
METAは広告会社から変わる?AIエージェントの勝者とBWXTの成長戦略|Mad Money 2026年9月29日
今回の「Mad Money」は、AIへの期待と社会の不安、その両方が株価へ影響し始めたことを考える回です。
クレイマーは、金利上昇で市場の足元が弱くなる一方、AIに対する雇用・電力・安全面の懸念も重くなっていると指摘しました。ただし、AIエージェントが普及するからといって、消費関連株をすべて売る必要はありません。Metaの中小企業向けサービスと、BWX Technologiesの原子力事業には、具体的な成長機会を見ています。
※株価変動、評価、経営陣の説明は、原則として番組放送時点のものです。
今回の要点
1.AI株には、業績だけでなく社会的な信頼も必要
AIで誰が利益を得て、誰が負担を引き受けるのか。雇用や電力料金への不安が強まれば、規制や導入の遅れを通じて企業価値へ影響します。技術の性能だけではなく、利用者や地域社会へ利益を示せるかが重要です。
2.AIによる「消費者の見直し」は、企業ごとに影響が違う
使っていない契約や比較されてこなかった料金は、AIエージェントによって見直されやすくなります。一方、独自の宿泊物件、熱心な利用者、信頼関係を持つ企業まで同じように弱くなるとは限りません。クレイマーはAirbnbを買い候補として評価しました。
3.METAとBWXTは、違う形でAI需要を取り込む
Metaは中小企業の業務支援を通じて、広告以外の継続収入を広げる可能性があります。BWXTは、既存の国防関連事業を土台に、電力需要の拡大による民間原子力市場の成長を狙います。いずれも将来性と、実際の収益化・受注の進展を分けて確認する必要があります。
指数以上に弱い市場の足元
この日のダウ平均は132ドル安、S&P 500は0.17%安、NASDAQは0.09%安でした。原油価格の下落で安値から戻しましたが、長期金利の上昇は続き、番組では米30年国債利回りが24年ぶりの高水準に達したと説明しています。
クレイマーが警戒したのは、指数の下落幅よりも市場内部の弱さです。
S&P 500構成銘柄の半数超が200日移動平均線を下回る
52週安値を更新する銘柄数が、高値更新銘柄数を9営業日連続で上回る
204銘柄が高値から20%超下落し、構成銘柄の4割超が弱気相場の状態にある
大型株が指数を支えていても、多くの個別株では調整が進んでいるということです。クレイマーは、金利が上がり続ける限り、10月も難しい相場になり得るとみています。
景気の弱さが金利を抑える可能性もあります。ダラス連銀の9月テキサス・サービス業調査では、売上指数が前月の6.6からマイナス0.9へ低下しました。ただし、これは地域の調査であり、将来の活動見通しにはプラスの項目もあります。米国全体の急激な景気後退を、それだけで断定できる数字ではありません。
AIの成長物語に、社会的な反発が加わる
以前は、AIの生産性向上やデータセンター建設による雇用が注目されていました。今は、仕事を失う不安、電力・水資源の負担、安全性への懸念が前面に出てきたとクレイマーは指摘します。
AI企業や投資家にとっての利益が、そのまま一般家庭の利益になるとは限りません。企業側が将来の可能性を語るだけでは、負担を心配する人々との距離は縮まりにくいという問題意識です。
その一方で、NVIDIA、CrowdStrike、Palo Alto Networks、Oktaなどが安全対策や管理の仕組みを示していることは評価しました。AIを止めるか推進するかの二択ではなく、技術的な対策と説明責任によって信頼を積み上げる必要があります。
政治面でも、社会的な反発が強まれば監督や規制が厳しくなる可能性があります。番組で示された選挙後の見通しはクレイマーの予測であり、決定済みの政策ではありません。
Metaの中小企業支援は、この問題への具体的な回答として紹介されました。AIの価値を抽象的な未来ではなく、経営者の時間や手間を減らす形で見せられるからです。
AIエージェントで消費関連株はどう変わるか
Metaの個人向けAIエージェント「Muse」は、利用者に代わって作業を進めるサービスです。クレイマーは、この仕組みが消費者の「面倒だからそのままにしておく」という行動を変える可能性に注目しました。
使っていない会員契約を解約する、料金を比較する、もっと安い選択肢へ切り替える。これまで手間がかかっていた作業をAIが引き受ければ、企業側の収益にも影響します。
番組では、Muse登場後の株価下落として、Planet Fitnessの約18%安、Booking Holdingsの約10%安、Expediaの約3%安を挙げました。ただし、この期間の下落がすべてMuseによって生じたと実証されたわけではありません。
クレイマーの銘柄別の見方
Planet Fitness(PLNT):解約リスクを警戒
低価格でも、あまり利用しないまま契約を続ける顧客がいるモデルです。AIが支出を点検するようになると、見直し対象になりやすいとみています。Life Time Group(LTH):相対的に影響が小さい
