
AIデータセンター投資に異変、Nvidiaは保有継続でよいのか|Mad Money 2026年7月27日
今回の結論は、Nvidiaを長期保有する投資家まで慌てて売る必要はないものの、AIデータセンター関連への集中と借入投資は見直すべき局面に入ったということです。クレイマーは、NvidiaとOpenAIをめぐる巨額の資金保証構想に、2000年前後の通信バブルと似た危うさを指摘しました。一方で、American Express、Honeywell、建材大手CRHなど、AI以外にも成長株はあると強調しています。
今回の要点3つ
1.Nvidiaの問題は半導体需要ではなく「資金の循環」
NvidiaがOpenAI向けデータセンターの資金調達を支える可能性が報じられ、株価は約5%下落しました。クレイマーはNvidiaの事業や財務体質には引き続き強気ですが、顧客の購入資金まで供給企業が支える「ベンダーファイナンス」には警戒しています。
2.AI以外の成長株へ資金を分散
クレイマーは、データセンター関連だけが成長市場ではないと述べました。カード決済のAmerican Express、航空宇宙・自動化のHoneywell、道路・水道・送電インフラに関わるCRHなどを、AI投資への依存度を抑えられる候補として取り上げています。
3.借入でデータセンター株を買わない
番組終盤では、データセンター関連株を信用取引や借入資金で保有している投資家に対し、クレイマーは極めて強い警告を発しました。優良株を現物で長期保有することと、レバレッジを使ってテーマ株を追いかけることは、明確に分けて考える必要があります。
番組全体の流れ
AI市場を覆う「2000年の亡霊」
何が語られたか
7月27日の米国市場は、ダウ平均が約0.5%上昇した一方、S&P500はほぼ横ばい、ナスダック総合指数は約0.2%下落しました。
原油価格の大幅下落と金利低下が相場を支えましたが、半導体を中心とするAI関連株には売りが広がりました。Nvidiaは約5%下落しています。
背景にあったのが、NvidiaがOpenAIの大規模データセンター計画について、約2,500億ドルの資金調達を保証する方向で協議しているとの報道です。これは確定した契約ではなく、記事作成時点では交渉中とされています。
クレイマーの見方
クレイマーが懸念したのは、Nvidia製GPUの競争力ではありません。供給企業が顧客の資金調達を支え、その資金で自社製品を購入してもらう構造です。
2000年前後の通信機器業界では、機器メーカーが通信会社に資金を提供し、その資金で自社製品を買ってもらう取引が広がりました。しかし顧客企業が返済できなくなると、売上、融資、投資のすべてが同時に傷みました。
クレイマーは、Nvidiaには当時の通信機器企業とは比較にならないほど強い財務基盤があると認めています。それでも、顧客の信用リスクまで引き受ける必要はないと述べました。
Nvidia株についての結論は、「保有を続け、短期売買しない」です。ただし、Nvidiaが巨額の保証を実際に引き受けることには反対しています。
背景解説
今回報じられた計画は、オハイオ州南部に建設される10ギガワット規模のデータセンターに関係するものです。SoftBank傘下のSB Energyが開発し、OpenAIが主要利用者になる可能性があります。
OpenAIは非上場企業であり、投資適格級の信用格付けを持つ企業ではありません。データセンターから十分な収益を生み出せなければ、保証を提供する企業にリスクが移る可能性があります。
一方、報道段階の交渉がそのまま契約になるとは限りません。投資家は「Nvidiaが2,500億ドルをすでに支払った」と誤解しないことが重要です。
投資家が見るべきポイント
Nvidiaが保証契約を正式に締結するか
保証対象が建設債務、リース債務、GPU購入代金のどこまで及ぶか
OpenAIの資金調達とキャッシュフロー
大手クラウド企業の設備投資計画
データセンター向け需要に依存する企業の売上構成
Nvidiaの売掛金や投資残高の変化
IntelとCrowdStrikeへの回答
Intel(INTC)について、クレイマーは強気な姿勢を示しました。
GPUと組み合わせて使われるCPU需要、半導体パッケージング、米国内の製造能力不足などを評価しています。リップ・ブー・タンCEOの経営にも期待を示し、CNBC Investing Clubで買い増していると説明しました。
ただし、Intelは事業再建の途中です。成長期待だけでなく、製造部門の採算、設備投資負担、外部顧客の獲得状況を確認する必要があります。
