映えしないっしょ」
カブのランタン:「なんじゃと!?」
デジさしみ:「待って待って、ここでケンカしない!」
シオン:「では、お二人で並んで写りましょう。『元祖と現役』で」
カブのランタン:「……わしが左じゃぞ」
ジャック・オー・ランタン:「えー、真ん中がいい!」
デジさしみ:「二人しかいないのに、真ん中の取り合い!」
相談③:吸血鬼さん🧛
オンライン会議の招待は、招かれたうちに入るのであるか。
吸血鬼:「我が輩、招かれねば入れぬ身。しかし先日、会議のURLが届いたのである!」
デジさしみ:「URLを送った時点で、招いたことになるのかな」
吸血鬼:「しかも、カメラをオンにせよと! 我が輩、鏡にも画面にも映らぬのであるぞ!」
シオン:「カメラオフで参加できるか、主催者に確認しましょう」
吸血鬼:「確認……我が輩が? 自ら?」
デジさしみ:「貴族でも、それは自分でやって」
相談④:ミイラさん🤕
包帯の巻き方を毎年忘れる。
ミイラ:「今年は三時間かかって、しかも途中で右手と左手が分からなくなって、気づいたら自分を椅子に巻きつけていて――」
デジさしみ:「さっきのは、それだったんだ」
シオン:「来年の自分に、手順書を残しましょう」
ミイラ:「手順書! でもどこに置けば? なくしたら? 来年の私が読めなかったら?」
デジさしみ:「書いた紙を、包帯と一緒に巻かないようにね」
ミイラ:「……今、巻こうとしてました」
相談⑤:会社員さん(人間)😇
仮装じゃないのに褒められた。
会社員:「あ、すみません……仕事帰りに寄ったら、『疲れた会社員の仮装、完成度高いですね』って……」
骸骨:「わかるー! 顔色がもう、こっち側だもんね!」
デジさしみ:「言い方!」
会社員:「写真も撮られて、SNSに上がって、今ちょっとバズってて……」
デジさしみ:「地味ハロウィンの優勝候補だ」
シオン:「お菓子をどうぞ。今夜は仮装でなくても受け取れます。それと、明日は早く帰ってください」
会社員:「……あ、すみません、明日も残業で……」
全員:「「 帰って!! 」」
相談⑥:黒猫さん🐈⬛
撮影の出演料について。
黒猫:「ふん。魔女の使い魔として毎年撮影に呼ばれるけど、普段はただの近所の猫よ」
シオン:「出演するかどうかは、ご自身で決めて大丈夫ですよ」
デジさしみ:「謝礼、煮干しで交渉してみたら?」
黒猫:「去年はかつお節だったわ。今年は、ちゅ〜るを三本でどうかしら。してあげてもいいわよ、撮影」
デジさしみ:「もう交渉してるし、単価も上げてる!」
シオン:「条件は、撮影前に書面で確認しましょう」
相談⑦:おばけの子どもさん👻
いたずらを選ばれた!
おばけの子ども:「ねえねえ聞いて! 『トリック・オア・トリート』って言ったら、『じゃあ、いたずらで』って言われたの!」
デジさしみ:「お菓子がもらえる前提だったんだ」
おばけの子ども:「いたずら、何も考えてなかった! なんで選ぶの!? ふつう選ばないでしょ!?」
シオン:「確認しないまま、選択肢を出してしまったんですね」
デジさしみ:「よくある。仕事でも」
おばけの子ども:「じゃあ今からいたずら考える! 相談所の電気消してもいい?」
シオン:「駄目です。はい、次」
相談⑧:狼男さん🐺
満月の日に会議を入れないでほしいっす!
狼男:「押忍! 満月の日は変身しちゃうんで、会議に出られないっす! でも毎月、満月の日に限って重要な会議が入るっす!」
シオン:「予定表に、月の満ち欠けを入れて共有しましょう」
狼男:「なるほどっす! チーム全員に満月を見せるっす!」
デジさしみ:「共有したら、満月の日だけ会議が減りそう」
狼男:「ついでに新月の日は、筋トレの日にしていいっすか!?」
デジさしみ:「それは個人の予定に入れて!」
相談⑨:骸骨さん💀
骨格診断の結果がストレートすぎた。
骸骨:「骨格診断受けたらさ〜、『骨格ストレートですね』って! そりゃそうでしょ、ストレートに骨格だもん!」
デジさしみ:「診断する側も、さぞ分かりやすかっただろうね」
骸骨:「似合う服を聞いたら、『何でも似合いますけど、まず中身を』って! 中身ないのに! 骨身にしみるね〜!」
シオン:「似合う服より、まず寒くない服を選びましょう」
骸骨:「このアロハ、だめ?」
全員:「「 寒い! 」」
相談⑩:ご先祖さま🪦
年に二回帰ってきていいかい?
ご先祖さま:「てやんでえ! ハロウィンは死者が帰ってくる日だって聞いたから、帰ってきたよ! 夏にも帰ってるけどね!」
デジさしみ:「お盆とハロウィン、両方……」
ご先祖さま:「家族に二回も迎えさせて、迷惑かねえ?」
シオン:「ご家族に、聞いてみましょうか」
デジさしみ:「たぶん、嬉しいと思いますよ。きゅうりの馬は、夏までお休みでいいかも」
ご先祖さま:「よし! じゃあ帰りは、そこのかぼちゃに乗ってくよ!」
ジャック・オー・ランタン:「えっ、俺!?」
デジさしみ:「速そう」
最後の受付票を読み終えるころ、待合室はすっかり空っぽになっていました。
デジさしみ:「……嵐みたいだった」
シオン:「でも、全員の相談を受け付けました」
デジさしみ:「十一枚目は?」
ドアベルが鳴りました。
帽子を替えた吸血鬼が、何事もなかったような顔で、列の最後尾に並んでいます。
吸血鬼:「我が輩は、初めて来た者であるぞ」
シオン:「……お菓子は、一人ひとつまでです」

本編へ続く…