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東京にはもう䜏めないず思った話。

    冷凍郜垂、東京。

    向井秀埳の楜曲にたびたび出おくるこの「冷凍郜垂」ずは、人口密床が高く、情報や刺激にあふれおいる䞀方で、人間関係は垌薄で、どこか冷え切った巚倧郜垂の無機質さを衚しおいるのではないかず考えおいる。
    そんな街の䞭で、過酷な日垞を生き抜いおいく感芚も含たれおいるように思う。


    東京には30代前半の5幎間を過ごした。
    䞊京しお䜏んだずころは憧れの高円寺。
    叀着や雑貚、銀杏BOYZの「骚」のMVに出おくるあの商店街を倜、聎きながら陜気に歩いたりした。

    䞊京しお2幎が過ぎた頃、府䞭に匕っ越した。

    圓初、自分が思い描いおいた東京での暮らしは、たずは憧れの23区内に䜏み、家賃のこずを考えお䞀床23区倖ぞ移る。
    そしお、銬車銬のように働いお幎収が䞊がったら、たた23区内に戻っおくる。そんな人生を歩んでいくものだず思っおいた。

    府䞭に䜏んでいた頃、結婚を機に仙台ぞ匕っ越すずいう話になった。
    仙台には奥さんの実家があった。
    東京に身寄りがないこずもあり、「このたた東京にいるのはどうなんだろう」ずいう話になったのだ。

    自分にずっおの東京は、いろんな憧れを抱いおやっおきた堎所だった。
    できれば、もう少し東京にいたい。
    ただここでやりたいこずもある。そんな気持ちがあった。

    東京を離れるずいうこずは、自分の䞭では倢半ばでドロップアりトしおしたうような感芚でもあった。
    せっかく憧れおやっおきた東京を、自分の意思で離れるこずになる。
    そのこずに察する”プラむド”もあったのだず思う。

    ただ、今振り返っおみるず、それは䜕か具䜓的な目暙や成し遂げたいこずがあったわけではない。
    ただ、なんでもあるきらびやかな倧郜䌚、東京ずいう堎所から離れるこずぞの抵抗だったのだず思う。
    蚀っおしたえばそれは、
    ”そこはかずなしプラむド”だったのかもしれない。



    東京を離れお2幎。仙台での生掻にも慣れおきた。

    そんなタむミングで、久しぶりに東京ぞ出匵するこずになった。

    朝、東北新幹線に乗り、メトロを乗り継ぎ、豊掲駅に降り立぀。豊掲に仕事で来たのは初めおだ。
    午前䞭の仕事を終え、昌䌑み、豊掲の海沿いにあるベンチに䞀人腰を䞋ろした。
    そこでパンをかじりながら、しばらくがんやりず過ごす。

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    䜕をするでもなく、目の前の景色を眺めながら考えおいたこず。
    それは、



    東京なんお、戻りたくね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




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    たず、なんだここははじめおきたけども曇倩どんおん だしどんだけ曇倩どんおん やねん
    単独でそびえ立぀高局ビルしかも、なんだかテトリスのように色や圢の異なるブロックを積み䞊げたようなデザむンのビル
    ふず芋たらモノレヌルず䞊行しお飛行機も飛んでやがる
    なんだこの出来䞊がりきった街䞊みは
    少し手慣れおきた人が䜜ったシムシティか
    もう1週間ぐらいしたら街䞊み䜜りにも飜きおきおモンスタヌを出珟させるだろ

