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NVIDIAは1株224ドルでも割安?株価ではなくPERで読むAI株ローテーション|Mad Money 2026年9月2日

    今回の「Mad Money」の中心テーマは、株価の高低を1株当たりの値段で判断してはいけない、という投資の基本です。1,500ドルを超える株でも利益に対して割安な場合があり、100ドル台でも成長期待を織り込みすぎている場合があります。

    米30年国債利回りが5.26%まで上昇するなか、投資家がテクノロジー株を一斉に売ったのではなく、高PER銘柄から低PER銘柄へ資金を移しているとクレイマーは説明しました。番組ではNVIDIA、Dell、MongoDBなどの比較に加え、PG&E、Cardinal Health、Rubrik、データセンター反対運動が取り上げられています。

    今回の要点

    1.株価ではなく、利益に対する価格を見る

    SanDiskは1株約1,553ドルでも予想PERは約7倍。一方、MongoDBは約375ドルでも約58倍です。株価の数字そのものではなく、予想利益、成長率、金利を合わせて判断する必要があります。

    2.金利上昇は「ハイテク株売り」ではなく、銘柄選別を促す

    AI需要は崩れていません。Dellの決算はAIサーバー需要の強さを示しましたが、金利上昇局面では、同じ成長株でもPERの高い銘柄ほど売られやすくなります。

    3.業績が良くても、株価が下がることはある

    Rubrikは売上高、利益、ARR、キャッシュフローで好調な数字を出しながら約13%下落しました。決算の絶対評価だけでなく、株価に織り込まれた期待と市場が気にした小さな弱点を確認することが重要です。

    株価の高さと割高・割安は別の話

    この日のダウ平均は295ドル上昇し、S&P500は0.46%高、NASDAQ総合は0.45%高でした。しかし米30年国債利回りが5.26%まで上昇し、株式市場には利回りの高い国債という強力な競争相手が現れています。

    金利が上がると、将来の利益を現在価値へ割り引いた金額が小さくなります。そのため、遠い将来の高成長を前提とする高PER銘柄ほど評価を下げられやすくなります。

    クレイマーが示した代表例がSanDisk(SNDK)とMongoDB(MDB)です。

    • SanDisk:約1,553ドル、予想EPS約212ドル、予想PER約7倍

    • MongoDB:約375ドル、予想EPS約6.50ドル、予想PER約58倍

    1株当たりの値段はSanDiskのほうが4倍以上高くても、利益に対する価格はMongoDBのほうがはるかに高い計算です。MongoDBは決算が大崩れしたわけではありませんが、完璧ではなかったため株価が約13.5%下落しました。高い評価倍率では、小さな失望も大きな下落につながります。

    同じ比較は主要テクノロジー株にも当てはまります。番組放送時点で、NVIDIA(NVDA)は約224ドル、今期予想EPS約9.26ドルに対して約24倍。翌年度EPSが15ドルを超える想定なら、翌年度基準では約15倍まで低下します。

    一方、ServiceNow(NOW)は今期予想利益に対して30倍台前半、Palo Alto Networks(PANW)は約79倍とされました。S&P500の平均が約21倍であることを考えると、名目株価が高いNVIDIAのほうが、利益成長を加味すれば相対的に割安というのがクレイマーの見方です。

    PERが低ければ必ず上がるわけではありません。業績悪化が予想されている企業は、正当な理由で低PERになります。確認すべきなのは、低い評価倍率と、利益成長の持続性が両立しているかどうかです。

    Dell決算が示したAI需要の強さ

    Dell Technologies(DELL)は好決算を受けて約16%上昇し、終値は約492ドルとなりました。それでも2027年度の非GAAP EPS会社予想25.50ドルに対するPERは20倍を下回ります。

