
Schwabとキンバリー・クラークは買い場か?AI株から広がる物色|Mad Money 2026年10月15日
AIデータセンター関連株が揺れる一方、生活必需品、外食、小売、ソフトウェアなどに資金が広がる。10月15日の『Mad Money』でジム・クレイマーが強調したのは、こうした局面で分散投資が果たす役割でした。
個別株ではCharles Schwab、VF、Kontoor、Kimberly-Clarkを分析。悲観が株価に織り込まれた企業の変化を探す姿勢が、共通していました。
今回の要点は3つ
AI株への集中が崩れるとき、異なる収益源を持つ銘柄が支えになる。 クレイマーは、データセンター関連株の調整と非テック株への資金移動を、分散の意義が表れた場面と評価しました。
Schwabは、顧客資産の流入と利ざやを分けて読む。 顧客基盤は拡大していますが、調達コストや預金への懸念が株価の重荷。彼はAIによる事業侵食の懸念を過大と見ています。
VF・Kontoor・Kimberly-Clarkには、それぞれ個別の再評価材料がある。 ブランド人気、事業売却と株主還元、買収後の成長という違いがあり、景気敏感株や高配当株という分類だけでは捉えきれません。
AI株が揺れる日こそ、分散の意味が見える
冒頭では、AIデータセンター株から生活必需品や医薬品、小売、外食などへ資金が広がった相場を振り返りました。人気分野が上がる間は退屈に見える分散も、その分野が崩れると役割が変わると説明しています。
警戒したのは、AI需要そのものだけではありません。データセンター建設には巨額の資金が必要で、金利上昇下では資金調達の難しさが増す。その不安が、設備を買う事業者から、半導体や関連機器を供給する企業へ波及するという構図です。
CoreWeave(CRWV)については、株価以上に社債の悪化が市場を動揺させたと指摘しました。また、SK hynixとSamsungの下落が米国の半導体株にも影響していると解釈。韓国株の夜間の動きを米国市場の先行材料として見ている、と繰り返しました。国をまたぐ売買の連鎖については、クレイマーの相場観です。
Anthropicの売上拡大についても、絶対額の大きさより成長率の鈍化が注目される厳しい環境だと説明しました。良い業績が出れば、関連株がすぐ上昇に戻るとは限らないということです。
慈善信託でCorning(GLW)の一部を売り、Kimberly-Clark(KMB)を買った判断も、分散の例として振り返りました。ただし、非テック株への物色の持続や、AI株の不安解消までは断定していません。
ここでの最大の警戒点は、同じAI投資に依存する企業を何社持っても、資金調達環境が悪化すれば一緒に売られ得ることです。借り入れで集中投資すると、長期の需要を信じていても、下落の途中で持ち続けられなくなる可能性があります。
Charles Schwab――好調な資産流入でも売られた理由
クレイマーはCharles Schwab(SCHW)の決算を、全体として強い内容と評価しました。しかし株価は一時大きく下げ、番組では終値でも約2.7%安だったと紹介しています。
会社発表の第3四半期実績は、売上高が前年同期比17%増の約72億ドル。GAAPベースのEPSは1.62ドル、調整後EPSは1.69ドルで、いずれも約29%増でした。コア純新規資金流入は過去最高の1,904億ドルとなり、前年同期比38%増。新規証券口座は120万件でした。
市場が気にしたのは、資金がどの形で集まるかです。投資に回る資金と低コストの預金では、会社の収益に与える効果が異なります。
純金利マージンは3.04%。前四半期からは拡大しましたが、クレイマーは市場の期待に届かなかったと説明しました。貸出が伸びる一方で預金の伸びが追いつかなければ、別の資金調達が必要となり、金利の高い環境では費用がかさみます。彼も、この点まで無視して強気になったわけではありません。
AIエージェントが顧客資金を低金利口座から移し、安い調達資金を減らすという懸念にも言及。ただし、顧客が口座操作を外部AIに任せるとは限らず、市場が影響を先回りしすぎていると主張しました。
番組で紹介された経営陣の説明では、現金の動きには投資への振り向けが含まれ、無許可の外部エージェントによる口座へのアクセスにも対応しています。AI利用が直ちに顧客流出を意味するわけではない、というのが彼の受け止めです。
さらに、低利回りで運用している証券が満期を迎えれば、より高い利回りへ再投資できる余地にも注目。番組時点の株価約94ドルに対して、予想PERは今年が15倍未満、来年が12倍弱と紹介しました。これは将来利益予想に基づく評価で、実績PERではありません。
