
BEはAI電力の本命、MSFTは投資回収へ?凍結相場で選ぶ成長株|Mad Money 2026年9月30日
今回の「Mad Money」は、住宅、IPO、企業買収などの市場が動きにくくなるなか、どこに成長の余地があるかを考える回です。
クレイマーは、戦争、原油高、高金利によって経済の重要な部分が「凍結」していると指摘しました。それでも相場から全面的に離れないのは、これらの条件が変われば急反発もあり得るからです。個別株ではBloom Energyを押し目買い候補、Reformationを少額の投機候補として評価し、Microsoftを保有し続けた理由も説明しました。
※株価、利回り、予想倍率、銘柄判断は、原則として番組放送時点のものです。
今回の要点
1.住宅市場の停滞は、多くの業種へ波及する
住宅ローン金利が高いと、低金利で借りた人は住み替えにくくなります。取引が減れば、住宅建設だけでなく、建材、家具、家電、リフォーム関連も影響を受けます。優れた経営者がいても、市場全体の逆風を短期間で変えるのは難しい状況です。
2.Bloom Energyは長期強気でも、高値を追わない
データセンターの電力不足に対し、現地へ比較的短期間で設置できる燃料電池を評価しました。ただし、株価は年初来で3倍超。事業の成長を認めながら、買うなら下落を待つという判断です。
3.AI投資を見る目は、支出から収益化へ移り始める
Microsoftでは、Azureの需要とCopilotの有料利用が、巨額投資の意味を示し始めたとクレイマーはみています。経営陣への信頼に加え、顧客が支払い、利益へ結び付く実績を確認することが重要です。
「凍結相場」を動かす条件は何か
この日のダウ平均は444ドル安、S&P 500は0.25%安、NASDAQは0.24%高でした。クレイマーは、指数がまちまちでも、経済の複数の市場では活動が止まりかけていると説明します。
住宅:低金利の契約が住み替えを妨げる
番組で挙げた住宅ローン金利は、15年固定が約6.70%、30年固定が約7.34%です。5年前の水準はそれぞれ約2.32%、約3%でした。
低金利で購入した人が広い家へ移ろうとしても、新しいローンでは負担が増えます。そのため住み替えを見送り、住宅取引が減りやすくなります。
取引が減れば、仲介や融資の仕事に加え、購入後の家具、家電、リフォーム支出も減ります。
番組で取り上げた主な銘柄は次の通りです。
QXO(QXO):経営者の実績だけでは逆風を覆せない
Brad Jacobs氏の実績は認めていますが、住宅・建材市場の弱さが重荷。年内に27ドル台だった株価は、番組時点で11ドル台まで下落していました。Lennar(LEN)・KB Home(KBH):住宅建設の弱さが表れる
株価は年初来でそれぞれ約20%安、約17%安。高金利による購入負担が、住宅建設会社にも影響しています。Toll Brothers(TOL):現金購入客が相対的な支え
年初来の下落は約0.35%にとどまると紹介。購入者の約25%が現金で支払うため、住宅ローン金利への感応度が比較的小さいとの説明です。Lowe’s(LOW)・Home Depot(HD):住宅停滞がリフォーム需要へ波及
年初来でそれぞれ約23%安、約17%安となり、この日は52週安値を更新。住宅が動かないと、店内の商品もまとまった数量で売れにくくなります。Whirlpool(WHR)・RH(RH):優良商品や黒字だけでは株価を守れない
家電や家具も住宅市場の影響を受けます。クレイマーは、Whirlpoolの配当停止やRHの大幅下落を、住宅関連の広い停滞を示す例として挙げました。
IPO・M&A:金融株の収益機会も細る
Ouraが22億ドル規模のIPOを見送り、Inspire Brandsの上場計画も棚上げになったと番組では説明しています。NASDAQ 100が高値に近くても、新規上場を受け入れる市場が強いとは限りません。
戦争や原油供給への不安は、企業買収の決断も難しくします。IPOやM&Aの減少は投資銀行の手数料収入にも影響するため、銀行決算での案件見通しが焦点です。
データセンター建設にも、電力料金や地域負担を巡る政治的な障害があります。クレイマーは、需要が強いことと、計画通りに建設できることを分けて考えています。
一方、戦争の終結、原油下落、インフレ鈍化、追加利上げ懸念の後退が重なれば、短期間で大きく反発し得るというのがクレイマーの見通しです。
Danny Meyer氏に学ぶ、成長と撤退の判断
Shake Shackの創業者で、Union Square Hospitality Groupを築いたDanny Meyer氏が出演し、新著『What Could Possibly Go Right?』を紹介しました。
顧客が感じる価値と企業文化をどう広げるかを、成功と失敗の両方から語りました。
技術力と同じくらい、接客する人の資質を見る