会費は高くても、施設を頻繁に使う顧客が多いと評価。料金の高さだけでなく、顧客が実際に価値を感じているかが違いになります。Booking Holdings(BKNG)・Expedia(EXPE):仲介不要論だけで判断しない
AIに予約機能を奪われるとの懸念は、ChatGPT登場後にも繰り返されました。それでも全面的な置き換えは起きておらず、ExpediaはMuseとの協業にも動いていると説明しました。Airbnb(ABNB):買い候補として強気
独自の宿泊物件とホストのネットワークが強みです。AIが検索を便利にしても、物件の供給や予約の仕組みまで簡単に代替できるわけではないとして、売られた局面を機会とみています。DoorDash(DASH)・Uber(UBER)・Lyft(LYFT):懸念と実害を分ける
AIによる価格比較や直接取引への不安はありますが、既存の配送・配車ネットワークを不要にするとは限りません。DoorDashが過去のAI懸念による下落から反発した例を挙げ、悲観的なシナリオを既定路線にしないよう求めました。New York Times(NYT):熱心な読者が支え
独自のコンテンツを求めて購読する顧客まで、機械的に解約するとは限りません。利用されていない契約と、積極的に使われる契約は区別すべきです。Sirius XM(SIRI):見直しに弱い可能性
もともとの事業の逆風に加え、使っていない契約がAIによって発見・解約されるリスクを警戒しました。
銀行や保険でも比較は進む可能性があります。ただし、わずかな金利差のために銀行情報をAIへ渡し、資金移動まで任せるかは別問題です。信頼や権限の壁があり、すぐに全面的な置き換えが起きるとは考えていません。
結論は「AIが怖いから業種ごと売る」のではなく、「顧客が使い続ける理由があるか」で選ぶことです。
Metaの中小企業向けMuseと、新たな収益源
番組には、MetaのPresident兼Vice ChairmanであるDina Powell McCormick氏と、Bennett OrchardsのHenry Bennett氏が出演しました。この日に発表された「Muse for Small Business」の使い方を紹介しています。
McCormick氏は、Metaのサービスには日々約36億人が訪れ、約2億の中小企業が利用していると説明しました。この既存の顧客基盤へ、AIによる業務支援を届ける構想です。
主な用途は、顧客対応、在庫や資金繰りの確認、ウェブサイトの更新、広告の改善、予定の調整などです。公式発表でも、Shopify、Slack、Intuit QuickBooksなど既存の業務ツールとの連携が示されています。
果樹園で見えた、具体的な時間の節約
デラウェア州のBennett Orchardsは、桃やブルーベリーなどを育てる家族経営の果樹園です。Bennett氏は、Museによってウェブサイトの更新や、長年蓄積したExcelデータの整理が楽になったと説明しました。
霜害対策の記録をグラフにまとめ、他の生産者と共有する作業にも活用しています。まだ試用期間が短く、効果を厳密に測定できる段階ではありませんが、少なくとも週2〜4時間は節約できているとの説明でした。
ここで重要なのは、経営者を置き換える話ではなく、事務作業を減らして本来の仕事へ戻れるという点です。AIへの不安に対して、実際の利用価値を示す例になっています。
安全対策と地域への負担
Metaは、利用者の承認なしに公開・送信・支出を行わない仕組みを公式発表で説明しています。ただし、承認の仕組みがあることと、誤作動や情報漏えいのリスクがなくなることは同じではありません。アクセス権限と実行内容の確認は引き続き必要です。
インタビューでは、データセンターに必要な電力費用を自社で負担する方針や、地域への税収・雇用面の貢献も強調されました。これらは企業側の説明であり、地域住民の負担が実際にどう変わるかは、別途検証が必要です。
METAを評価したのは「継続収入」の可能性
番組の最後にクレイマーは、Meta Platforms(META)への強気姿勢を改めて示しました。広告収入は景気の影響を受けますが、中小企業の日常業務へ深く入り込むサービスは、継続的な利用料につながる可能性があります。
Museは多くの用途で無料とされ、公式発表では追加利用向けのサブスクリプションも案内されています。一方、利用者が得た節約額に応じた手数料という収益モデルは、番組で可能性として語られたもので、確定した仕組みではありません。
クレイマーは、広告会社から継続収入を持つ企業へ評価が変われば、株価の評価倍率にも上昇余地があると考えています。ただし、約2億の中小企業がすべて有料契約者になるわけではありません。有料転換率、継続率、サービス運営費、AI投資の回収が今後の確認点です。
BWXTは、原子力の長期需要を受注へ変えられるか
BWX Technologies(BWXT)の株価は、番組時点で過去3カ月に約27%下落していました。8月3日の決算で一部項目が期待を下回ったことが背景ですが、クレイマーは事業全体が悪化しているとはみていません。
