
AppleとNVIDIAだけで大丈夫?データセンター偏重を避ける11銘柄|Mad Money 2026年9月8日
今回の「Mad Money」は、AI・データセンター株に資金が集中する相場で、あえて別の成長源へ目を向けた回です。クレイマーはデータセンターの長期成長を否定していません。実際、GE Vernova、Intel、Micron Technologyには引き続き強気です。ただし、選挙までの期間を考えると、関連銘柄を何でも買うのではなく、航空、フィンテック、医療、エネルギーへ一部を分散すべきだと述べました。
番組中盤では、アメリカンフットボールのポジションになぞらえ、Apple、NVIDIA、Amazon、Eli Lilly、SpaceXなど11銘柄で「株式版ファンタジーチーム」を編成。後半はMarvell Technologyのマット・マーフィーCEOへのインタビューと、株式供給の増加が相場の重荷になる可能性を取り上げています。
今回の要点
1.データセンター株は手放すのではなく、持ち過ぎを見直す
クレイマーの提案はAI投資からの全面撤退ではありません。強い銘柄は残しつつ、航空、金融、医療、エネルギーにも資金を振り分けるというものです。特に、上昇したデータセンター関連株を一部利益確定し、「何でも大量に買う」姿勢を避けるよう促しました。
2.成長株でも役割が違う
Appleは安定した司令塔、NVIDIAとEli Lillyは長期の複利成長、PalantirとSpaceXは高成長だが高評価、MerckとChevronは守りを担う銘柄として選ばれました。銘柄数を増やすだけでなく、利益の源泉を分けることが今回のポートフォリオの狙いです。
3.Marvellは業績より期待値が先行
Marvellは決算と見通しを上回りましたが、Googleとの協業が本格的に売上へ寄与するまで時間がかかるとの見方から株価が下落しました。事業は強い一方、株価には将来の成功がかなり織り込まれている点が重要です。
データセンター以外で注目された企業
この日のダウ平均は628ドル安、S&P500は0.58%安、NASDAQ総合は0.32%安でした。クレイマーは、投資家がデータセンター建設への反発ばかりに注目し、ほかの成長企業を見落としていると指摘しました。
GE AerospaceとBoeing
GE Aerospace(GE)は、航空機エンジン向け鋳造部品メーカーConsolidated Precision Productsを117億5,000万ドルで買収すると発表しました。重要部品を内製化し、商用・防衛用エンジンの供給制約を緩和する狙いです。
これはBoeing(BA)にも追い風です。Boeingは機体需要が弱いのではなく、供給網と生産の遅れによって納入機会を失ってきました。燃料価格が高いほど燃費性能の高い新型機への更新需要も強まりやすく、エンジン供給の改善は航空機全体の納入増加につながります。
RobinhoodとAffirm
Robinhood Markets(HOOD)は若年層の資産形成を取り込んでいます。直近四半期の入金額は年率換算28%で増加し、入金済み顧客は2,840万人でした。顧客の約4分の3が45歳未満、年齢中央値は35歳という若い利用者基盤が強みです。
Affirm Holdings(AFRM)は、Amazon、Costco、Shopify、Target、Appleなどとの提携を広げ、アクティブ消費者は約2,780万人まで増えました。金利上昇への警戒で株価は売られましたが、クレイマーは年末商戦に向けた利用拡大を評価しています。ただし、信用損失と調達コストは売上成長と切り分けて確認する必要があります。
Hinge Health、Medtronic、Amgen
Hinge Health(HNGE)は、腰痛や関節痛など筋骨格系疾患の治療をオンラインで提供し、費用は主に企業や医療保険者が負担します。2026年4~6月期の売上高は前年同期比53%増の2億1,280万ドル、非GAAP営業利益率は29%でした。高成長と黒字化を両立していますが、株価上昇後の評価倍率は軽くありません。
Medtronic(MDT)は好決算を発表し、糖尿病事業の分離も年末までに進める計画です。それでも株価が決算前の水準へ戻ったため、クレイマーは市場の反応を悲観的すぎると見ました。
Amgen(AMGN)は、Novartisの類似候補薬が心血管試験で失敗したことを受けて急落しました。ただし、Amgenの候補薬は完全に同一ではなく、主要データの公表も2027~2028年です。クレイマーは期待値の剥落がかなり進んだ可能性を指摘しています。
EnbridgeとEnterprise Products Partners
エネルギーではEnbridge(ENB)とEnterprise Products Partners(EPD)が選ばれました。いずれも原油・天然ガス・石油化学製品を運ぶインフラ企業で、資源価格そのものを当てるより、輸送量と分配金に着目する銘柄です。放送時点の利回りはENBが約5.5%、EPDが約5.8%でした。
