メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ゴールドマンとWorkdayは買い場か?好決算でも売られる相場の読み方|Mad Money 2026年10月14日

    10月14日の『Mad Money』でジム・クレイマーが取り上げたのは、好決算でも下げる銀行株と、AI関連株の評価の入れ替わりでした。

    企業が稼ぐ力と、その利益に投資家が払う価格は別です。銀行ではゴールドマン・サックスとウェルズ・ファーゴへの強気を維持。一方、AI向けハードウェアの底打ち判断を急がず、Workdayなど企業向けソフトウェアの再評価に注目しています。

    今回の要点は3つ

    1. 銀行株は、決算実績より先行きへの警戒で売られている。 ただし各行の内容は異なり、クレイマーはゴールドマンとウェルズの下落を買い場と評価しました。

    2. Workdayは、AIに置き換えられる側から、AIを業務に組み込む側へ。 人事・財務データと業務ルールを持つ強みが、経営陣の説明の中心です。

    3. 半導体・サーバー株の下落は、利益悪化だけでは説明できない。 高くなったPERの修正が進む一方、ソフトウェアでは過度な悲観の巻き戻しが起きている、という見方でした。

    インフレとAIの資金調達不安が重なる

    この日の相場を難しくしたのは、原油高、インフレ、追加利上げへの警戒、そしてAIデータセンター事業者の資金繰りへの不安が同時に動いていたことです。

    米労働統計局が発表した9月のCPIは、季節調整済みの前月比で0.6%上昇、前年同月比で3.7%上昇。ガソリンは前月比9.1%上がり、総合指数の月間上昇の半分超を占めました。クレイマーは、燃料費上昇が経済全体に広がりつつあることを警戒しています。

    一方、インフレ指標が強かったにもかかわらず、長期金利は一方向には上がりませんでした。彼は、ネオクラウドと呼ばれるAI向けクラウド事業者への懸念から、安全資産に資金が逃げた可能性を挙げました。これは資金移動についてのクレイマーの解釈です。

    特に名前が出たのはCoreWeave(CRWV)。株価だけでなく社債の動きを問題視し、データセンター建設を続ける資金を確保できるのかが、関連株全体の重荷になっていると述べました。経営者が市場の反応を不合理と考えていても、それだけで資金調達への不安は消えません。

    イランとの戦争終結で原油が急落すれば、インフレや追加利上げの必要性も変わり得ると指摘。ただし、原油半値という話もクレイマーの仮定に基づく見通しです。

    食品・日用品株の相場主導も、景気への警戒の表れと解釈。それでも、相場から完全に離れると急反発を捉えにくいとして、すべてを投げ売りする行動には否定的でした。

    銀行6行の決算――同じ下落でも中身は違う

    銀行株にとって、長期金利の上昇は必ずしも追い風だけではありません。利息収入が増える余地がある一方、借り入れ需要や企業活動を冷やす可能性があります。IPOやM&Aが鈍れば、投資銀行手数料にも響きます。

    銀行株は、決算内容、収益源、経営改善の進み方を分けて評価しました。以下は番組内のクレイマーの見解です。

    • Wells Fargo(WFC):押し目に強気
      売上高は期待に届かなかった一方、EPSは1.87ドルで前年同期比13%増。クレイマーは、純金利マージンの安定と費用管理を評価しました。会社資料でも純金利マージンは前四半期と同じ2.43%、経費率は前年同期の65%から63%へ改善しています。経費率は収益に対する費用の割合で、低い方が効率的です。彼は運用する慈善信託で評価を引き上げ、売られた場面を買いの機会と捉えました。

    • JPMorgan Chase(JPM):目先の未達より先行きを評価
      クレイマーは売上・利益の市場予想未達を指摘しましたが、説明会で示された純金利収入の見通しには前向きでした。会社資料の2027年の暫定的な中心シナリオは、市場部門を除く純金利収入が約1,070億ドル。これは将来の見通しです。ジェイミー・ダイモンCEOの説明も、いつもほど悲観的ではなかったと受け止め、中期的には勝ち組との評価でした。

