
整形のリスク、誰も語らない外科の大原則
インスタグラマーもキャバ嬢も、整形を隠さなくなった。ビフォーアフターがコンテンツになり、どこのクリニックで何をやったかまで共有される。「正直で好感が持てる」と称賛される。
芸能人は相変わらず言わない。「もともと美しい」がブランドだから。認めた瞬間にそれが崩れる。整形には、オープンにできる世界と、そうでない世界がまだ併存している。
映えない話を書く。
プチ整形の出口
「プチ整形」という言葉がくせ者だと思う。切らない、腫れない、気軽にできる。ランチの合間にできるものもある。
ボトックスの効果持続は3〜6ヶ月。ヒアルロン酸は短ければ数ヶ月、長くても2年程度で体内に吸収される。二重の埋没法は糸が緩めば元に戻る。糸リフトも半年〜3年。
どれも「やったら終わり」ではない。維持するなら定期的に通い続けることになる。ボトックスなら年に2〜3回、ヒアルロン酸なら半年〜1年ごと。一生。
一度手を入れると、その状態が新しいベースラインになる。効果が薄れてきたとき、人は「元に戻った」とは感じない。「劣化した」と感じる。パンと張っていた肌がしぼんでいく。あった涙袋がなくなっていく。心理的にやめられなくなって、効果が切れるたびにクリニックへ駆け込む。前回より多く、前回より強い施術を求めるようになる。
入口が軽い分、出口が見えにくい。
生涯コストの話
映えるビフォーアフターの裏に、地味な算数がある。
ボトックスは1部位1回で1.5万〜5万円が相場だ。年3回打つとして、安く見積もっても年間4.5万円。25歳から60歳まで続けたら約160万円。複数部位なら余裕でその数倍になる。
ヒアルロン酸はもっとかかる。ほうれい線だけで1回5万〜12万円。年1回としても35年で175万〜420万円。顔全体のボリュームを維持しようとすれば、年間数十万円が飛ぶ。
「プチ整形だから安い」は1回の値段の話でしかない。メンテナンス込みの生涯コストを計算している人が、どれだけいるか。
「半永久」の賞味期限
切る整形なら大丈夫か。鼻プロテーゼ、シリコンバッグ豊胸。「半永久的」「メンテナンス不要」と紹介されることが多い。
でも「半永久」は「永久」ではない。
鼻プロテーゼの場合。L型プロテーゼは鼻先に常に圧がかかり続ける。皮膚が少しずつ薄くなり、5年、10年経った頃にプロテーゼが皮膚を突き破って露出する。ある日突然、鼻の先端から白いものが見える。
石灰化もある。体はプロテーゼの周囲に防御反応として被膜を作る。この被膜にカルシウムが沈着していく。5年で50%、10年で100%の確率で石灰化が生じるという報告がある。進行すると表面がゴツゴツし、皮膚の上から凹凸が見えたり白く透けたりする。被膜が硬く収縮してプロテーゼを締めつけ、位置がズレることもある。
20〜30年で形状維持の限界。20歳で入れたら40代〜50代で問題が起きる計算になる。
異物には薬が届かない
ここからが、外科医としてどうしても書いておきたいことだ。