
158番
緑の窓口で切符を買うため、番号発券機で受付をする。久しぶりの故郷だ。
東京で新幹線に乗り換え、そのあとさらに特急電車に乗る必要がある。特急は全席指定だ。乗り換え時間の調整が難しいので、毎回、窓口でまとめて往復切符を買うことにしている。
待ち人数は12組。
どれくらい待つのだろう。そう思いながら、待合ベンチに座る。バッグから、さっき本屋で買ったばかりの新刊本を取り出す。
のりづけの硬さがまだ残る、新しい本の最初のページを開く。
長旅になる。だから買った本だった。値段は少ししたが、そのぶん特別なものに感じられる。どんな旅になるのだろう。さわりだけ読んでみる。
四ページほど読んだところで、たぶんこれは面白い、と感じた。こんなとき無性に嬉しくなってしまう。この本を選んださっきの自分を秘かに褒める。
このまま読み進めたいが、番号を呼ばれたとき聞き逃しそうで怖い。
受付番号の紙を確認する。158番。さっき呼ばれていたのは149番だったはず。
まだ大丈夫だ。
受付番号を本に挟み、少しだけ頭をはみ出させる。
いつでも現実に戻れるようにしてから、またページをめくる。
旅がはじまる。