    • Citigroup(C):再建を信じるなら買い場
      前年の特殊要因を除いたEPSは27%増。報告ベースでは53%増なので、二つを混同しないことが大切です。それでも株価が大きく下げた理由について、彼は十分な説明を見いだせず、それまでの相対的な好調さの反動を疑いました。ジェーン・フレーザーCEOの再建策を支持し、下落を買いの機会と見ています。

    • Bank of America(BAC):決算内容にも弱さ
      他行と違い、単に好決算が無視されたケースとは評価していません。資本市場関連の弱さと、マネーロンダリング対策を巡る規制対応が重なりました。FinCENの制裁金は12億ドル。会社発表のEPSは0.91ドルで、この規制和解費用を除いた調整後EPSは1.08ドルです。クレイマーは一時費用だけを問題にしたのではなく、本業の一部の期待未達も指摘しました。一方、預金・貸出の成長や日中の株価の戻りには一定の評価を示しています。

    • Goldman Sachs(GS):今回、特に強い買い判断
      売上高は186.8億ドルで前年同期比23%増、EPSは17.01ドルで約39%増。株式関連収益が72%増え、投資銀行手数料も21%増加しました。債券・為替・商品取引には弱さが残りましたが、クレイマーは全体を強い決算と評価。それでも売られたことに対し、市場の判断に同意できないと述べ、慈善信託で買い評価を強めました。

    • Morgan Stanley(MS):堅調な決算でも市場は慎重
      売上高は約203億ドルで前年同期比約12%増。ウェルスマネジメントの収益は過去最高となり、資産運用部門と合わせた顧客資産は10.5兆ドルでした。クレイマーは事業の強さを認めましたが、それでも株価を押し上げるには足りなかったと説明。ゴールドマンやウェルズほど明確な追加購入の話には踏み込んでいません。

    この6行を通じた論点は、良い決算と、良い決算後の株価反応は同じではないということです。市場は過去3カ月の利益より、インフレ、金利、資本市場の鈍化が次の四半期にどう響くかを気にしています。

    ただし、ゴールドマンの実績にも強弱はあります。公式資料では投資銀行手数料の受注残は前四半期末から減少しています。クレイマーが経営陣の前向きな説明を評価したことと、すべての先行指標が改善したことは別です。彼の強気判断は、懸念がなくなったという宣言ではありません。

    Workday――AIは業務ソフトを壊すのか、強くするのか

    インタビューに登場したのは、Workday(WDAY)の共同創業者・会長兼CEO、アニール・ブースリ氏です。復帰後の経営を、新技術の登場を受けて会社をもう一度立ち上げ直すような取り組みとして説明しました。

    彼の主張は、AIをクラウドの次に来る全面的な置き換えと考えると、企業向けソフトウェアの役割を見誤る、というものです。人事や財務には、誰を雇用しているか、給与をどう計算するか、誰にどの承認権限があるかという基盤があります。AIの推論だけで、その仕組み全体を代替できるわけではありません。

    給与計算や決算処理は、決められたルールで正確に完了させる必要があります。一方、問い合わせ対応や情報検索、作業の途中の判断補助にはAIを使える。この二つを組み合わせることが、同社の戦略です。

    会社発表でも、Anthropicとの提携はClaudeの推論能力とWorkdayのデータ・業務ルールを接続するものと説明されています。ClaudeからWorkdayの情報を扱う場合も、既存の権限や監査の仕組みを適用する構想です。クレイマーは、Workdayを脅かすとされたAI企業が実際には提携相手になっている点を重視しました。

    ブースリ氏は具体例として、セブン‐イレブンの採用にかかる時間がAI活用で70%短縮された事例や、セルフサービス型エージェントの利用が3カ月で100万人に達したことを説明しました。これらは番組で紹介された利用事例・経営陣の説明であり、Workday全社の利益が同じ割合で伸びたという意味ではありません。

    操作の入口となるSanaも、質問に答えるだけでなく、従業員が必要な業務を終えられるようにする役割を担います。

    さらに同社は、ID・アクセス権限管理を手がけるC1.aiの買収で合意しました。人事システムが持つ入社・異動・退職の情報を、人とAIエージェントのアクセス管理につなげる狙いです。買収は完了済みではなく、会社発表では2027年1月期の第4四半期に完了予定とされています。