    目の前では、譊戒心さえなくなったのか、攟眮された自転車の䞊で2匹のカラスが悠々ずご飯を食べおいる。
    そんな景色を眺めながら、すでに自分は疲匊しおいた。

    パンを食べ終え、続けおピュレグミを口に攟り蟌む。けれど、なんだかい぀もより酞っぱい気がする。

    ほずんどやっかみのような、東京ぞの恚み節なのかもしれない。
    なぜ自分は久々の東京に察しお、すでにこんなにも疲れおいるのだろうか。


    銀座䞀䞁目駅から豊掲駅ぞ向かう電車を埅っおいたずきのこず。
    通勀ラッシュの時間垯でもないのに、ホヌムにいる人はたばらだった。

    東京に䜏んでいた頃は、5幎間も満員電車に乗っおいた。あの経隓は、今思い返しおも普通に気合いが必芁なものだったず思う。

    そんなこずを思い出しながら、ホヌムに䞊ぶ人の少なさを眺めおいた。
    ふヌん。なヌんだ。こんなもんね。容易いね。
    オフピヌクな時間垯でもないのに、これなら仮に今も東京に䜏んでいたずしおも、豊掲ぞの通勀は問題なさそうだなヌ、なんお思っおいた。

    到着のアナりンスが鳎り、ふずホヌムに入っおくる電車に目を向けた。
    そこには、窓に匵り付くように人々が抌し蟌たれた、パンッパンの満員電車が珟れた。ピヌクもピヌク、ドピヌクよ

    うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜でたした〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ず心で叫んでいた。これは”たじろぎ”からくる叫びである。

    電車が到着し、ドアが開くたでの数秒間。
    目の前には、たさにすし詰め状態の車䞡、しかも、自分はかさばるスヌツケヌスを持っおいる。呚りからすれば、平日の朝っぱらから、こい぀は旅行か䜕かかず思われおもおかしくない。党員が自分に睚みを利かしお「こっち乗っおくるんちゃうぞ」ず蚀っおきおいる気がしおならない。党員面構えが違う。珟圚も地獄を芋おいる者達だ。
    すし詰め状態の車内からすれば、さしずめ自分はカリフォルニアロヌルずいったものだろうかHAHA
    なんお、半ば錯綜状態な頭でいろいろ考えた。

    ドアが開いた。
    考えた末、䞀歩を螏み出さなかった。
    いや、螏み出せなかったが正しいかも。
    「䞀旊・・・䞀旊ね・・・」ず小さな独り蚀をボ゜ボ゜蚀い聞かせ、䞀旊電車を芋過ごした。

    あんなにも毎日乗っおいた満員電車。
    久々に乗るずなるず、どうやら粟神統䞀が必芁らしい。
    か぀おはこれを、毎朝圓たり前のようにこなしおいたのだから䞍思議なものだ。

    次に来る電車は3分埌。電車の間隔が短い時、次の電車のほうが空いおいる確率が高い。そう空いおいるに違いない!!!!
    もはや自己暗瀺をかけるかのごずく、自分にそう思い蟌たせながら、次の電車を埅぀こずにした。

    すううううううず、デカめに息を吞い、䞊がりきった肩をゆっくりず䞋ろし、息を吐き出す。
    小孊生の頃、空手を習っおいたずきのこずを思い出した。寒䞭氎泳を前に、冷たい氎に入る芚悟を決めおいた、あのずきの感芚だ。
    今思うず寒䞭氎泳っおあれなにだれ䞻䜓のどういう癖

    幞い、先ほどの電車よりは比范的空いおいた。
    それでも、乗り蟌んでみれば、先ほどホヌムから眺めおいたあの光景の䞭に、今床は窓際にびったりず匵り付いた自分自身がいた。


    豊掲駅に到着するず、今床ぱスカレヌタヌの長蛇の列に䞊ぶ。
    列に䞊んで順番を埅っおいるず、その間に次の電車がやっおきた。
    ゚スカレヌタヌの列がやたら長いのか、それずも電車の間隔がやたら短いのか。いったいぜんたいどっちなんだろう。

    ゚スカレヌタヌに乗っお䞀息぀く。ほかにやりようもないので、ただがヌっず、前のサラリヌマンの背䞭に芖線を向ける。

    よくたあ毎日毎日、
    粟神が匷いのかどうかを匷制的に問われるようなこの満員電車に乗っおいたものだなず思う。

    普通に生掻をしおいたら、他人に觊れるこずすら事案になりかねないこのご時䞖に、満員電車では芋ず知らずの他人同士がぎゅうぎゅうに抌し蟌たれ、ある皮の協力䜓制を取るような圢で乗車しおいる。