    決算の主要数字は次のとおりです。

    • 売上高:470億ドル、前年同期比58%増

    • AI最適化サーバー売上高:164億ドル、100%増

    • AIサーバー受注額:609億ドル

    • AIサーバーの受注残:950億ドル

    • 2027年度売上高見通し:1,920億ドル

    • 2027年度非GAAP EPS見通し:25.50ドル

    クレイマーは、Dellの受注と供給不足が、AIインフラ需要の継続を裏づけていると評価しました。NVIDIAの顧客へ資金が循環しているだけだという「循環取引」への懸念についても、顧客企業が実際に利益を生み始め、Dellにも強い注文が入っている以上、AI需要全体を否定する材料にはならないとしています。

    ただし、決算直後の急騰をそのまま追いかけるのは別問題です。今後はAIサーバーの受注残が売上と利益に転換する速度、供給制約、低採算案件の増加による利益率低下を確認する必要があります。

    視聴者質問:CorningとOracle

    Corning(GLW)について、クレイマーの投資クラブは利益を守るために売却しており、もう一段の下落を待って買い戻す可能性があると説明しました。含み益が出ていた銘柄を、そのまま含み損まで持ち続けないというポジション管理を重視しています。

    Oracle(ORCL)については、データセンターの建設許可が限られれば既存資産の価値が上がるという視聴者の見方を「楽観的すぎる」と評価しました。Oracleが必要なデータセンターを建設できない兆候は、希少価値より成長制約として受け止められる可能性があります。クレイマーはAI関連ではOracleよりNVIDIAとDellを優先しました。

    PG&E:業績より州法が投資判断を左右する

    カリフォルニア州の山火事賠償制度をめぐる法改正がまとまらず、PG&E(PCG)とEdison International(EIX)は3営業日ほどで約20%下落しました。

    PG&Eのパティ・ポッペCEOは、経営改革によって大規模山火事を4年連続で防ぎ、2年間で料金を5回引き下げ、停電などの信頼性指標も30%改善したと説明しました。それでも山火事に関する巨額の賠償リスクが残る限り、資金調達コストは高く、投資適格級への格上げも難しくなります。

    会社は戦略見直しを開始し、2027年の設備投資計画を20億ドル削減しました。

    • 従来の設備投資計画:134億ドル

    • 修正後:114億ドル

    • 2027年調整後EPS見通し:1.78~1.82ドル

    安全対策は維持する一方、住宅への接続、再生可能エネルギーの系統接続、技術更新、大口需要への対応などは遅れる可能性があります。データセンター需要は優先分野ですが、投資全体の縮小は地域の成長にも影響します。

    CEOは、制度改革によって投資適格級へ戻れれば、削減した20億ドルを再投入し、EPSを年9%以上伸ばせる可能性があると述べました。しかし、その前提は会社自身では決められません。

    クレイマーは経営陣の改善努力を認めながらも、投資判断が州議会に依存する点を警戒しました。PCGは通常の公益株というより、法制度変更を待つイベント株として扱う必要があります。

    Cardinal Health:高金利局面で選ばれる低PERのヘルスケア株

    金利上昇で高PERのテクノロジー株が売られるなか、クレイマーが資金の避難先として取り上げたのが医薬品卸大手Cardinal Health(CAH)です。

    2026年度第4四半期は売上高637億ドルで前年同期比6%増、非GAAP EPSは2.91ドルでした。ここには関税還付による一時的な0.31ドルの押し上げが含まれますが、それを除いても2.60ドルとなり、市場予想2.42ドルを上回ります。

    2027年度の会社予想は次のとおりです。

    • 非GAAP EPS:12.40~12.60ドル

    • EPS成長率:13~15%

    • 医薬品・スペシャリティ部門の売上成長率:3~5%

    • 在宅医療、核医学、物流など「その他」部門の売上成長率:11~13%

    株価が約245ドルなら、会社予想の中央値に対するPERは20倍未満です。薬価引き下げで売上高が圧迫されても、Cardinal Healthは取扱量に応じた手数料を得るため、処方数量が増えれば利益を伸ばせます。後発薬は売価が低くても利益率が高い点も支えです。