CrowdStrike(CRWD)についても強気でした。Microsoftのセキュリティ事業をめぐる懸念から株価が影響を受けたものの、クレイマーはジョージ・カーツCEOを高く評価し、保有を続けるべき銘柄との見方を示しました。
American Expressは決算後の下落が買い場
何が語られたか
American Express(AXP)は2026年第2四半期に、前年同期比10%増となる約196億ドルの売上高と、1株利益4.53ドルを計上しました。市場予想の1株利益4.40ドルを上回っています。
カード利用総額は前年同期比9%増えました。新規カード発行は約300万枚で、そのうち約75%が年会費を伴うカードでした。
それでも株価が下落したのは、売上高が市場予想にわずかに届かなかったことに加え、会社が通期の利益予想を引き上げなかったためです。
クレイマーの見方
クレイマーは、この下落を「非常に魅力的な買い機会」と評価しました。
会社が利益予想を上げなかったのは、事業が悪化しているからではありません。好調によって生じた余力を、自社株買いや短期的な利益の上積みではなく、カード特典、マーケティング、顧客獲得に再投資しているためです。
特に、ミレニアル世代とZ世代の利用拡大を評価しました。若いうちにプレミアムカード会員を獲得できれば、長期間にわたって手数料収入や決済収入を得られる可能性があります。
背景解説
American Expressは、カード発行会社であると同時に、決済ネットワークも運営しています。年会費、加盟店手数料、金利収入を組み合わせたビジネスモデルが特徴です。
主力のPlatinum Cardは年会費895ドルと高額ですが、旅行、飲食、空港ラウンジなどの特典を拡充しています。プレミアム顧客は利用額が大きく、一般的に貸倒率も低い傾向があります。
同社は欧州のレストラン予約サービスTheForkの買収も発表しました。カード特典と予約サービスを組み合わせ、飲食分野での顧客接点を増やす狙いです。
投資家が見るべきポイント
カード利用額の伸び
年会費付きカードの新規獲得数
30日以上の延滞率と貸倒率
マーケティング費用の増加率
特典拡充による費用と顧客維持効果
景気悪化時の消費減速
Honeywell分割後の2社を評価
何が語られたか
旧Honeywellは、すでに分離したSolstice Advanced Materials(SOLS)に続き、2026年6月29日に次の2社へ分かれました。
Honeywell Technologies(HON)
Honeywell Aerospace(HONA)
Honeywell Technologiesは、ビル制御、産業自動化、プロセス自動化などを手がけます。同社の独立後初となる決算では、調整後1株利益が1.95ドルとなり、市場予想を上回りました。
オーガニック受注は16%増加し、受注残高は約200億ドルまで拡大。コスト削減と生産性改善によって利益率も上昇しました。
クレイマーの見方
Honeywell Technologiesについては、独立直後に考えられていた「成長性の低い残存事業」という評価は間違っていたと指摘しました。
ただし、好決算を受けて株価がすでに上昇しているため、現在の水準で積極的に追いかけることには慎重です。
一方、Honeywell Aerospaceについては、株価下落を買い機会と評価しました。旧Honeywellの中核資産であり、競合企業と比較して評価倍率が低すぎるという判断です。
背景解説
Honeywell Aerospaceは、航空機向けエンジン始動システム、電子機器、電源システム、制御装置などを供給しています。
航空機に一度採用されると、保守部品や修理サービスから長期間にわたって収益を得られます。BoeingやAirbusの受注残が大きいことに加え、航空需要の回復、防衛予算、既存機の長期使用も追い風になります。
会社側は2030年に向けて、オーガニック売上高を年平均6~8%成長させ、調整後EBITを65億ドル超に拡大する目標を掲げています。
最大の課題は需要不足ではなく、部品調達と生産です。受注を確実に納品へ変えられるかが重要になります。
投資家が見るべきポイント
8月5日に予定される独立後初の決算
サプライチェーンの改善状況
航空機メーカーの生産台数
防衛・宇宙部門の受注
補修・保守サービスの伸び
分社化に伴う一時費用
SpaceXは長期テーマだが、決算後まで待つ選択肢
SpaceX(SPCX)について、上場後の株価下落を受けた質問がありました。
クレイマーは、イーロン・マスク氏と宇宙開発の長期的な可能性を信じる投資家であれば、簡単に売却すべきではないとの見方を示しました。
一方、CNBC Investing Clubでは購入しないとも述べています。上場直後で評価が難しく、最初の決算を確認してから検討する選択肢も示しました。
