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NVIDIAはAI減速論でも保有?投資回収1年の計算とOpenAIの設備投資継続|Mad Money 2026年9月15日

    AI開発を減速すべきだという議論は、半導体やデータセンターへの需要を本当に減らすのでしょうか。

    今回の「Mad Money」はDreamforceからの特別回です。NVIDIAのジェンスン・フアンCEO、Salesforceのマーク・ベニオフCEO、OpenAIのサラ・フライアーCFOが出演。3人の立場は異なりますが、「安全性を高めてもAI投資そのものは止まらない」という点では一致していました。

    一方、原油高と米10年債利回り5%が株式市場を圧迫しています。AIの成長力だけでなく、高金利下で巨額投資を回収できるかが重要です。発言や株価水準は米国時間9月15日時点です。

    今回の要点

    • NVIDIAはAI設備の投資回収期間を約1年と説明。学習・推論に加え、安全性を検証する計算設備も新たな需要になると見ています。

    • SalesforceはAIでSaaSが不要になるとの見方を否定。Koa、Slack、成果連動型の料金体系で、AIを既存顧客の収益改善へつなげようとしています。

    • OpenAIは最先端モデルを必要に応じて減速しても、計算資源への投資は継続する方針。最大の課題は、安全性と巨額設備投資の回収を両立することです。

    本編・主要テーマ/銘柄解説

    原油高と10年債利回り5%が相場を圧迫

    この日はダウが328.09ドル安、S&P500が0.45%安、NASDAQが0.78%安。AI関連株の一部は前日の急落から持ち直したものの、原油と金利が市場全体を押し下げました。

    WTI原油は約4.4%上昇し、米10年債利回りは一時5.04%へ到達。翌日のFOMCを前に、インフレ再加速と追加利上げへの警戒が強まりました。

    クレイマーは、AIをめぐる市場を二つの陣営に分けています。OpenAIやAnthropicは最先端モデルの開発速度を調整し、安全対策を追いつかせたい。一方、半導体、クラウド、電力、企業向けソフトウェアなど周辺企業は、需要に応えるため設備投資を続けたいという構図です。

    番組で示された結論は、最先端モデルの公開が遅れても、既存モデルの利用、推論、小型モデル、安全性検証には計算資源が必要であり、テクノロジー支出全体が直ちに減るわけではないというものです。

    NVIDIA:1ギガワットのAI工場は約1年で回収できるのか

    ジェンスン・フアンCEOは、2030年にAIによって人類が滅びるといった極端な予測を否定しました。AIの安全性は重要ですが、製品を十分に試験し、安全でなければ公開を延期するという「工学上の問題」として扱えると主張しています。

    フアンCEOが示したAIデータセンターの採算イメージは次のとおりです。

    • NVIDIA製システムを使う1ギガワット規模のAI工場:建設・導入費用は約500億~600億ドル。

    • 同規模の計算能力を貸し出す年間収入:約500億ドル。

    • 現在の想定投資回収期間:約1年。

    • Grace Blackwellのスポット価格:約16ドル/GPU時。約1年前の長期契約には5ドル前後の例もあった。

    これらはフアンCEOが番組で示した試算です。実際の回収期間は稼働率、電力費、金利、保守費用、半導体の更新速度、契約価格で変わります。特に資金調達コストが高い環境では、売上ではなくフリーキャッシュフローで採算を見る必要があります。

    需要面では、AIによるトークン生成量が1年未満で25倍になり、オープンモデルが生み出すトークンの比率も約30%から約70%へ上昇したと説明しました。特定の閉じたモデルだけでなく、企業や国が独自AIを作る動きが計算需要を広げています。

    さらにフアンCEOは、従来の学習用、推論用に続き、安全性を検証する大規模なテスト環境が「第3の計算システム」になると予想しました。開発を慎重に進めるほど、複数の環境でモデルやエージェントを試験する計算需要が増えるという考えです。

    金融面では、NVIDIAの計算設備は幅広いモデルと開発工程に利用でき、耐用年数も長いため、金融機関がGPUを担保として評価し始めていると説明しました。資金力の乏しいAI企業でも設備投資を進めやすくなる一方、GPU価格やレンタル料が下落すれば、担保価値と融資余力が同時に悪化するリスクがあります。

    クレイマーの結論は従来どおり「NVIDIAは売買するのではなく保有する」です。ただし、CEOが示した1年回収は業界全体に保証された数字ではなく、NVIDIA製品を利用する事業者の採算確認が必要です。