    7月にはAdaptHealthの糖尿病関連事業とStrive Medicalを合計2億3,500万ドルで取得すると発表し、在宅医療を拡大しました。クレイマーは、低PER、2桁の利益成長、景気に左右されにくい需要を備えた銘柄として強気に評価しています。

    CVS Health(CVS)への視聴者質問でも、クレイマーは「売買せず保有する」考えを示しました。ヘルスケアへの資金移動はCardinal Healthだけの個別材料ではなく、高金利下の市場ローテーションの一部と見ています。

    Rubrik:好決算後の13%安は買い場か

    サイバーセキュリティとデータ復旧を手掛けるRubrik(RBRK)は、好決算を発表した翌日に約13%下落しました。

    2027年度第2四半期の主要数字は次のとおりです。

    • 売上高:4億2,730万ドル、前年同期比38%増

    • サブスクリプションARR:16億6,000万ドル、33%増

    • 非GAAP EPS:0.20ドル

    • 市場予想EPS:0.04ドル

    • フリーキャッシュフロー:6,570万ドル

    • フリーキャッシュフローマージン:15%

    会社は通期見通しを引き上げ、ビプル・シンハCEOは10四半期連続の「予想超過と上方修正」を強調しました。一方、市場は請求額の弱さ、純収益維持率の緩やかな低下、下期の新規ARR増加ペースが鈍る可能性を警戒しました。

    Rubrikの成長機会は、ランサムウェア対策だけではありません。CrowdStrike(CRWD)との連携では、侵入の検知・封じ込めをCrowdStrike、データとIDの復旧をRubrikが担います。AIによって攻撃速度が上がれば、復旧も人手中心の10日単位ではなく、機械速度へ近づける必要があります。

    また、座席数に応じて課金する一般的なソフトウェアとは異なり、保護対象となるデータ量の増加が需要につながります。クレイマーはRubrik、CrowdStrike、Palo Alto Networksの下落を「セール」と捉え、長期投資家には買い場になり得ると評価しました。ただし、高成長株である以上、ARRの鈍化が続けば評価倍率の調整は避けられません。

    Lightning Round

    AeroVironment(AVAV)

    • クレイマーの回答:今は買わない

    • 判定:慎重

    • 理由:無人機・防衛分野の需要はあるものの、同社の得意領域で競争が激化しています。株価下落だけを理由に逆張りする段階ではないとしました。

    Rocket Companies(RKT)

    • クレイマーの回答:避ける

    • 判定:弱気

    • 理由:RedfinやMr. Cooperとの相乗効果は期待できても、金利低下を前提とした住宅金融株への強気判断で過去に何度も誤ったとして、今回は手を出さない姿勢です。

    MP Materials(MP)

    • クレイマーの回答:買いは合理的

    • 判定:長期強気

    • 理由:米国が重要鉱物の供給網を必要とするなか、最も投資しやすい代表銘柄と評価しました。ただし、短期の材料で急騰する銘柄ではなく、成果を待つ必要があります。

    Howmet Aerospace(HWM)

    • クレイマーの回答:保有または買い

    • 判定:強気

    • 理由:SpaceXがガスタービン部品の内製化を進めても、Howmetへの致命的な打撃にはならないと判断しました。高PERのため売られましたが、航空宇宙部品の有力企業という評価は変えていません。

    AtaiBeckley(ATAI)

    • クレイマーの回答:投機対象としての上値は小さい

    • 判定:中立

    • 理由:Eli Lillyによる買収契約があり、クロージング時の現金対価は1株6.75ドルです。条件達成時に最大2.50ドルのCVRを受け取れる可能性はありますが、支払いは保証されません。買収価格へ近づいた銘柄より、クレイマーは上値の大きい投機銘柄を選びたいと述べました。

    データセンターは「建てるか」ではなく「どう建てるか」

    番組最後では、AIとデータセンターに対する地域社会の反発が取り上げられました。ベッセント米財務長官は、AI企業やデータセンター事業者が社会全体への利益を十分に説明できていないと指摘し、クレイマーも同意しました。

