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Photo bysyashin_sozai

そしてセールス/かつての「戦友」たちよ、それぞれの場所で、お互いにがんばろう!(2)ギャンブラーとコメディアン ~ニッポン株屋昔ばなし~(41)

    <さすらいのギャンブラー・荒井さん>

    株屋のセールスたちは、毎日株という「バクチ」をやっているようなものだから、

    ギャンブル好きな人は当然多かった。

    1番多いのはやはり競馬だったが、

    中にはボーナスから50万円を1レースにつぎ込み、あえなく外れて奥さんから大目玉を食らったという人もいたくらいで、

    凝る人はかなり凝っていた。

    その中でも、荒井さんの凝り方はまさに出色だった。

    彼は、私が吉井課長の下にいたころ同じ課にいて、席が私の隣だった。

    ある日の残業時間、荒井さんが突然私の方を向き、真顔でこう切り出した。

    「東郷、おまえもこういうこと知っといてもいいと思うから言うけどな」

    顔つきがいかにも真剣だったので、何か仕事上の忠告かアドバイスをして下さるのだろうと思い、

    私は「は、はい!」と姿勢を正して彼の方を向き、身を乗り出した。

    すると彼が言った。

    「中山(競馬場)ってのは右回りなんだよ」

    「あん?」

    私は心の中で、ガクガクガクッとズッコケてしまった。

    何のこたあない、競馬の話じゃないか。

    このあと荒井さんは「中山競馬場のすべて」について、実に懇切丁寧に講義して下さった。

    その内容はもはやすっかり忘れてしまったが、

    それにしてもここまで好きになれれば見事というほかはない。

    熱きギャンブラー・ミスター荒井に拍手!

    <「芸域」に磨きをかけるコメディアン・中島さん>

    どこの職場にも「芸人」はいるものだが、

    新宿〇〇支店きっての芸人といえば、中島さんをおいて他にない。

    彼の得意芸は物まねだったが、

    その「芸域」は、支店のメンバーの物まねから、芸能人、アニメのキャラクター、果ては怪獣にまでわたっていた。

    社内旅行や忘年会になると彼の独壇場で、

    常に新しいネタを仕入れては披露し、爆笑を誘っていた。

    特に支店のメンバーの物まねは秀逸で、

    管理職の面々もネタにされることがあったが、

    いつもガーガーどなっている彼らもさすがにこの時ばかりは怒れず、苦笑いするだけだった。

    (私も学生時代にコンパの席で、サークルの連中の物まねをやってバカ受けしたことが何度かあったが、

    こういう「内輪ネタ」ってウケるんだよねー)

    彼は支店の事務さんと結婚したのだが、この人がすごい美人だった。

    お二人が結婚したのは私が支店に配属になってまもなくで、

    奥さんはそのまま退職したので、顔もよく覚えるヒマがなかったのだが、

    結城さんの結婚式の二次会で久々にお会いした。

    そこで改めて彼女の顔を見たのだが、

    あまりの美貌にしばし呆然となり、思わずじっと見つめてしまった。

    「中島さんの奥さんって、こんなにきれいな人だったのか...!」

    まさに感動的な美の世界でありました。

    中島さん、今はどこで何をしていらっしゃるのだろうか。

    お子さんも大きくなっただろうな。

    美しき奥様と、いつまでもお幸せに!

     
     
    1980年代、四大証券の金融ヤクザ体質に辟易。その後ゲームメーカー・外資系企業など日米の企業で勤務。その多様な経験から独自の視点を得る。時間と心の自由を尊び、前期高齢者にしてIQ132の知性と旺盛な好奇心を持つ無頼人。政治からスポーツに至る「ごった煮」観戦記を多数著す。

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