    Salesforce:SaaSは終わらず、AIの利用窓口になる

    マーク・ベニオフCEOは、生成AIが既存ソフトウェアを置き換える「SaaS apocalypse(SaaSの終焉)」を否定しました。Salesforce(CRM)は、顧客データ、業務手順、Slack、AIエージェントをつなぎ、企業がAIを利用する土台になることを目指しています。

    Dreamforceで発表された中心製品が、NVIDIAのNemotronを基盤とするCRM向け推論モデル「Koa」です。Salesforceが蓄積した約27年分のCRM知識を基に、営業案件の更新、問い合わせの振り分け、次の対応予定など、複数段階の業務を実行します。

    公式発表では、Salesforce独自のCRMベンチマークで先行モデルと同等以上の性能を示し、エラーは約3分の1。モデルの重み、追加学習、推論をSalesforceの管理環境内に置き、顧客データを学習に使用しない設計です。現在は一部顧客が試験利用し、米国では2026年冬の一般提供を予定しています。

    もう一つの柱はSlackです。ベニオフCEOは、約6年前の買収時には高すぎると批判されたものの、直近四半期の予約額が3桁成長し、Salesforceで最も成長の速い製品になったと説明。Slack上でCRM、AIエージェント、コーディング、レポート作成まで行える環境を整えています。

    料金体系も変わります。従来の利用者数課金だけでなく、AIエージェント数、利用量、処理結果に応じた課金を組み合わせ、場合によってはSalesforceが初期構築費を負担し、顧客が得た売上増や費用削減の一部を受け取る成果連動型も検討しています。

    直近決算では、2027年度第2四半期の売上高が113.5億ドルで前年同期比11%増。通期売上高見通しは461億~464億ドルへ引き上げられました。AgentforceとData 360のARRは約39億ドルで、前年同期比210%超増加しています。

    ただし、AI投資による成長と、Anthropicへの投資評価益や大規模な自社株買いは分けて見る必要があります。Salesforceは250億ドルの加速型自社株買いを負債で調達しました。1株利益にはプラスでも、金利負担と財務余力への影響が残ります。

    OpenAI:減速しても計算資源は減らさない

    サラ・フライアーCFOは、最先端モデルについて研究者が安全確認のため減速を求めれば従うと説明しました。しかし、投資全体を縮小するのではなく、十分な収益性を確認しながら計算資源を増やす姿勢は維持しています。

    理由は、現在のモデルだけでも医療、金融分析、プログラミングなどに利用余地があるためです。最先端モデルは高性能な小型モデルを学習させる役割も持ちます。低価格モデルLunaでは料金を80%引き下げた結果、需要が10倍になったと説明しました。利用単価を下げても、使用量の増加で計算需要と売上を伸ばす戦略です。

    OpenAIの公式資料では、年間経常収益が2023年の20億ドルから2025年に200億ドル超へ増加。同じ期間に利用可能な計算能力も0.2ギガワットから約1.9ギガワットへ拡大しています。フライアーCFOは、計算能力を増やすほど製品と売上を拡大できるという前提を維持しています。

    番組で明らかにした主な事業・資金面の説明です。

    • 利用者の約90%は無料でChatGPTを使用。

    • 広告事業は開始から7カ月で10億ドル規模へ到達。

    • 2026年第1四半期に1,220億ドルの調達枠を確保し、パートナーへの支払いと設備投資に備えた。

    • IPOは事業の節目にすぎず、時期を急がず資金と成長機会を優先。

    これらは非上場企業であるOpenAIのCFOによる説明です。公開企業のような継続的な財務開示はなく、売上総利益が大きくても、減価償却、電力、開発費、資金調達コストを含む最終的なキャッシュフローは別に確認する必要があります。

    サイバー対策はAI投資の新しい支出先

    OpenAIが強調したもう一つのテーマは、AIによる攻撃にAIで対抗する「ディフェンダー・モーメント」です。

    フライアーCFOによると、最新モデルAstraはソースコードの脆弱性を探すベンチマークで100%の成績を記録しました。OpenAI自身もモデルを社内システムへ向け、エンジニアの25%を一時的に脆弱性の修正へ振り向けたとしています。