株式版ファンタジードラフトの11銘柄
前年の同企画で選んだ11銘柄は平均31%上昇し、S&P500の18%上昇を上回りました。今回の選出銘柄は次のとおりです。
クォーターバック
Apple(AAPL)
評価:長期保有
役割:安定した司令塔
ポイント:製品・サービスへの顧客支持が強く、巨額のAI設備投資を自社で抱え込まず、他社との提携を活用しています。ジョン・ターナス氏が2026年9月1日付でCEOに就任しました。
ランニングバック
NVIDIA(NVDA)
評価:長期保有
役割:AIインフラの複利成長
ポイント:半導体だけでなく、ネットワークとソフトウェアを含む総合基盤が強みです。クレイマーは「売買せず保有する」方針を継続しました。
Eli Lilly(LLY)
評価:強気
役割:医薬品の複利成長
ポイント:GLP-1を中心に成長が続く一方、予想PERは年初の約45倍から30倍強へ低下し、以前より評価しやすくなったとしました。
Medline(MDLN)
評価:長期の穴株候補
役割:医療用品流通の安定成長
ポイント:2025年12月に29ドルで上場した医療・外科用品大手です。6月の物流施設火災は短期的な問題とし、長年の売上成長を重視しました。
ワイドレシーバー
Palantir Technologies(PLTR)
評価:強気だが高リスク
ポイント:成長力と事業品質は高いものの、今期予想利益の100倍を超える評価は大きな値動きを招きます。
Amazon(AMZN)
評価:強気
ポイント:AWSの成長が再加速し、予想PERは約20倍。クレイマーは高成長株の中では比較的安心して保有できる銘柄としました。
Dell Technologies(DELL)
評価:強気
ポイント:AIサーバーと関連サービスの需要が強く、急騰後でも事業の変化が十分評価されていないと見ています。
タイトエンド
Hinge Health(HNGE)
評価:成長重視なら強気
ポイント:約50%の増収と黒字化を評価する一方、2月安値から約3倍となり、予想利益の約40倍まで上昇しています。
フレックス
SpaceX(SPCX)
評価:長期強気、短期は慎重
ポイント:ロケット、Starlink、AIを併せ持つ一方、赤字で株価は売上高の約50倍。放送翌日から最大3億1,900万株が売却可能になるため、需給悪化への警戒が必要です。
ディフェンス/スペシャルチーム
Merck(MRK)
評価:守りを兼ねた強気
ポイント:医薬品株としての安定性に加え、Modernaと共同開発するがんワクチンの可能性があります。最大の課題はKeytrudaの特許切れに備えた次の成長源です。
キッカー
Chevron(CVX)
評価:分散目的で強気
ポイント:エネルギー価格上昇への備えとなり、放送時点の配当利回りは約3.4%。ハイテク偏重を和らげる役割です。
Marvellは「好決算でも売られる」局面
Marvell Technology(MRVL)は2027年度第2四半期に売上高27億3,900万ドル、前年同期比37%増を記録し、データセンター売上も46%増えました。会社は通期売上高見通しを120億ドル、翌年度を180億ドルへ引き上げました。
マーフィーCEOによれば、2028年度の売上高180億ドルのうち150億ドル超をデータセンターが占める見込みです。かつて2029年度の目標としていた規模へ1年前倒しで到達する計画で、5年間の売上成長率目標も従来の15~20%から20%超へ引き上げました。
それでも決算後に株価が下がった理由は、Googleとの協業に対する期待が先行していたからです。Googleには最大5,897万株を1株206.58ドルで取得できるワラントが付与されましたが、大部分は2033年度までの対象製品売上に応じて段階的に権利が確定します。最大1,200億ドルという数字は条件達成時の累計対象売上であり、すでに確定した一括受注ではありません。
Marvellは大手クラウド4社すべてとカスタム半導体で取引し、Inphi買収で獲得した光接続技術も持ちます。長期の事業機会は大きいものの、Google案件の本格寄与は先になるため、10月6日の投資家説明会で売上時期と利益率を確認する必要があります。
視聴者質問
Super Micro Computer(SMCI)
クレイマーの回答:投資しない
判定:弱気
理由:受注残や粗利益率の改善より、過去の会計処理への不信を重視しました。AIサーバーを選ぶならDellを優先しています。
Lululemon Athletica(LULU)
クレイマーの回答:まだ買わない
判定:慎重
理由:経営、取締役会、市場への説明に問題があり、約10倍の予想PERでも利益予想が下がる可能性を警戒。株価が85ドル程度まで下がる余地にも言及しました。
Lightning Round