Charles Schwab(SCHW):買い判断
利ざやの懸念は残るものの、資金流入と顧客基盤の成長に対して評価が低いと判断。急落後に戻したため、再び下がれば、さらに良い購入機会になり得ると述べました。
VF――Vansの底入れを見直す
VF Corporation(VFC)はThe North Face、Vans、Timberlandなどを持つアパレル企業です。クレイマーが見方を変えるきっかけになったのは、TruistとPiper Sandlerによる格上げでした。
長年の問題はVansの低迷です。2026年7月発表の2027年度第1四半期でも、Vans売上高は為替一定ベースで前年同期比9%減。米州の直販は伸びたものの、世界の卸売の落ち込みを補えませんでした。一方、The North FaceとTimberlandは成長しています。
クレイマーが特に評価したのは、番組で紹介したPiper Sandlerの10代向け調査です。Vansの人気順位の悪化が落ち着き、一部顧客層では改善が見られることや、来店・オンラインの動き、新商品の卸売展開に回復の兆しがあると説明しました。
両証券会社の目標株価は20ドル。番組で触れた予想PERは約16倍でした。ただし20ドルはアナリストの目標で、会社が保証する株価ではありません。人気調査の改善も、Vans全体の売上がすでに増収へ転じたこととは区別する必要があります。
VF Corporation(VFC):買いへ見方を変更
ブラッケン・ダレルCEOの再建策に、Vansの改善兆候が重なった点を評価。弱い景気環境でも、ブランド再建という固有の材料で見直される余地があると判断しました。
Kontoor――デニム回復とLee売却後の資金配分
Kontoor Brands(KTB)は、VFから2019年に分離した企業です。WranglerやLeeを持ち、2025年にはHelly Hansenを取得しました。番組時点では、Lee事業の売却を進めています。
クレイマーは、Jefferiesがデニム分野への強気判断の一環としてKontoorを買いへ引き上げ、目標株価を82ドルから89ドルへ上げたことに注目しました。スポーツウェア中心の流行から、カジュアルや1990年代風の服装へ人気が移れば、Wranglerなどに追い風になるという見方です。
もう一つの材料は資本配分です。Lee売却の公表条件は、完了時の現金7.5億ドルと、業績条件に応じた最大2.5億ドルの追加対価。最大10億ドルが、すべて確定した現金で入る契約ではありません。
会社は8月の決算発表で、Lee売却完了後に4億ドルの加速型自社株買いを行い、残りの見込資金を任意の債務返済へ充てる方針を示しています。自社株買いは実施済みの実績ではなく、取引完了を前提とした計画です。
クレイマーは、番組で示した予想PER14倍弱という評価と、自社株買いの規模、Helly Hansenの成長余地を組み合わせて好意的に見ました。アパレル全体の景気回復だけに賭ける企業ではない、という評価です。
Kontoor Brands(KTB):買い判断
Wranglerの需要、Helly Hansenの育成、事業売却後の株主還元を評価しました。
Kimberly-Clark――Kenvue買収で新たな支持者が現れるか
生活必需品株の中心に据えたのはKimberly-Clark(KMB)でした。クレイマーは、Kenvue(KVUE)の買収完了が近づけば、同社を推すアナリストが増える可能性があると見ています。
Kenvueは、Johnson & Johnsonから分離した消費者向けヘルスケア企業です。Tylenol、Listerine、BAND-AIDなどのブランドを持ちます。Kimberly-Clarkが持つ販売・マーケティングの力を組み合わせれば、ブランドの成長余地を引き出せるというのが番組での強気論でした。
買収合意は2025年11月に発表済みです。現金と株式を組み合わせる取引で、Kenvue株1株に対し、現金3.50ドルとKimberly-Clark株0.14625株を交付する条件です。番組では、中国・ブラジルの規制承認が進んだと説明し、クレイマーは数週間程度での完了を予想しました。ただし、これは彼の時期予想であり、完了済みという意味ではありません。
また同社は10月15日、第3四半期の暫定数値を公表し、2026年の見通しが従来予想と整合的だと説明しました。この見通しには、未完了のKenvue買収の影響を含めていません。正式な第3四半期決算発表は11月5日です。
