
Intel・Micronは利上げ後の買い場?Snowflakeの再加速とAI規制|Mad Money 2026年9月17日
今回の「Mad Money」は、FRBが3年超ぶりに利上げした翌日の市場を検証した回です。クレイマーは、FOMCのような予定された重要イベントを「ビッグ・バッド・イベント」と呼び、会合前の警戒売りと通過後の反発を利用する考え方を説明しました。
個別テーマでは、Databricksのアリ・ゴッシCEOとSnowflakeのスリダー・ラマスワミCEOが登場。AIモデルそのものではなく、企業データを整理し、正確な文脈を与えるデータ基盤の価値が中心となりました。最後には、AI企業による自主規制だけでは不十分として、NISTを軸にした官民連携型の規制案も提示されています。
今回の要点
1.利上げ直後は「全面撤退」ではなく、買う銘柄を選ぶ
FRBは政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75~4.00%としました。クレイマーは短期の逆風を認めつつ、イベント前後の売りを利用してIntel、Micron、サイバーセキュリティ株を段階的に拾う考えを示しました。
2.企業AIの主戦場は「社内データの文脈化」へ
DatabricksとSnowflakeに共通するのは、散在する企業データをAIが使える形に整え、経営判断や業務へつなげる役割です。Snowflakeは直近四半期の製品売上高が37%増となり、成長率が再加速しています。
3.AI規制とサイバー防衛は新たな投資テーマ
クレイマーは、AI企業の自主規制に依存せず、明確な安全基準と検証権限が必要だと主張しました。AIエージェントの本人確認を担うOkta、異常を検知・遮断するCrowdStrikeとPalo Alto Networksを重要な防衛層と位置づけています。
本編
利上げ後の反発と「ビッグ・バッド・イベント」
この日のダウ平均は316ドル上昇、S&P500は1.14%高、NASDAQ総合は1.69%高となりました。前日のFOMC後に売られた反動で、テクノロジー株を中心に買い戻しが入りました。
FRBは9月16日、フェデラルファンド金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げて3.75~4.00%としました。採決は12対0。声明では、景気が堅調に拡大し、国内支出と設備投資が強い一方、インフレは依然として高いと説明しています。
クレイマーが注目したのは、利上げの事実だけではなく、FOMC前後の値動きです。市場は会合の7~10日前から警戒し、イベント当日にも売られやすい。しかし材料が確定すると、不透明感の後退から反発が起こります。
今回示した行動方針は次のとおりです。
FOMC直前の下落で慌てて投げない
買う場合は会合直前と直後に分け、取得価格をならす
反発時には現金比率を少し戻し、次の急落に備える
金利上昇に耐えられる業績と需給を持つ企業を選ぶ
半導体ではIntel(INTC)を第一候補、Micron Technology(MU)を第二候補としました。両社の製品が供給不足にあり、クレイマー自身もMicronを買い増したと説明しています。AIエージェントのリスク対策では、Okta(OKTA)を既存のサイバーセキュリティ推奨銘柄へ追加しました。
視聴者質問では、Reddit(RDDT)について「買い」と明言。時価総額約290億ドルに対し、利用者の投稿や関心データをAI学習へ活用できる価値を高く評価しました。またTJX Companies(TJX)は、高値170ドルから120ドル台へ下落したため、143ドル、125ドルと買い下がった投資家に対し、123ドル、120ドル付近へ間隔を縮めて段階購入する考えを示しました。
Databricks:AIを企業で使える状態にする
Databricksは、企業内に分散したデータを整理・分析し、その上でAIアプリやエージェントを動かす非上場企業です。アリ・ゴッシCEOは、AIの能力が高まっても、社内固有の文脈を与えなければ実務では正しい判断ができないと説明しました。
番組で紹介された主な活用例は次のとおりです。
Crisis Text Line:自傷や自殺の兆候を検知し、早期介入を支援
Zipline:医薬品を届けるドローンの運航にAIを活用
Novo Nordisk:肥満研究などのコホート分析を数週間から数分へ短縮
Merck:遺伝子制御ネットワークを分析する創薬AI「Teddy」を共同開発
中核製品のGenieは、企業データから関係性を自動的に読み取り、AIが正確な回答を返せるようにします。Palantirのオントロジーと似た目的を持ちますが、ゴッシCEOはDatabricksが関係性の抽出を自動化する点を強調しました。
