
ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界を見に行った
悠久の時と言うほど有給休暇がある訳でもないが、平日に美術館を堪能できるのも今のうち。と言うわけで六本木ミッドタウンのサントリー美術館の河鍋暁斎展を見に行った。
イスラエル・ゴールドマンはアメリカ在住のユダヤ系の画商で、河鍋暁斎が好き過ぎて絵を売却した後に喪失感に苛まれて同じ絵を買い戻したりしたらしい。河鍋暁斎のコレクションの展示は他のところでもやっていたらしいから、もう手放さずに集める一方になってコレクションを貸し出す事で商売にしてるという事なのだろうか。外国人が持っている日本画のコレクションの展示を日本でやると言うのはなんだか不思議な感覚ではある。まあ日本の美術館も外国の画家の絵を所蔵して貸し出ししてるから似たような物だろうか。
呼び物になってるのは「地獄太夫と一休」「猫又」あたり。基本は撮影禁止だが、呼び物になってるこれらは撮影OKになっていた。カメラをカバンから出すのが面倒なので撮ってないけど。
音声ガイドはドモン・カッシュの声の人だったので借りてみた。ところどころ声色を大きく変えた一人芝居が入っているのが面白かったな。
鍾馗のバリエーションが豊かだったなぁ。76「鬼を蹴り上げる鍾馗」は蹴鞠のように高く小鬼を蹴り上げていて、掛け軸の縦長の構図に良く合ってる。77「秋田蕗摺絵鍾馗図」は秋田の名産である蕗の大きな葉っぱに絵の具を塗って布や紙に葉脈の形を写しとった物だけど、その手前に小鬼を探し回っている鍾馗と、葉っぱの後ろに隠れて頭だけ覗かせる小鬼なんて珍しい物も有った。
個人的に良かったのは106「猫の月見」かな。野生に任せてネズミを捕まえたものの、餌貰ってるから腹は減っていないことに気がついて持て余したまま月に見惚れていると言った風情。一枚絵なのに、物語や動きが盛り込まれている感じの絵が多い感じが有る。
自ら「画鬼」と称して酒好きだったので、酒と鬼の絵は自分を表しているんじゃないかと言われている。66「酒のツマミに鰹を準備する鬼」とか68「鬼に酒肴図」なんかはその代表っぽいが、15「百鬼夜行図屏風」の中にも大きな盃を背負って両手に筆を持ってる妖怪がいた。
平日だからあまり客もいないかと思っていたが、引退されたおじいさまおばあさまらが結構いらしてはる。若いカップルとかもチラホラ。外国からの方も少し。都心部の有名な展示では仕方がないか。
偏見と被害妄想と誇大妄想に過ぎぬのだが、カップルとかおばあさまらや外国からの方の一部には、どうも見たものの印象をその場で口に出さないと体が破裂する病気を抱えている人がいて、始終「えーすごーい」「これ見たことある」「きれいねー」「Wow!」「Beautiful!」などと鳴き散らかさずにはいられないらしい。
「君たちは思った事をすぐ口に出すのは品が無い人間のやることだと小学校で教わらなかったのかね?」とか
「きみは映画や演劇を鑑賞する時にもいちいちそんなことを口に出して言わないと済まないのかい?」とか
「『すごい』とか『きれい』だということを多くの人が認めてきたから時代を超えてこれが残っているのであるから、君のその発言は何も世界を豊かにするものではなく、ただ『ここにやかましい奴がいます』という事を周りに報せているくらいにしか役に立っていないんだぜ?」
などと言ってやりたい気持ちが無いわけではない。そんなことを言ってやったところで、一時的に腹の虫は収まるかも知れないが、その場にいなかった人には伝わらないので、そういう人達の絶対量が減るわけではないし、逆上した相手から手袋を投げつけられて決闘裁判でもって白黒をつけるような状態になるのはよろしい事ではない。決闘は河鍋暁斎の亡くなった明治22年に禁止されてるし。
もうちょっと建設的な解決方法を考えたい。自己防衛としては耳栓やイヤホンで別の音を流してマスキングするのが良いのではないかとChatGPTに相談したところでは返ってきた。
遮音性という観点では、耳栓よりイヤーマフの方が効果は高いらしい。がイヤーマフは美術館で着けるにはちょっと大げさなのではとChatGPTは疑念を呈している。ノイズキャンセリングヘッドホンは空調やロードノイズのような一定の低周波には効果があるものの、人間の声にはあまり効かないらしい。ヘッドホンを使うなら自然音やピンクノイズ、アンビエントミュージックなどでマスクするのが良いのではないかとの事。
イヤーマフの大げささは、おしゃべりを気にしているという事が目で伝わって良いかも、と一瞬思ったが、冷静に考えると一般の人はイヤーマフとオーバヘッド型のヘッドホンの区別はつかないので、単純に「デカいヘッドホンしてる邪魔な奴」に見える気がする。
ChatGPTはノイズキャンセリングヘッドホン+耳栓でマスク用の音を流すというよく分からないアイデアを出してきたが、それだとヘッドホンからの音も耳栓が遮音してしまうので、これはイヤーマフ+カナル型のノイズキャンセリングヘッドホンの間違いのような気がする。
「グループで展示を見るときのオススメの見方」みたいなものを誰かが広めてくれたりしないかねぇ。
各自自由行動
終了目安の時間だけ決めておく
出品リストに気に入ったものを5つだけマークしておく
どこが良かったかを出品リストに書き込んでおく(鉛筆でね)
金出し合うか誰か代表が図録を買う
近くのカフェで出品リストと図録を元に感想戦
みたいな感じの事を広めてくれれば、話す相手が近くに居ないので喋らなくなるし、図録も売れるし、近くのカフェも客が入る。いやカフェはうるさくなるかな。自分が気づいてないところで他人が気づいていたところなんてのも補完し合えるし、良く見てなかった部分が気になったら別日にもう一度一人で来るでも良し。
すっかり騒音対策の話になってしまったが、サントリー美術館の展示は2026年06月21日までなので、まだ行ってない人は早めに、もう行った人はもう一度、すでに会期を終えた未来の人は神戸や静岡の回を検討するが良かろう。