
TCB寺西宏王理事長、東邦大学形成外科学講座の客員准教授に就任
形成外科学講座の客員准教授に、形成外科専門医ではない人物が就任しました。
2026年4月6日、PR TIMESを通じてプレスリリースが出ています。TCB東京中央美容外科の寺西宏王理事長が、東邦大学医学部形成外科学講座の客員准教授に就任したという内容です。
このニュースに対し、美容外科医・形成外科医の間でかなり大きな反応が起きています。
何が問題視されているのか。事実を並べます。
寺西宏王氏の経歴
寺西氏は2004年に兵庫医科大学を卒業。兵庫医科大学病院、京都医療センター外科を経て、2007年から京都大学医学部附属病院の心臓血管外科に進みます。その後、静岡県立総合病院、小倉記念病院と心臓血管外科医としてのキャリアを積み、小倉記念病院では副部長を務めました。
約10年間、心臓血管外科医として勤務した後、2019年にTCB東京中央美容外科の京都駅前院院長として美容外科に転身。2020年に梅田大阪駅前院院長、2023年に総括院長、2024年10月にTCB理事長に就任しています。
学会発表の実績はすべて心臓血管外科領域のものです。冠動脈バイパス術、大動脈弁置換術、腹部大動脈瘤といった演題が並びます。
なお、2025年にはパリで開催された世界最大級の美容医療学会IMCAS World Congressに登壇し、ヒアルロン酸注入のライブ手技を披露しています。国際学会への参加実績はありますが、これは美容医療の実技デモンストレーションであり、形成外科のアカデミックキャリアとは性質が異なります。
形成外科との接点
寺西氏は形成外科専門医を保持していません。
形成外科のトレーニングを受けた経歴もありません。心臓血管外科から美容外科への直接の転身です。
日本美容外科学会はJSAPS(形成外科系)とJSAS(十仁系)の2つが存在しますが、寺西氏はそのいずれにも所属していません。JSAPSは日本形成外科学会の専門医認定証を持つ医師でなければ正会員になれないため、形成外科のトレーニングを受けていない寺西氏は入会要件を満たしません。
形成外科専門医の取得には、日本形成外科学会が認定する施設で最低5年間の研修を受け、所定の症例数を積み、専門医試験に合格する必要があります。再建手術、マイクロサージャリー、熱傷治療、先天異常の修復など、幅広い外科的トレーニングが課される。形成外科学講座のポストは、この専門医制度を前提として成り立っています。
日本美容医療学会(JAPSA)
JSAPSには入会要件上入れない。JSASにも所属していない。寺西氏が代わりに何をしたかというと、自ら学会を設立しました。
それが日本美容医療学会(JAPSA)です。略称が「JAPSA」。既存のJSAPSと一文字違いです。
この学会はTCBとの結びつきが極めて強い。研究会の演題の多くはTCB所属医師によるものであり、ライブサージェリーの術者もTCBの医師が中心です。学術総会の会長も寺西氏自身が務めています。
そしてこのJAPSAの役員名簿に、東邦大学医療センター大森病院 形成外科学講座 主任教授の荻野晶弘氏が名を連ねています。
JAPSAの研究会でも荻野教授は講師として登壇しています。
人事の構図
整理します。
寺西氏はJAPSAの代表理事
東邦大学形成外科の荻野教授はJAPSAの役員であり、研究会講師も務めている
寺西氏が東邦大学形成外科学講座の客員准教授に就任
つまり、寺西氏と東邦大学形成外科の間にはJAPSAを介した組織的な関係が既に存在していました。今回の客員准教授就任は突然のものではなく、この関係の延長線上にあります。
「客員准教授」というポスト
通常の准教授人事であれば、論文数・学会発表・指導実績などの学術業績審査が必要です。
「客員」がつくとこの審査は大幅に緩和されます。大学側の裁量で任命が可能です。教授会の承認も形式的な手続きで済むケースがほとんどです。任期付きのポストであり、大学の常勤教員とは異なる位置づけで、教育・研究への関与も限定的。要するに、学術業績がなくても大学側が「必要」と判断すれば出せるポストです。
通常、企業と大学の間で客員ポストが設けられる場合、製薬企業や医療機器メーカーがスポンサーとして寄附講座を設置し、そこに外部の研究者や臨床家が招聘されるという形式をとります。スポンサーと客員教授は別の主体です。今回は、TCBの理事長本人が客員准教授に就任しています。金を出す側と肩書きをもらう側が同一人物、あるいは同一組織です。
講座名の問題
複数の美容外科医が指摘しているのは、講座名の問題です。
寄附講座であれば「美容医学研究講座」「美容医療経営学講座」といった別名にすることで、形成外科学講座本体との距離を保てます。寺西氏が約10年で100院超のチェーンを築いた経営手腕を評価するポストであれば、そのような名称のほうが筋は通ります。
今回は「形成外科学講座」の客員准教授です。
形成外科専門医でもなく、形成外科のトレーニングも受けておらず、JSAPSにもJSASにも所属していない人物が、「形成外科学講座」のポストに就いた。
反応
城本クリニック総院長の小川英朗氏は、「形成外科が悪徳に買収されないでください」と、形成外科の偉い先生方に向けて長文の投稿を行いました。被害者と直接会ってきた経験、内部告発者との接触、警察への同行まで述べた上での訴えです。