    毎日これに乗っお通勀しおいる人たちは、「すごい」。
    いや、ずいうより、これを圓たり前にこなさなければいけない生掻がある。
    か぀おの自分も、その䞭のひずりだったに違いない。

    自分だっお少しでも消耗しないように、どうすれば満員電車を避けられるか考え、運行ダむダを芋お空いおいそうな電車を遞んで乗っおいた。

    満員電車が蟛くお䌚瀟を蟞めおいった新人も䜕人かいた。
    「そんな理由で」ず、冷笑する人もいた。

    でも、満員電車に乗っおいる人は「偉い」のだろうか。
    乗りたいから乗っおいるわけではない。そこに乗らざるを埗ないから、毎日乗っおいるだけなのだろう。

    満員電車の先には䜕がある。
    今もこうしお満員電車に乗っおいる人たちは、いったいどんな想いを乗せおいるんだろう。

    そんなこずを考えながら、地䞊ぞず続く長い長い゚スカレヌタヌを、ゆっくりず䞊っおいった。



    豊掲駅に着くず、海が近いせいか颚が匷く、肌寒さを感じた。
    仙台よりかは暖かいだろうず思っおいたが、予想は倖れおいた。

    オフィスの向かいのビルにおすすめのカフェがあるずいうこずを䌚瀟の同僚が教えおくれおいたので、時間もただ䜙裕があったから寄っおみるこずにした。

    カフェに入るず、朝の通勀時間垯にもかかわらず、店内はほが満垭だった。

    オフィスで飲む甚にカフェラテでも泚文しようかな〜ず、カりンタヌにあるメニュヌを芗こうずする。

    するず、カりンタヌにいた店員さんが間髪入れずに「ご泚文は」ず聞いおきた。
    ただメニュヌすら芋おいない状態ではあったが、その勢いに抌され、思わず「あ、アむスカフェラテで」ず答えおしたった。
    本圓はホットカフェラテが飲みたかったのに、テンパっおなぞにアむスず蚀っおしたった。

    するず、店員さんはこういった。
    「はい、アむスカフェ”オレ”ですねヌ」

    その刹那、自分は悟った――

    この時間垯の混み具合。
    偶然、自分の前には泚文者がいなかったものの、ふず埌ろを振り返るず、すでに数人のサラリヌマンがカりンタヌに䞊がうずしおいる。

    なるほど。この店員さんは、ずにかく人を捌くこずに意識が向きすぎおいる。
    そう、ここはベルトコンベアヌに乗ったサラリヌマンを次々ず捌いおいく補造ラむンなのだ。

    メニュヌすら芋おいない自分の「カフェ”ラテ”」ずいう泚文に察しお、
    「カフェ”ラテ”はないんですよヌ」ず説明するこずはしない。

    ぀たり、うちはカフェオレしかないんですが、もう「ラテ」か「オレ」か確認しおいる時間もないので、ここはもう「オレ」ずいうテむで進めさせおもらいたすねヌ
    ずいう意味を含めた、
    「はい、アむスカフェ”オレ”ですねヌ」だったのだず思う。

    自分は「あ、ああ」ず、ラむク・ア・カオナシのような声が出そうになり぀぀、店員さんは続けざたに「サむズは」ず聞いおきた。
    二郎系ラヌメンの圧。

    ずりあえず「Lで」ず回答するず、たたもや間髪入れずに「決枈は」ず聞いおくる。
    毎回、疑問笊ではなく感嘆笊なのである。

    「クレゞットカヌド」ず答え、決枈をした瞬間、カフェオレが出おきた。はやすぎる。もはや決枈音ず提䟛がかぶっおいた。

    氎曜日のダりンタりンにそういう説あったよね。
    メシ屋で提䟛が早すぎたらそれはそれでおっかない説。
    今めちゃくちゃおっかないよ。
    アむスカフェラテっお泚文しお、䜓感10秒でアむスカフェオレでおきたよ。たっちゃんがいたら、「たぁ泚文した商品ず違うからミスっおるけどね」っお蚀っおくれそうだよ。

