
現実世界はなぜこうなのか
本を出させていただくことになりました。発売日まであと数週間です。各章の内容を少しずつ紹介させていただいていますが、それも終盤に差し掛かりました。今日は第8章です。これまでの紹介記事のまとめのページも用意してあります。
『量子力学の〈新常識〉-意識・実在・情報が再定義する物理学-』2026年6月25日発売
第1章 波動関数の誤解
第2章 20世紀末に起きたこと
第3章 意識と量子
第4章 不確定性関係の新常識
第5章 奇妙な遠隔作用か、量子もつれか?
第6章 デコヒーレンスと多世界解釈
第7章 量子的な線形重ね合わせの現代的理解
第8章 古典的に見える現実をどう捉えるか ← 今日はここ!
第9章 量子コンピュータ
この章の話をごく簡単にまとめれば、量子力学から古典力学が導けるかという話題です。気になる方も多いかと思います。ディラック定数 ħ を 0 に近付ければ古典力学が実現するというような説明も世の中に良く見かけますが本当にそうなのでしょうか?
結論から言えば、古典力学は古典力学、量子力学は量子力学。それぞれ別の体系です。この世界はマクロな世界であってもミクロな世界と同様に量子力学が成り立っています。ただ色々な量子力学的な現象が見えにくくなっているだけです。古典力学に近付くような近似を適用したときに、古典力学に似た振る舞いが現れてきますが、それでもその内容は量子力学のままです。古典力学そのものにはなりません。
ニュートンの時代のような数百年も昔には、そして今でも、私たちの日常では量子力学的な現象はほとんど見えてきませんし、気付くことはありません。古典力学というのはそれらを省いて、いえ、わざと省いたわけではないのですが、気付いている範囲の現象だけを説明できるように体系化したものです。
実際にはマクロな世界でも量子力学的な現象は起きているのですから、量子力学を適用するスケールを変えてみてもこの世界の現実を表すだけです。古典力学のような全ての状態が確定しているかのような世界観は現れてこないのです。
これまでの紹介記事のまとめのページはこちらにあります。