
日雇い時代
ふと思い出した昔の話。日雇い労働時代は二回あり、第一期はまだ十代だった。手持ちの金がなくなれば、登録型の派遣アルバイトに赴いていた。当初は登録会社が隣の市にあったのだが、すぐに大手に吸収され、梅田のビルにまで給料を受け取りにいかなければならなくなった。
初めて働いた時のことはよく覚えている。美術品運搬会社の配送助手として、トラックに乗り込んだ。始めに「君は日雇い派遣アルバイトではなく、この会社の新人ということになっているからね」と釘を刺された。美術品には高額なものもある。素人が手伝っているということを得意先に知られるとまずかったのだろう。もう二十五年くらい前の話だ。
運搬会社の社員二人と私が同乗し、美術館などを回る。私自身が美術品を運ぶわけではない。社員二人が丁寧に梱包して、彼らが慎重に運び出し、トラックへと入れる。その際に細々した道具やらを運んだり、後片付けを手伝ったり、といった軽い作業補助の役割を与えられていた。二人でも可能だが、もう一人助手がいれば助かるな、程度の話なのだ。美術館のバックヤードからの景色を眺めることができるなど、漫画「ギャラリーフェイク」愛読者であった私には嬉しい経験でもあった。