
【短編小説】落とし物の持ち主 | 拝啓文芸部
拝啓、落とし物の持ち主様
今でもあなたを待っています。
初めて出会ったこの場所で。
あのときのことは忘れません。
夕暮れの人混みの中、
ふと視線を向けた先にあなたはいました。
すれ違った瞬間、
世界から一切の音が消え去り、
胸が焼けるように熱くなりました。
あなたは落とした物に見向きもせず、
人混みの中へ静かに溶けて消えていきました。
静かな世界に響く悲鳴。
流れ出る熱い鮮血。
消え行く意識。
地面には真っ赤に染まったナイフ。
落とし物の持ち主様。
今でもあなたを待っています。
あとがき
今回もMr.Qさんの拝啓文芸部に参加させていただきました。
企画を通じて、いろんなクリエイターさんとの交流が生まれるのも素敵ですよね♪