Joby Aviation(JOBY)
クレイマーの回答:事業は興味深いが、損失が大きく投資はしない
判定:慎重/見送り
Reliance(RS)
クレイマーの回答:非常に良い会社。鉄鋼株ではNucor(NUE)をより好む
判定:やや強気
Simon Property Group(SPG)
クレイマーの回答:約4.25%の配当利回りを持つ優良企業。Federal Realty(FRT)も評価
判定:強気
Grab Holdings(GRAB)
クレイマーの回答:投機色が強く、投資対象にしない
判定:弱気
Trinity Industries(TRN)
クレイマーの回答:急落後の水準は悲観的すぎる。「買ってよい」
判定:強気
AstraZeneca(AZN)
クレイマーの回答:臨床試験の失敗が気になり、COPD治療薬だけでは買えない
判定:慎重/見送り
株式の供給増が強気相場を止める可能性
番組最後の論点は、新規株式の供給です。SpaceXのロックアップ解除に加え、Oura、SB Energy、Wella、Anthropicなど大型IPOの可能性があります。新規上場株や売却可能株が増えると、投資家は既存銘柄を売って資金を用意する必要があります。
一方、GE AerospaceによるCPP買収のような非公開企業の取得では、市場に流通する上場株数は減りません。大型IPOによる供給を吸収するには、上場企業同士のM&Aや自社株買いが必要だというのがクレイマーの主張です。
今年のM&A発表額は1兆1,000億ドルを超えていますが、規制・訴訟・株主反対によって完了しない案件もあります。さらに米30年国債利回りが約5.2%なら、株式は安全資産とも資金を奪い合います。企業業績が好調でも、需給だけで上値が重くなる局面を想定しておく必要があります。
銘柄別の投資判断
Apple(AAPL)
判断:強気
理由:顧客基盤と資本効率が強く、AI設備投資リスクが相対的に小さい
監視ポイント:新CEO下の製品戦略、サービス成長、AI機能の利用拡大
見直し条件:製品更新の停滞とサービス成長鈍化が同時に進む場合
NVIDIA(NVDA)
判断:長期強気
理由:AI計算基盤の技術優位と高い成長率
監視ポイント:データセンター売上、粗利益率、クラウド各社の設備投資
見直し条件:主要顧客の投資縮小とシェア低下が重なる場合
Amazon(AMZN)
判断:強気
理由:AWSの再加速と相対的に抑えられた評価倍率
監視ポイント:AWS成長率、設備投資、フリーキャッシュフロー
見直し条件:AI投資増に対してAWSの成長が鈍化する場合
Palantir(PLTR)
判断:中立寄りの強気
理由:事業は強いが、評価倍率が極めて高い
監視ポイント:米国商用売上、契約残、営業利益率
見直し条件:成長率が鈍化しても100倍超の利益倍率が続く場合
Marvell Technology(MRVL)
判断:長期強気、短期は慎重
理由:データセンター事業は加速しているが、Google案件の寄与は先
監視ポイント:10月6日の説明会、カスタム半導体売上、営業利益率
見直し条件:大型案件の量産時期が後ずれし、利益率改善も遅れる場合
Hinge Health(HNGE)
判断:強気だが分割購入向き
理由:高成長と黒字化を両立する一方、株価上昇が速い
監視ポイント:顧客数、請求額、営業利益率
見直し条件:増収率が急低下し、顧客獲得コストが再上昇する場合
SpaceX(SPCX)
判断:長期強気、投機枠
理由:事業の可能性は大きいが、赤字・高評価・株式需給の三つのリスクがある
監視ポイント:ロックアップ解除後の売買、Starlink収益、設備投資と資金需要
見直し条件:成長計画の遅延と資金調達による希薄化が続く場合
日本人投資家向けまとめ
AI・データセンターの長期成長を信じることと、関連株を持ち過ぎることは別問題です。含み益が大きい銘柄は一部を利益確定し、航空、医療、金融、エネルギーへ振り分ける方法があります。
高成長株は同じリスクではありません。AppleやAmazonのような利益基盤のある企業と、Palantir、Hinge Health、SpaceXのように高い将来期待が織り込まれた企業では、許容できる保有比率を分けるべきです。
MarvellのGoogle案件は大きな機会ですが、最大1,200億ドルは条件付きの累計対象売上です。契約見出しより、量産開始時期と利益率を確認する必要があります。
大型IPOやロックアップ解除は、企業価値とは別に株価を動かします。株式供給が増える局面では、一度に買わず、日程を確認して分割する方が現実的です。
円建て投資家は株価だけでなく為替も含めて配分を管理したいところです。特に高PER銘柄へ集中する場合は、ドル安と株価調整が重なるケースを想定しておく必要があります。
免責事項
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