会社発表によると、Databricksは2026年8月に50億ドルを調達し、評価額は1,900億ドルとなりました。第2四半期の売上高ランレートは70億ドルを超え、前年比80%超の成長。過去12カ月では調整後フリーキャッシュフローも黒字です。クレイマーは「上場すれば保有したい」と高く評価しましたが、現時点では非上場のため一般投資家が通常の株式市場で直接買える銘柄ではありません。
利上げサイクルでは何が起きるのか
番組が紹介したDeutsche Bankの集計では、1950年代半ば以降の14回の利上げ局面は平均22カ月、中央値15カ月続き、政策金利の引き上げ幅の中央値は3ポイント超でした。一方、最初の利上げから次の景気後退までは平均42カ月かかっています。利上げ開始と景気後退は同時ではありません。
直近の2022~2023年では、S&P500は2022年初めの高値から10月安値まで27.5%、NASDAQ総合は約38%下落しました。しかし、その後は利上げが続く中でも大型テック主導の上昇相場へ転じました。
過去の傾向をまとめると、利上げ初期はエネルギー、生活必需品、公益、ヘルスケアなどが相対的に強く、情報技術や一般消費財は売られやすい傾向があります。ただし、サイクル全体ではテクノロジー株が大きく巻き返すことがあります。2015~2018年の利上げ局面でも、最終的にはITが最も強いセクターの一つでした。
今回の特殊要因は、中東情勢によって原油が100ドルを超えていることです。原油高が続けばインフレと追加利上げの圧力になりますが、80ドル前後へ低下すれば引き締め継続の必要性は弱まります。クレイマーの結論は、短期の金利感応度だけでテック株を全面的に避けず、反発時に現金も確保しながら選別するというものでした。
Uber Technologies(UBER)への質問では、これまで期待どおりに動いていないことを認めながらも、長期の推奨を維持しました。
Snowflake:データ倉庫から経営判断の基盤へ
Snowflake(SNOW)のスリダー・ラマスワミCEOは、同社が単なるクラウド型データ倉庫から、AIを使って企業の現状を把握し、行動へつなげるプラットフォームへ変わったと説明しました。
開発者向けのCoCoと、一般の業務担当者向けのCoWorkを使えば、自然言語で社内データを分析できます。ラマスワミCEOは東京で顧客を訪問した際、面会相手の写真をCoWorkへ渡し、過去の面会時期と確認事項を約1分で取得した例を紹介しました。
Kraft Heinzではリアルタイムの競合分析、Pfizerではコスト削減と業務効率化に活用されています。Salesforce(CRM)との関係については、顧客管理など特定業務に強いSalesforceと、全社データを横断するSnowflakeは競合一辺倒ではなく補完的だと説明しました。
直近の2027年度第2四半期は、製品売上高が14.9億ドルで前年比37%増、全社売上高は15.5億ドルで35%増でした。残存履行義務は90億ドル、ネット売上継続率は126%。第3四半期の製品売上高見通しは15.88億~15.93億ドル、前年比37~38%増です。通期の製品売上高見通しも60.7億ドル、36%増へ引き上げました。
強い数字の一方、番組時点の株価は4月安値から約185%上昇しています。投資家が確認すべきなのは、AI製品の導入社数そのものより、それが利用量、製品売上高、利益率の改善へつながるかです。
Lightning Round
Casey’s General Stores(CASY)
クレイマーの回答:買い戻しは賢明
判定:強気
理由:決算後の下落を過剰反応とみなし、株価が高値から大きく下がった現在は再参入できる水準と評価しました。
BlackBerry(BB)
クレイマーの回答:買いに賛成
判定:強気
理由:QNXの受注残、コネクテッドカー、ロボット、医療、サイバーセキュリティへの展開を評価。良い銘柄まで売られる地合いで下げたと見ています。
Snap(SNAP)
クレイマーの回答:利益が確認できるまで待つ
判定:慎重
理由:スマートグラスを含む投資先行が続いており、継続的な収益性を示すことが先決としました。
GameStop(GME)
クレイマーの回答:買い
判定:強気寄り
理由:黒字化と再建の進展、約50億ドルの現金、ライアン・コーエンCEOによる約2,000万ドルの自社株購入を評価しました。ただし、事業転換の持続性はまだ検証が必要です。
Credo Technology(CRDO)
クレイマーの回答:12カ月なら買える