    電気料金、水資源、騒音、雇用への不安に加え、データセンター反対運動には「AIに仕事を奪われる」という感情も含まれています。規制で米国内の建設を止めても、高い収益性がある限り、企業はメキシコなど別の地域へ移るだけだというのがクレイマーの見方です。

    解決策として挙げたのが、鉄鋼大手Nucor(NUE)の地域密着型モデルです。建設前から自治体や住民と話し合い、雇用、職業訓練、税収、電力料金などの具体的な利益を示す必要があります。ウェストバージニア州のように、データセンター誘致を雇用創出と州全体の電気料金引き下げにつなげようとする地域もあります。

    AIは短期的に一部の仕事を減らす一方、建設・電力インフラでは多くの技能職を必要とします。長期的には、生産性向上によって企業の採用余力を高め、小規模事業の立ち上げを容易にする可能性もあります。

    投資家が見るべきなのは、データセンター需要の総額だけではありません。建設許可、電力・水の確保、住民への利益還元まで実行できる企業ほど、計画を予定どおり進めやすくなります。

    銘柄別の投資判断

    NVIDIA(NVDA)

    • 判断:強気

    • 理由:高い利益成長に対し、翌年度予想利益ベースの評価は相対的に低い

    • 監視ポイント:データセンター売上、顧客企業の収益化、粗利益率

    • 見直し条件:大口顧客の設備投資縮小と利益予想の下方修正が同時に進む場合

    Dell Technologies(DELL)

    • 判断:強気。ただし決算後の急騰は追わない

    • 理由:AIサーバーの受注と受注残が大きく、利益成長に対するPERも20倍未満

    • 監視ポイント:受注残の売上転換、AIサーバー利益率、供給制約

    • 見直し条件:受注が鈍化し、売上増加にもかかわらず利益率が低下する場合

    PG&E(PCG)

    • 判断:慎重

    • 理由:経営改善より州の山火事賠償制度が株価を左右する

    • 監視ポイント:州法改正、格付け、設備投資計画、資金調達コスト

    • 見直し条件:制度改革が再び失敗する、または追加の設備投資削減が発表される場合

    Cardinal Health(CAH)

    • 判断:強気

    • 理由:2桁のEPS成長見通しに対しPERは20倍未満で、事業も景気に左右されにくい

    • 監視ポイント:処方数量、スペシャリティ医薬品、在宅医療、買収事業の利益

    • 見直し条件:取扱量が鈍化し、2027年度EPS見通しが引き下げられる場合

    Rubrik(RBRK)

    • 判断:強気だが値動きに注意

    • 理由:ARRと売上が30%超成長し、キャッシュ創出力も改善している

    • 監視ポイント:新規ARR、純収益維持率、請求額、CrowdStrike連携の案件化

    • 見直し条件:ARR成長率の鈍化と見通し引き下げが続く場合

    日本人投資家向けまとめ

    • ドル建ての株価だけで「高い」「安い」と判断せず、予想PERと利益成長率を必ず組み合わせる

    • 長期金利が上昇しても成長株が一律に売られるとは限らず、低PER・高成長銘柄への入れ替えが起きる

    • 決算が良くても、高い期待に少し届かなければ株価は下がる。数字と市場の期待を分けて読む

    • 規制や地域合意に依存する企業は、業績が良くても政治・許認可リスクに見合う割引が必要

    • AI投資では半導体の需要だけでなく、電力、建設許可、住民への利益還元まで確認する

    今回の番組が示したのは、強いテーマを買うだけでは不十分だということです。同じAI関連でも評価倍率には大きな差があり、金利が高い局面ほど、その差が株価に表れます。「良い会社か」に加えて、「予想利益に対して、いくら払うのか」を確認することが重要です。

    免責事項

    本記事は、公開されている番組内容と企業資料をもとに情報を整理・解説したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記事内の情報は作成時点のものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。

    出典

    元動画:

    https://youtu.be/ltOcpAtFatc

    補足資料:

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