
天野篤先生はなぜ美容外科クリニックに関わったのか〜外科医が流れる保険診療の構造〜
上皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した天野篤先生が、銀座の自由診療クリニックの代表理事に就いた。 「ゴッドハンド」と呼ばれた心臓外科のトップが、だ。
驚いた外科医は多かったはずだ。私もその一人だった。
二人目のトップが動いた
天野先生が関わる「RiCarna Clinic」は、再生医療・美容医療・足病診療を三本柱とする自由診療主体の施設だ。入会金250万円・年会費50万円の会員制を設けている。
本人は「転身ではなく、心臓外科医の仕事が中心」と説明している。それを額面通りに受け取る医療者は少ないだろう。
この件より前、大阪大学の心臓外科教授でiPS細胞由来心筋シート再生医療の第一人者として知られた澤芳樹先生が、銀座の富裕層向けクリニックでiPS細胞由来の培養上清を使った自由診療に関わり、物議を呼んだ。再生医療学会の関係者から「元理事長がこんなことをしたら困る」と直接進言されたとも報じられている。旧帝大の心臓外科教授、紫綬褒章。権威を登り詰めた先の行き着いた場所が、銀座の自費診療クリニックだった。
天野先生、澤先生。日本の心臓外科を代表する二人が、相次いで同じ方向に動いた。これは偶然ではない。
手術はやるほど赤字になる
なぜトップでも流れるのか。その答えは診療報酬の構造にある。