    重要なのは、脆弱性を一覧化するだけでなく、攻撃側と同じ機械速度で修正することです。OpenAIはコード生成ツールを使い、検出から修正までを自動化しようとしています。CrowdStrikeやPalo Alto Networksなど既存のサイバーセキュリティ企業にとっても、AIエージェントの監視と防御は新たな成長市場です。

    ただし、AI企業が自社モデルの安全性を自社評価するだけでは利益相反が残ります。フライアーCFOは、米英の安全機関や100社以上の企業と連携し、より多くの組織が検証へ参加する必要があると述べました。

    OpenAIはNVIDIA、Broadcom、AMDを使い分ける

    OpenAIは一社へ依存せず、用途に応じて半導体を使い分ける方針です。

    • NVIDIA:大規模モデルの学習を支える中心的なプラットフォーム。

    • Broadcom:OpenAI向けに設計した推論半導体Jalapeño。

    • AMD:MI455を複数用途で利用できる代替候補として評価。

    • Cerebrasなど:特定処理や供給分散の選択肢。

    フライアーCFOは、性能と価格だけでなく、TSMCなどの供給網が滞った場合に備えるリスク管理だと説明しました。複数社を採用すれば調達交渉力も高まります。

    NVIDIAの優位性が直ちに失われるという話ではありません。学習ではNVIDIA、専用推論ではBroadcom、供給分散ではAMDという役割分担が進む可能性を示しています。AI設備投資の拡大は複数の半導体企業へ恩恵を広げますが、個別企業のシェアと利益率には差が出ます。

    銘柄別の投資判断

    以下は番組での姿勢を要約したものです。監視ポイントと見直し条件は、番組内容と公式資料から整理した補足で、クレイマーの直接発言ではありません。

    NVIDIA(NVDA):長期強気、保有継続

    • 理由:学習、推論、独自AI、安全性検証へ需要源が拡大。

    • 監視:データセンター売上、GPUレンタル価格、クラウド事業者の稼働率。

    • 見直し条件:設備投資が増えても顧客の投資回収が悪化し、注文延期や価格下落が続く場合。

    Salesforce(CRM):強気寄り、実績確認が必要

    • 理由:CRMデータと業務フローをAIへ接続でき、Agentforce、Data 360、Slackが高成長。

    • 監視:AI・データ製品のARR、成果連動型契約の採算、営業キャッシュフロー。

    • 見直し条件:AI製品の成長が既存SaaSの鈍化を補えず、負債と金利負担だけが増える場合。

    Broadcom(AVGO)/AMD(AMD):条件付き強気

    • 理由:OpenAIの供給分散と、推論向け専用半導体の拡大。

    • 監視:BroadcomはJalapeñoの量産・売上化、AMDはMI455の採用規模と利益率。

    • 見直し条件:採用発表が実際の出荷や利益へつながらず、設備の稼働開始が後ろ倒しになる場合。

    AIインフラ全体:需要は強いが、高金利下では選別

    • 最大リスク:顧客の売上が設備投資と借入コストに追いつかず、発注延期・契約価格低下・資産価値下落が連鎖すること。

    • 監視:米10年債利回り、GPU時間単価、ハイパースケーラーの設備投資とフリーキャッシュフロー。

    • 見直し条件:稼働率とレンタル価格が下がる一方、金利と電力費が高止まりする場合。

    日本人投資家向けまとめ

    • AI開発の減速は、半導体需要の消滅ではありません。推論、小型モデル、安全性検証へ投資先が移る可能性があります。

    • NVIDIAの「1年で投資回収」は強気材料ですが、売上ベースの試算です。利用企業の金利・電力・減価償却を含むキャッシュフローを確認したいところです。

    • Salesforceの評価では、AIの話題性より、Agentforce・Data 360・Slackが既存顧客から追加収益を生むかが重要です。

    • OpenAIの半導体分散はNVIDIA排除ではなく、学習・推論・供給リスクごとの使い分けです。複数銘柄を持ってもAI設備投資への集中は残ります。

    • 原油高と米10年債利回り5%は、高PERのAI株に共通する逆風です。企業への強気と、一度に買わない資金管理は両立します。

    今回の持ち帰りは、「AIは減速するか」という二択ではなく、安全性のために何へ計算資源を振り向け、その投資を誰が利益として回収できるかを見ることです。

    免責事項

    本記事は公開番組と資料の整理・解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。企業経営者の予測は実現を保証せず、市場環境や情報は変化します。投資判断はご自身の責任で行ってください。

    出典

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