
ナシ婚増加の本当の理由は「お金」ではない
読売新聞オンラインが5月15日に配信した「『ナシ婚』が増える近年、結婚式を挙げますか?」という記事を読んだ。A論/B論方式で必要派と不要派の意見を並べる定番の構成。コメントは1700件を超え、ヤフコメ欄もXもそれなりに荒れていた。
賛成と反対を並べて両論併記する記事は読みやすい。ただ、両論の足元が同じ前提に立っていると、その前提自体への疑いは生まれにくい。
ナシ婚増加の理由として、誰もが「経済的事情」を真っ先に挙げる。確かに数字もそれを支持する。マイナビウエディングの2025年調査では、結婚式を挙げない理由の1位は「他のことにお金をかけたかった」43.0%。物価高、新築マンション平均1億3600万円超、教育費1000万円、円安。経済的にしんどい時代だ、というナラティブはわかりやすい。
しかし記事をよく読むと、別のデータが紛れ込んでいる。
「主役になるのは嫌だ」
結婚式場相談サービス「トキハナ」のアンケートによれば、既婚の20〜30代の過半数が「主役になるのは嫌だ」と感じていたという。実際に結婚式を挙げた人の話だ。挙げなかった人ではない。
さらに同社が高校・大学生に行った調査では、結婚式を「挙げたいと思う」が6割超。「思わない」と答えた人の理由1位は「人前に立つのが恥ずかしい・苦手だから」で、「費用が高そうだから」を上回った。
ナシ婚理由のランキングをもう一度見直す。1位「他のことにお金をかけたかった」43.0%。2位「準備が面倒」25.0%。3位「興味がわかなかった」24.3%。4位「資金がなかった」21.5%。
経済理由は1位と4位。合計で64.5%。
非経済理由は2位+3位+「人前が恥ずかしい」。能動的に避けたい層と経済理由は、ほぼ拮抗している。
「ナシ婚は経済問題」という説明は、半分しか合っていない。
同じ構造は他の場面でも観察できる。就活面接が極端に苦手、電話よりLINEを好む、対面授業より録画授業を選ぶ。LINEは編集できるが電話はできない。録画授業は見る側が一時停止と巻き戻しで編集権を持つ。編集権の有無で行動が説明できる。結婚式忌避だけが特殊な現象ではない。