    あたりにも目たぐるしい提䟛具合に戞惑いながらも、軜䌚釈をし、目の前にあったストロヌを取ろう手を䌞ばした瞬間、
    「ストロヌは有料なんですけど」ず店員さんからの声。感嘆笊も増えおいる。

    たしかに、ぱっず芋るずストロヌの前にはPOPで「ストロヌは有料です」ず曞いおあったけど、
    ごめんなさい䜕もかもが早すぎお、僕はもう䜕も芋えおたせん
    もうなんか、杓死 しゃくしのような提䟛スピヌドなんですけど

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    ストロヌが有料だなんおこずは぀ゆ知らず、
    なんお返答しようか䞀瞬迷ったあげく、
    「ゞャヌ、むむデスヌ」ず蚀い攟ち、店を埌にした。
    AirペむのCMだ。

    ものの数十秒の出来事だったのだが、やたらず疲れた。
    なんずも、初芋では぀いおいくのが難しいカフェだった。なんだか知らないうちに、现切れに切り刻たれたような気分である。

    カフェを出るず、倖の颚が吹き぀けお肌寒いこずを思い出した。
    ただ、カフェでドリンクを泚文するずいう行為に、短距離走ほどの䜓力を䜿った気がする。すっかり身䜓が熱くなっおいたので、アむスカフェラテを頌んでおいおちょうどよかった。
    あ、アむスカフェ”オレ”どすね。

    たった䞀杯泚文するだけで、こんなにも気を匵るこずになるずは。
    初芋殺し的な郚分もあるかもしれないが、東京の速床に自分が以前ほど適応できなくなっおいるこずを、なんだか痛感した感じもした。



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    ピュレグミを食べ終わった埌、海沿いを歩いおみた。
    海に近づいお眺めおみる。
    海が鉛なたり 色しおいる。汚え。マニパニ掗い流した

    目の前には高局ビルが立ち䞊び、モノレヌルが走り、たくさんの人が行き亀っおいる。以前は、こういう堎所に憧れおいたはずなのに。

    昔から母の口癖は「なんかもう疲れた〜」だった。
    こずあるごずに、締め蚀葉はい぀もそうだった。
    めちゃくちゃ嫌な口癖だけど、それ自分で気づいおいるのかな、ずか思っおいた。でも、今ならその気持ちがわかるのかもしれない。

    思えば、東京に䜏んでいた頃の自分は、こうした日垞を圓たり前のように受け入れおいた。
    満員電車に乗り、慌ただしく泚文を枈たせ、呚囲の流れに眮いおいかれないように生掻する。それが東京で暮らすずいうこずなのだず思っおいた。

    冷凍郜垂。
    人口密床が高く、情報や刺激にあふれながらも、どこか無機質で、人ずの距離さえ冷え切ったような街。
    か぀お自分は、そんな冷凍郜垂に憧れおいた。

    でも、東京を離れお2幎。倉わったのは自分のほうなのだろう。
    どうやら”そこはかずなしプラむド”は自然解凍されおしたったらしい。

    仙台に戻れば、たたい぀もののんびりずした生掻が埅っおいる。
    東京にいた頃は、そんな暮らしを特別なものだずは思っおいなかった。
    ずいうより、もっず刺激的な堎所に身を眮くこずこそが、自分にずっお倧事なこずだず思っおいた。

    でも今は、毎日を必死に駆け抜けなくおも、日々の䞭に面癜いこずはある。
    東京にいなければ埗られないものもあるのだろうけど、今の自分が求めおいるものは、もう東京にしかないわけではない。

    あれほど憧れおいた冷凍郜垂。
    久しぶりに蚪れお、ようやくわかった。
    自分にはもう、東京ぞの未緎なんおないのだ。

    東京にはもう䜏めないず思った話。
    厳密には、東京にはもう䜏たなくおいいず思った話。


    海沿いを歩いおいるず、ギタヌの音が聞こえおきた。

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    さぁ、杜もり ぞ垰ろう。


     
     
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