判定:強気
理由:過去6カ月の不振で株価が落ち着き、チップレット、先端パッケージ、データ接続というAIインフラの基礎需要を評価しました。
Iron Mountain(IRM)
クレイマーの回答:買い
判定:強気
理由:高値から約20ドル下落し、配当利回りが約3%となった水準を魅力的と判断しました。文書保管だけでなく、データセンターを含むREITとして評価しています。
AIは自主規制だけで十分か
番組最後のテーマはAI規制です。クレイマーは、たばこ、自動車排ガス、サブプライム住宅ローン、オピオイド、鉛、アスベストなどを例に、自主規制だけでは社会的損失を防げなかったと指摘しました。
候補として挙げたのが、米商務省傘下のNISTです。NISTのAI Risk Management Frameworkは、AIの設計、開発、利用、評価へ信頼性を組み込むための自主的な枠組みです。クレイマーは、これを出発点に、企業を「信頼するだけでなく検証する」権限を加える考えを示しました。より強いモデルとして、原子力規制委員会と国際機関が連携する仕組みにも言及しています。
同時に、OpenAIやAnthropicなどのAI研究企業は、サイバー防衛への投資が不足していると警告しました。役割分担は明確です。
Okta(OKTA):各AIエージェントのIDを管理し、異常な主体を特定
CrowdStrike(CRWD):エンドポイント上の不正行動を検知・遮断
Palo Alto Networks(PANW):ネットワークとクラウドを横断して攻撃を封じ込める
規制が重すぎればイノベーションを妨げますが、安全策が弱ければ事故や訴訟、データセンターへの反発によってAI産業そのものが失速します。クレイマーは、企業任せでも世論任せでもない、専門規制当局と民間企業の協働を求めました。
銘柄別の投資判断
Intel(INTC)/Micron Technology(MU)
判断:強気。ただしFOMC前後の分割買い
理由:半導体の供給不足とAI・データセンター需要
監視ポイント:出荷数量、粗利益率、設備投資計画
見直し条件:供給不足の解消と価格下落が同時に進む場合
Snowflake(SNOW)
判断:強気寄りだが、急騰後の追い買いは慎重
理由:製品売上高の成長再加速とAI製品の利用拡大
監視ポイント:製品売上高成長率、ネット売上継続率、非GAAP営業利益率
見直し条件:成長率が再び鈍化し、利益率改善も止まる場合
Reddit(RDDT)
判断:強気
理由:独自コミュニティーデータの広告・AI学習価値
監視ポイント:デイリーアクティブユーザー、広告単価、データライセンス収入
見直し条件:ユーザー成長鈍化と収益化悪化が重なる場合
Uber Technologies(UBER)
判断:中長期は強気、短期は中立
理由:クレイマーは従来の投資仮説を維持した一方、株価の弱さを認めています
監視ポイント:グロスブッキング、フリーキャッシュフロー、自動運転企業との提携
見直し条件:成長鈍化と利益率低下が続く場合
Okta(OKTA)/CrowdStrike(CRWD)/Palo Alto Networks(PANW)
判断:強気。ただし高い評価倍率に注意
理由:AIエージェントの普及でID管理、検知、封じ込めの需要が増える
監視ポイント:残存契約価値、顧客維持率、AI関連の受注
見直し条件:成長鈍化に対して営業費用が下がらず、利益率が悪化する場合
日本人投資家向けまとめ
利上げ開始は株式市場の終わりではありません。FOMC前後の値動きに振り回されず、数回に分けて買う方が現実的です。
利上げ初期には守りのセクターが優位でも、サイクル全体では高成長テックが巻き返す可能性があります。短期の金利だけで長期テーマを捨てないことが重要です。
AI投資ではモデル開発企業だけでなく、企業データを整えるSnowflakeやDatabricks、AIエージェントを守るサイバーセキュリティ企業まで視野を広げたいところです。
最大の市場リスクは、原油高が続き、インフレと追加利上げが同時に長期化することです。原油、政策金利見通し、企業の利益率をセットで確認する必要があります。
免責事項
本記事は、公開されている番組内容と企業・政府機関の資料をもとに情報を整理・解説したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記事内の情報は作成時点のものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。
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