    クレイマーはWorkdayを高く評価し、買っておかなかったことを惜しみつつ、再び機会が来る可能性に言及しました。ただし、買収観測についてブースリ氏が具体的な取引を確約したわけではありません。番組の強気材料は、買収プレミアムよりも、AIを取り込む事業の立て直しにありました。

    ハードウェアからソフトウェアへ――動いているのはPER

    最後の解説では、ハードウェアとソフトウェアの株価を、PERの変化から整理しました。

    AIブームでは、Micron(MU)、Dell Technologies(DELL)、AMD(AMD)など、データセンターに必要な部品や機器を供給する企業に高い評価が付きました。一方、WorkdayやSalesforce(CRM)、ServiceNow(NOW)などには、生成AIに事業を奪われるという悲観が向けられていました。

    クレイマーの見方では、いまその評価が巻き戻されています。ハードウェア側では利益予想が強くても、その利益に付ける倍率が下がる。ソフトウェア側では業績予想が大幅に上がらなくても、事業消滅への恐れが薄れることで倍率が上がる、という動きです。

    ASML(ASML)は、その違いを考える材料になります。同社の第3四半期売上高は約117億ユーロ、純利益は約50億ユーロ。会社はAI関連投資を背景に顧客需要が強く、現時点の生産計画では2027年と2028年の需要を満たしきれないとの見通しを示しました。それでも番組では、株価が売られた事例として取り上げられています。

    例えば予想EPSが10ドルで変わらなくても、PERが40倍から30倍になれば、単純計算の株価は400ドルから300ドルになります。これは仕組みを説明する仮の例です。クレイマーが強調したのは、好調な業績だけでは高い株価を支えきれない場面がある、という点でした。

    彼は、データセンターにハードウェアが必要であることまで否定していません。ただし値動きが激しく、底を打ったと断言するには早いと判断。一方、企業向けソフトウェアには過度に低かった評価が戻る余地があると見ています。

    視聴者の質問・ライトニングラウンド

    • Walmart(WMT):強気、売却に反対
      厳しい消費環境でも勝ちやすい企業と評価。番組で触れた約40倍のPERを承知したうえで支持し、Costco(COST)の保有にも肯定的でした。

    • Tesla(TSLA)/SpaceX:より好むのはSpaceX
      Teslaの質問には、SpaceXへの強気を軸に回答しました。両社を巡る再編の可能性に触れた部分はクレイマーの推測で、発表済みの買収計画を紹介したものではありません。

    • PayPal(PYPL):積極的には選ばない
      経営改善の可能性は認めつつ、低PERだけでは魅力が足りないと判断。買収される期待だけを理由に保有することにも否定的でした。

    • X-energy(XE):見送り
      原子力需要の拡大という話より、現状の赤字を重視。金利上昇下で赤字企業を勧めることに慎重でした。

    • McKesson(MCK):強気
      医薬品流通の仲介企業としての立場を踏まえても、いまの環境で評価できる銘柄と回答しました。

    • Vishay Precision Group(VPG):下落待ち
      精密計測・センサー企業への質問には、現在の評価は高いと判断。買うなら、そこから約10%下がる場面を待つという条件付きでした。

    • Medtronic(MDT)/MiniMed(MMED):Medtronicを選好
      2社の比較ではMedtronicと即答。番組内で触れたPERは約15倍で、MiniMedよりこちらを好むという判断でした。

    • Cipher Digital(CIFR):弱気
      大きな赤字を理由に支持せず。AIインフラ関連企業の社債や相次ぐ資金調達への懸念を、ここでも繰り返しました。

    ※本稿は番組内容と公開資料の要約です。売買判断は放送時点のクレイマーの見解であり、特定の投資行動を勧めるものではありません。

    出典・補足資料

    #米国株 #MadMoney #ジムクレイマー #銀行株 #ゴールドマンサックス #Workday #AI関連株 #投資  

    あなたへのおすすめ