Meyer氏の採用基準は、技術的な能力が49%、ホスピタリティに関わる資質が51%。仕事の技能に加え、相手を気持ちよく迎えられるかを重視します。
経営者が全従業員を直接鼓舞し続けるのではなく、採用や現場を担うリーダーへ文化を伝える。それが規模を広げても体験の質を保つ方法になります。
正しい目的でも、顧客や従業員の反応を確認する
チップをなくす取り組みは、接客担当と調理担当の報酬格差を縮める目的で始めました。しかし、客にはチップを渡したい人がいて、接客担当も受け取りたいと考えていました。理念だけで制度を変えても、現場で支持されるとは限りません。
Shake Shackのフライドポテトでも、評論家の意見を受けて冷凍の波形ポテトから生のジャガイモへ変更し、35店舗の設備を改修しました。それでも客は元の商品を望んでいました。専門家の声を聞くことと、実際の顧客の声を優先することは、両立させる必要があります。
楽観主義が、撤退を遅らせることもある
Tablaを閉店した経験では、失敗と見られたくない気持ちや、従業員を解雇したくない思いが判断を遅らせたと振り返りました。
赤字の店を続け、従業員が2年間昇給できない状態を保つことも、従業員への不利益になります。長年営業した店を閉じることは、その歴史すべての失敗を意味するわけではありません。
コスト上昇についても、まず他の経費を見直し、値上げはできるだけ遅らせると説明。最終的に顧客が判断する価値には、料理の質だけでなく、どのような気持ちで過ごせたかも含まれます。立地に合う店づくりと、顧客の体験を守ることが一貫した軸でした。
Bloom EnergyはAI電力の本命、ただし押し目を待つ
Bloom Energy(BE)は、固体酸化物形燃料電池によって、天然ガスや水素などから電気を作る企業です。クレイマーが評価したのは、電力需要の大きいデータセンターへ、現地で使える電源を供給できることでした。
送電網への接続には長い時間がかかり、地域の電力料金を巡る反発もあります。ガスタービンも納期が長いなか、Bloomの設置速度が競争力になります。会社の公式発表では、Oracle向けシステムを55日で稼働させた例が紹介されています。
燃焼によらない発電ですが、天然ガス利用時のCO2排出はゼロではなく、燃料供給や許認可も必要です。
需要の拡大が、売上と利益へ表れ始める
公式の2026年第2四半期決算では、次の数字が確認できます。
売上高:10.65億ドル、前年同期比165.5%増
調整後EPS:0.78ドル
2026年通期売上見通し:39億〜42億ドル
2026年通期調整後EPS見通し:2.55〜2.85ドル
通期売上見通しの中央値は、前年比で約2倍です。クレイマーは、長年の技術開発と製造能力の改善が、AI向けの急増する需要に結び付いたと評価しました。
Brookfieldとの資金供給の枠組みも、2025年の50億ドルから、2026年6月には250億ドルへ拡大しています。これは電力プロジェクトへの資金供給を支える枠組みであり、Bloomが250億ドルの売上を確定したという意味ではありません。
標準化された設備は、案件の遅れに対応しやすい
クレイマーは、計画が遅れた場合に、標準化された機器を別の案件へ振り向けやすいことも評価しました。ただし、複数案件の遅延は納入や売上計上へ影響し得ます。
良い事業でも、買う価格は選ぶ
番組時点の株価は277ドル弱、年初来約219%高、9月だけで約34%高でした。予想PERも翌年利益ベースで約56倍と、高い成長を織り込んでいます。
クレイマーは、成長率を考えれば倍率だけで否定できないとしながらも、急騰を追いかける買いは勧めませんでした。結論は「AI向け電力では最も好きな候補だが、押し目を待つ」です。
将来、タービン供給が増えて燃料電池の相対的な魅力が落ちる可能性もあります。高い評価倍率の銘柄なので、成長が期待を下回った場合には大きな株価下落があり得ます。
Reformationは成長を評価、少額の投機に限定
女性向けファッションブランドのReformation(REF)は、2026年7月30日にNYSEへ上場しました。公開価格は15ドル、番組時点では約12ドル、時価総額は約7億ドルまで下がっています。
クレイマーが評価したのは、顧客への直接販売、値引きに頼りすぎない販売、素早い商品展開です。売上の約90%が店舗とネットを通じた直接販売で、2021〜2025年の直接販売売上の約80%は定価販売だったと紹介しました。
成長率と利益率は魅力的
公式の2026年第2四半期決算では、売上高は1.552億ドル、前年比24.1%増。売上の2桁成長は21四半期連続で、粗利益率は66.7%、純利益は1,240万ドル、希薄化後EPSは0.23ドルでした。
番組では、2023〜2025年の売上成長率を年率約19%、2026年上期を約27%増と説明。アパレルのなかでも、高い成長と利益率を両立していると評価しました。
