
直美問題に怒る二つの立場〜高須幹弥と保険診療医の視点の違い〜
3月31日、高須幹弥先生が直美について1日に2本の動画を投稿した。「美容医療で楽して稼げる時代は終わりました」と「直美にまともな医者がいない理由」。合わせて70分以上ある。藤白りりさんの直美宣言動画を受けてのことだろう。
同じ日に、自分も記事を書いた。
同じ問題に怒っている。でも怒り方がまったく違う。そこについて書く。
怒りの正体
高須幹弥先生の怒りは今日始まったものではない。
動画の中で、直美が高須クリニックに面接に来たときの話をしていた。糸結びができない。解剖の知識がない。基本手技もできない。なのに「年俸5000万は欲しい」と言う。前のクリニックではそれだけもらっていたから、と。
保険診療の外科勤務医は、10年やっても年収1,200万から1,500万が相場だ。大学病院なら1,000万円台に届かないこともある。研修2年の医師が5,000万を当然のように要求する。その金額を稼がせていたのは、患者単価を極限まで吊り上げるクリニックの仕組みであって、医師の腕ではない。
高須先生はこう答えている。「君が5000万稼げていたのは、君の実力じゃない。悪徳ぼったくりクリニックのシステムの歯車として利用されていただけだ」。見学させてあげると言えば「いくらもらえますか」と聞いてくる。雇うとも言っていないのに。その経験が何年も積もっている。
高須先生は形成外科の専門医を取り、麻酔科の標榜医も取り、卒後8年かけて美容外科医としての下地を作った。51歳の今でも日々勉強だと動画で語っていた。30年かけて積み上げてきたものがある。その自負がある。
だから「直美の99%はまともじゃない」と断言できる。「東京ど真ん中クリニックで働いている人間は全員人間のクズだ」とまで言い切れる。1日に同じテーマで2本出す。固有名詞を繰り返す。感情の温度は高い。だが的は外していない。
あれは業界浄化の義憤ではない。自分がやってきたことの価値を汚されている人間の怒りだ。高須クリニックは直美を雇わない。それが答えのすべてだろう。
高須先生のチャンネル登録者は80万人を超える。藤白さんの19万人の4倍以上だ。美容外科の内部からこの規模で批判が飛ぶこと自体が異例で、しかも1日に2本。怒りの温度だけでなく、届く範囲も桁が違う。大手美容外科チェーンの経営者たちは、この動画に対して沈黙している。業界全体が黙っている中で、高須先生だけが70分怒鳴り続けている。その構図自体が、美容外科業界の現在地を映している。
保険診療の沈黙
自分の怒りはもっと静かで、もっと内向きだった。