ここからは補足です。SpaceXは2026年6月に上場したばかりで、値動きが非常に大きい銘柄です。事業の成長性だけでなく、上場時の高い企業価値、初期投資家による売却、Starshipの開発費なども株価を左右します。
CRHの採石場から見えた「AI以外のインフラ投資」
何が語られたか
クレイマーは、建材大手CRH(CRH)が保有するニュージャージー州のMount Hope採石場を訪問し、ジム・ミンターンCEOにインタビューしました。
CRHは砕石、アスファルト、コンクリート、水道設備、道路舗装などを提供しています。同社の製品は道路、橋、工場、データセンター、上下水道、送電設備など、幅広いインフラに使われます。
Mount Hopeでは年間約400万トンの骨材を生産しており、現在の採掘ペースでも約120年分の埋蔵量があると説明されました。
クレイマーの見方
クレイマーは、CRHを単なる「石の会社」と見るべきではないと指摘しました。
採石場から骨材を供給するだけでなく、アスファルト製造、道路舗装、水道設備、エネルギーインフラまで展開しています。住宅建設に依存しすぎず、公共インフラと補修需要から継続的な収益を得られる点を評価しています。
特に道路補修は、景気や住宅ローン金利に左右されにくい反復需要です。冬季に傷んだ道路は定期的に再舗装する必要があり、CEOはこれを年金のように繰り返す収益源と説明しました。
背景解説
CRHは2026年6月、Arcosa(ACA)を約85億ドルで買収する契約を発表しました。買収により、ダラスとフェニックスの骨材市場に参入するとともに、送電インフラ向け製品を取り込みます。
AIデータセンターは大量の電力、水、道路、基礎工事を必要とします。しかしCRHの場合、データセンターだけでなく、道路、橋、半導体工場、水道、送電網にも製品を供給できます。
この分散性が、今回クレイマーが求めている「AI成長の恩恵は受けるが、AIだけには依存しない企業」という条件に合っています。
投資家が見るべきポイント
Arcosa買収の規制当局・株主承認
買収後の負債と統合費用
公共インフラ予算
道路舗装・補修需要
骨材の販売量と価格
エネルギー・輸送コスト
7月30日に予定される決算
主要銘柄の深掘り
Nvidia(NVDA)
NvidiaはAI向けGPUと関連ソフトウェアの最大手です。番組では製品需要ではなく、OpenAI向け資金保証の可能性が中心テーマになりました。
クレイマーの評価は、長期では強気、資金保証については慎重です。「保有を続けるが、短期売買はしない」という立場でした。
成長材料はAI推論需要、新世代GPU、ネットワーク製品、ソフトウェア収益です。一方、顧客への金融支援、AI設備投資の集中、規制、中国企業との競争が新たなリスクになります。
日本人投資家は、株価変動に加えて為替変動にも注意が必要です。データセンター関連株を複数保有している場合、銘柄数が多くても実質的には同じテーマへ集中している可能性があります。
American Express(AXP)
American Expressは、プレミアムカード会員を中心とする決済・金融会社です。
クレイマーは決算後の下落を買い機会と評価しました。若い富裕層の獲得、年会費収入、カード利用額の増加、低い延滞率を重視しています。
リスクは景気後退、貸倒損失、特典費用、VisaやMastercard、銀行系プレミアムカードとの競争です。決算確認後の監視候補として考えたい銘柄です。
Honeywell Aerospace(HONA)
Honeywell Aerospaceは、民間航空、防衛、宇宙向けの機器とサービスを提供します。
クレイマーは、分社化後の株価下落によって競合企業より割安になったとして強気でした。長期的な航空機需要と保守サービス、防衛支出が成長材料です。
ただし、独立後初の決算には分社化に伴うノイズが含まれる可能性があります。決算直後の急変動を想定し、一度に買わず、内容を確認してから段階的に検討する方法が現実的です。
CRH(CRH)
CRHは道路、建築、水道、エネルギーインフラ向けの建材・製品を供給しています。
データセンター建設の恩恵を受けながら、売上先が道路や公共インフラにも分散している点が強みです。継続的な道路補修需要もあります。
主なリスクはArcosa買収後の財務負担、建設需要、原油価格、金利、政府予算です。また、本社機能と事業が複数地域にまたがるため、日本の証券会社によっては配当課税の扱いを確認する必要があります。
Lightning Round
Cerebras Systems(CBRS)
クレイマーの回答:慎重