将来利益で安く見えても、予想は変わる
番組で紹介した市場のEPS予想は、2027年が0.68ドル、2028年が0.99ドルです。株価12ドルなら2028年利益ベースのPERは約12倍ですが、2年先の予想を使った倍率である点には注意が必要です。
当年予想のEV/EBITDAは約10倍。Revolveの約13倍より低い一方、Levi Straussの約7倍、Gapの約4倍より高く、誰と比較するかで印象は変わります。
債務はありますが、IPO資金を返済へ充てる方針を評価しました。一方、小規模なファッション企業は、流行や景気の変化で成長が急に鈍ることがあります。長い実績を持つRalph Laurenと同じ確信で保有する銘柄ではありません。
結論は「成長と利益率は魅力的だが、小さな投機枠で」です。
視聴者からの質問
Nike(NKE):底値狙いの買いは見送り
投資クラブで底値を狙って買い、損失を出した経験を説明。この日も52週安値となり、再び同じ判断へ戻ることには慎重でした。Nebius Group(NBIS):企業は評価するが、急騰後は慎重
視聴者は年初来約180%高の株を持ち続けるべきか質問。クレイマーはNebiusを良い企業と認めながら、株価の大幅上昇を警戒し、相対的にはCoreWeave(CRWV)を選好しました。
Lightning Round
MPLX(MPLX):強気、利回り約7.6%
分配金を賄う力があると評価。高い利回りとエネルギー関連への投資機会を併せ持つ候補として支持しました。GRAIL(GRAL):強気、規制面の進展を評価
がんの兆候を調べる血液検査への期待を挙げ、株価にはさらに上昇余地があるとの見方です。ただし、公式発表で確認できる9月23日の進展は、FDA諮問委員会による承認への賛成票です。FDAの最終承認とは異なり、最終判断は今後になります。POET Technologies(POET):見送り
赤字企業を勧めるには、今の相場環境が厳しすぎると判断しました。Kinder Morgan(KMI):買いに前向き
株価が下がり、番組で挙げた予想PER約19倍は割安と評価。利回りが特に高くなくても、買う候補としました。StandardAero(SARO):下落を受け入れられるなら検討
航空関連のため、次の値動きが下落になる可能性を警告。そのリスクを受け入れられることを、購入検討の条件にしました。
Microsoftを持ち続けた理由
番組の最後にクレイマーは、Microsoft(MSFT)の株価が6月の349ドルから、513ドル前後まで戻ったことを振り返りました。
下落局面では、Azureの成長鈍化、OpenAIとの関係、Copilotへ顧客が料金を払うのか、巨額のデータセンター投資は回収できるのかという懸念がありました。
公式の2026年度第4四半期決算では、Azureなどのクラウドサービス売上は前年比43%増、Microsoft 365 Copilotの有料契約席数は3,000万超です。利用者の関心だけでなく、実際の支払いとクラウド需要が伸びていることは、重要な材料です。
クレイマーは、データセンター投資の回収段階に入り始めたと解釈しています。今後の売上、利益、キャッシュフローが、その見方を裏付けるかが焦点です。
保有を続けた根拠には、Satya Nadella CEOとAmy Hood CFOの実績への信頼もありました。MetaのMark Zuckerberg氏も同様に、経営陣の過去の成果と、企業向け需要の可能性を重視しています。
企業の需要と収益化の根拠を確認し、短期の株価下落と長期の事業価値を分けて考える姿勢です。
日本人投資家向けまとめ
1.金利の影響は住宅株だけにとどまりません。住み替え、リフォーム、家具、家電、投資銀行の案件まで、需要が動く入口を確認します。
2.Bloom Energyのような高成長企業も、割高な価格で買えば大きく下がる可能性があります。長期の期待と、買うタイミングを分けます。
3.Reformationのような小型成長株は、2年先の利益予想だけで安さを判断せず、成長の持続と流行リスクを見ます。クレイマーの評価も少額の投機に限定されています。
4.MicrosoftのAI投資は、有料契約、クラウド成長、利益・キャッシュフローへ結び付くかが焦点です。経営陣の実績を評価しながら、実際の数字で判断を更新します。
免責事項
本記事は番組内容の整理・解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。見解や予想は将来の結果を保証せず、情報の正確性・完全性も保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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