9月29日のInvestor Dayを受け、Rex Geveden CEOは2030年までを見据えた成長の考え方を説明しました。番組内で具体的に語られた実績は次の通りです。
前回のInvestor Dayで掲げた売上成長率は年率で1桁台半ばだったが、実績は年率約15%。うち約8.5%は既存事業の成長
受注残は、約32カ月前の40億ドルから84億ドルへ拡大
事業構成は国防関連が約70%、民間が約30%。5年前は約80%対20%だった
民間事業の規模は、2015年の約1.15億ドルから約11億ドルへ拡大
これらはインタビューで経営陣が示した数字です。受注残の拡大は2030年までの成長を支える材料ですが、将来の売上・利益を保証するものではありません。
国防関連の土台と、民間需要の拡大
BWXTは、米海軍の潜水艦・空母向け原子炉などを供給してきました。CEOは、累計425基の海軍向け原子炉を納入してきた実績と、製造・供給網を維持してきたことを強みとして挙げています。
一方、今後の拡大余地が大きいのは民間事業です。脱炭素、交通や産業の電化、AIデータセンターの電力需要が、安定した電源への需要を増やすという見方です。
カナダのDarlington、TerraPower、TVAなどの計画も紹介されました。ただし、計画があることと、短期間で発電所が完成することは別です。工期と建設費、資金調達コストを抑えて納入できるかが、原子力の事業性を左右します。
また、海軍向けの納入実績は重要な基盤ですが、それだけで民間向け小型原子炉の商業化が完了したと捉えるべきではありません。
特定の炉型だけに賭けない
BWXTは、原子炉の製造だけでなく、燃料から廃棄物処理まで幅広く関わります。特定の原子炉技術が勝つかを当てるより、原子力市場全体の成長から受注を得る供給企業として位置付けています。
クレイマーは、BWXTを自分が支持する原子力関連株として改めて評価しました。短期の株価調整と長期の事業需要を分ける一方、受注残を売上・利益へ転換する速度は確認したいところです。
視聴者からの質問
Goldman Sachs(GS):金融株では特に高く評価
資産を子どもへ残したいという視聴者に対し、Capital One(COF)、Goldman Sachs、BNY(BK)はいずれも好意的に評価。そのなかではGoldman Sachsを特に選好し、金利低下による債券市場の改善と経営陣の実績に期待しました。American Express(AXP):買い増しに前向き
7月決算後の約10%下落について、Steve Squeri CEOの成長戦略を評価し、懸念された信用問題は現時点で想定ほど表面化していないと説明しました。ただし、信用関連株は短期的に景気や金利の影響を受けやすく、長期評価と足元の値動きは分けています。
Lightning Round
Fermi(FRMI):回避
原子力・AI関連の熱狂のなかで上場した投機的な銘柄と厳しく評価。損失をさらに広げないよう警戒しました。HEICO(HEI):企業は評価、今の買いは慎重
成長力と事業の質は認めていますが、原油高が航空関連へ与える影響を懸念。原油価格が下がるまで待ちたいという判断です。QXO(QXO):経営者は評価、短期は慎重
Brad Jacobs氏の実績は高く評価する一方、住宅・屋根材市場の弱さが逆風。明確な買い推奨には踏み込みませんでした。Grab Holdings(GRAB):弱気
株価を回復させる明確な材料が見当たらないと判断。1株3ドル前後でも安全とは限らず、低い株価を割安さと混同しないよう警告しました。これは株価リスクへの注意であり、破綻を断定したものではありません。
日本人投資家向けまとめ
今回の番組で重要なのは、AIの影響を一方向で考えないことです。
1.指数が小幅安でも、個別株の調整は深い場合があります。金利と市場の広がりを確認し、大型株だけで相場全体を判断しないこと。
2.AIで価格比較や解約が容易になるほど、顧客が使い続ける理由が重要になります。安さだけでなく、利用頻度、独自の商品、信頼を見ます。
3.Metaの成長余地は、利用者数だけではなく有料化と継続利用で判断します。新しいサービスの人気と、利益への貢献は同じではありません。
4.BWXTのような供給企業でも、原子力需要の拡大がすぐ利益になるわけではありません。受注残、納期、採算、資金調達コストを確認します。
AIの未来を信じることと、どの関連株でも買うことは別です。社会的な信頼と、顧客にとっての具体的な価値、そして収益化の進展を確認する回でした。
免責事項
本記事は、公開されている番組内容をもとに情報を整理・解説したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。番組内の見解や企業側の説明は、確定した将来の結果を示すものではありません。記事内の情報は作成時点のものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。
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