CrowdStrikeがFalcon AI Detection and ResponseでCerebrasの高速推論技術を採用した点について、質問者の考え方には一定の理解を示しました。
ただし、現在はテクノロジー株全般を積極的に増やしたくないとして、CerebrasよりIntelを選ぶと回答しました。明確な売り判断ではありませんが、積極的な買い推奨でもありません。
First Horizon(FHN)
クレイマーの回答:強気
「非常に良い銘柄で、割安」と評価し、買いの判断を示しました。
番組内では詳しい理由は説明されていません。補足すると、First Horizonは米国南部を中心に展開する地方銀行です。預金コスト、融資成長、貸倒引当金、商業用不動産向け融資を確認する必要があります。
Nike(NKE)
クレイマーの回答:中立から慎重
経営再建に取り組んでいるものの、競争が激しく、「悪くはないが、ただ普通」と評価しました。
CNBC Investing Clubでは売却したと説明しています。業績回復が数字で確認できるまでは、決算確認後に検討する姿勢が妥当です。
Kemper(KMPR)
クレイマーの回答:弱気
約4%の配当利回りだけでは不十分で、必要な成長性が見えないとして、保有したくないと回答しました。
配当利回りの高さだけで銘柄を選ばず、保険料収入、契約件数、損害率、利益成長を確認すべきという判断です。
番組から読み取れる市場テーマ
1.AI投資の焦点が需要から資金調達へ
これまでAI相場では、GPUの不足やデータセンター需要が注目されてきました。今回の番組では、その設備を誰が、どの信用力で、どのように資金調達するのかが問題になっています。
これはAI需要の終了を意味しません。しかし、売上の成長だけでなく、契約相手の支払能力まで確認する段階に入ったと考えられます。
2.データセンターからの分散
クレイマーは、医療技術、産業自動化、航空宇宙、金融、建材などを挙げました。
重要なのは、テクノロジー株をすべて売ることではありません。データセンター建設という一つの資金循環に依存しすぎない企業へ分散することです。
3.「AIの恩恵」と「AIへの依存」は違う
CRHはデータセンターにも製品を供給しますが、道路、水道、橋、工場などにも対応できます。American ExpressはAIを顧客サービスに利用しても、収益の中心はカード利用と年会費です。
AIを活用している企業と、AI設備投資が止まると業績が急変する企業を区別する必要があります。
4.レバレッジ管理の重要性
クレイマーが最も強く警告したのは、借入でデータセンター関連株を保有することです。
現物保有なら価格回復を待てる場合でも、信用取引では追加証拠金や強制決済によって待てなくなる可能性があります。テーマ株の調整局面では、銘柄選び以上にポジション管理が重要です。
日本人投資家向けまとめ
今回もっとも重要だったのは、AI需要そのものではなく、AI設備投資を支える資金調達の持続性が問われ始めたことです。
Nvidiaについては、クレイマーは長期的な強気姿勢を維持しています。ただし、OpenAI向け保証は交渉段階であり、条件が確定するまで慎重に確認する必要があります。
今後確認したい材料は、NvidiaとOpenAIの正式契約、主要クラウド企業の設備投資、American Expressの顧客獲得費用、Honeywell Aerospaceの独立後初決算、CRHのArcosa買収です。
すぐに売買せず、次のように整理するとよいでしょう。
Nvidiaは保証条件を確認しながら長期目線で経過を確認
American Expressは決算後の監視候補
Honeywell Aerospaceは初決算後に検討
Honeywell Technologiesは株価水準に注意
CRHはArcosa買収と財務負担を確認
AI・データセンター関連への集中度を再点検
信用取引や借入によるテーマ株保有は避ける
米国株へ円から投資する場合、企業業績が良くても円高によって円換算の収益が減る可能性があります。銘柄だけでなく、為替、保有比率、決算日程を含めて管理することが重要です。
免責事項
本記事は、公開されている番組内容をもとに情報を整理・解説したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記事内の情報は作成時点のものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。
出典
元動画:YouTube「Mad Money 07/27/26 | Audio Only」
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