クレイマーの注目点は、これから評価が変わる余地でした。すでに多くのアナリストが買いを推奨している銘柄より、まだ中立評価が多い企業に、新たな買い推奨が付く方が材料になりやすいと説明しています。格上げが実際に決まっているという話ではありません。
Kimberly-Clark(KMB):中長期の投資対象として強気
番組時点で約5%の配当利回りと、買収後の再評価を期待。短期の格上げだけを狙う取引ではなく、事業の変化を評価する投資として勧めました。買収完了や統合効果には不確実性が残ります。
視聴者の質問・ライトニングラウンド
以下は放送時点のクレイマーの判断です。質問者の状況に応じた回答を含みます。
Lyft(LYFT):積極的な買い判断は示さず
経営や直近業績は評価しつつ、株価が一定範囲を行き来する銘柄と説明しました。UBS(UBS):調査待ち
ウェルスマネジメントへの展開には関心を示しましたが、十分に調べていないとして、その場で買いを推奨しませんでした。Capital One Financial(COF):支持を継続
Discover統合後の展開と経営陣を評価。貸倒れリスクを直接負わないVisa(V)やMastercard(MA)が好まれている点にも触れながら、Capital Oneへの期待を維持しました。Jersey Mike’s Subs(JMKE):決算前の購入に前向き
チャーリー・モリソンCEOを支持し、低迷していた外食株に買いが広がったことも踏まえた回答。会社の決算予定日は10月28日です。Home Depot(HD):保有継続、金利低下時の回復を期待
足元の停滞は認めつつ、約3%の配当利回りに言及。住宅関連では、Builders FirstSource(BLDR)の下落を拾うよりHome Depotを選びました。金利低下が必要という条件付きの強気です。Reddit(RDDT):買い判断
年初来の大幅な下落後は価格に魅力があるとして、購入を支持しました。Exxon Mobil(XOM)/Chevron(CVX):Chevronを選好
Exxonも良い企業と認めたうえで、税負担の問題がなければChevronへの入れ替えを提案しました。Rocket Lab(RKLB):売却機会と判断
Neutron初打ち上げの延期に対して、株価への打撃がもっと大きくても不思議ではなかったと回答。会社も10月14日に、初打ち上げ見通しを2027年へ変更しています。Enterprise Products Partners(EPD):保有に肯定的
原油価格の下落を心配する質問に、天然ガス液や分留などの事業を挙げて回答。原油価格と同じ動きで業績を決めつけるべきではない、という趣旨でした。SiTime(SITM):見送り
良く経営されている企業とは認めつつ、金利上昇局面で高い利益倍率を払うことには否定的でした。Coherent(COHR):支持、比較ではCorningを最も評価
データセンター投資への不安はあるものの、光通信への移行という長期材料を評価。Lumentum(LITE)にも肯定的で、3社のなかではCorning(GLW)を最も好むと述べました。Valero Energy(VLO):非常にリスクの高い取引
戦争で精製マージンが高い状態が続くかに左右されると警告。原油高だけを理由に安定した利益を見込む回答ではありませんでした。
Netflix(NFLX)の人員削減には、従業員・家族への影響を問う質問もありました。クレイマーは痛みを認めつつ、競争力維持のために必要な場合があると説明。十分な退職支援を望みましたが、売買判断は示していません。
番組最後の追加質問――Microsoftは維持、Oracleは縮小
Hinge Health(HNGE):強気
継続収益を得る事業モデルを高く評価。質問者が投機的な投資と捉えていたのに対し、彼自身は事業の質を肯定しました。CAVA(CAVA):長期では肯定的
外食企業として値動きの大きさは認めつつ、財務への懸念を理由に避けているわけではないと説明しました。Microsoft(MSFT):決算前も保有継続
特にAzureに強い数字を期待し、そのまま保有するよう回答。好決算の発表を確認した後の判断ではありません。Oracle(ORCL):質問者には半分売却を提案
含み益がある退職者の質問に、翌日に50%を売り、残りを保有する案を提示しました。大きく上がった機会を使って減らす、Microsoftとは対照的な慎重姿勢でした。
債券への投資方法の質問には、資金待機型の運用商品や銀行のCD(定期預金商品)も候補として挙げました。預金商品と長期債は仕組みが異なり、個別商品の比較までは行っていません。
※本稿は番組と公開資料の要約です。売買判断は放送時点のクレイマーの見解であり、特定の投資行動を勧めるものではありません。