
CVSは下げすぎ?onsemiの買収見直しとGRAILの可能性を考える|Mad Money 2026年10月6日
AI関連株が相場を引っ張った10月6日。クレイマーは成長の持続性を評価しながら、良い会社でも株価が高すぎれば買いにくいと指摘しました。
薬価制度への懸念で下落したCVS、買収条件を見直したonsemi、がん検査のGRAILを解説。フランスの財政不安も考えます。
※株価、騰落率、予想倍率、銘柄判断は、原則として番組放送時点のものです。会社予想、アナリストの試算、クレイマーの見方は、実績と区別して記載しています。
今回の要点
1.AIの成長を評価しても、価格と分散を忘れない
クレイマーは、AI需要が半導体だけでなく電力やセキュリティにも広がると評価。一方、CerebrasやAstera Labsでは割高な株価を警戒し、自身も分散投資を続けるとしました。
2.CVSとonsemiは、悪材料の大きさを見直す
CVSは薬価制度への懸念に対して株価の下落が大きすぎるという判断。onsemiはSynaptics買収の条件変更で、過大な買収価格への不安が和らいだと評価しています。
3.GRAILは有望でも、承認前の高評価には注意
がん検査の普及余地を認めつつ、赤字と高い売上倍率を警戒。FDA諮問委員会の賛成票は正式承認ではなく、クレイマーも少額から押し目で買い増す姿勢でした。
AI相場:成長は広がっているが、何でも買えるわけではない
この日はダウ平均が約253ドル高、S&P 500が0.58%高、NASDAQが0.45%高でした。
直近1カ月から1年まで、強い銘柄にAI関連企業が多いと指摘。半導体に加え、電力やセキュリティも恩恵を受けると考えています。
バブル論と、長期成長を評価する見方
番組では、AI相場を見る立場を大きく3つに整理しました。
インターネットバブルのように、期待先行で崩れると考える立場。
長期の需要拡大と利益成長を評価する立場。
経営者がAIを使って新しい事業や収益を生み出す可能性を見る立場。
クレイマーは後ろの2つを支持。ただし、インターネットが社会を変えても、当時上場した多くの企業は生き残れなかったと振り返りました。
各社が需要を利益へつなげられるかを重視。高金利でも資金を確保しやすい企業は有利だと考えています。
MicrosoftではCopilotとAzure、Metaでは企業向けAI、AMDではCPUとGPUを評価。AIの利用が増えるほど、CrowdStrikeやPalo Alto Networksのようなセキュリティ企業にも需要が生まれるという見方でした。
電力契約が示す、AI投資の広がり
10月6日、GoogleとConstellation Energy(CEG)は20年間の電力購入契約を発表。既存の原子力設備の改良を通じ、890メガワットの追加発電能力を確保する計画です。
AI需要が電力事業にもつながる例です。番組ではCEGの約12%高と、Vistra、GE Vernovaの強さを紹介しました。
Marvellについても、同日の投資家向け説明会で示された成長見通しを評価。
成績が見劣りしても、分散のルールは守る
AI以外でも、Eli Lillyの肥満症治療薬や、精製能力の不足を背景とするValero、Phillips 66などを挙げました。ただし、幅広い業種が上昇するには、インフレと金利が落ち着くことが必要だと考えています。
自身も医療、消費、金融などを保有し、分散を続けると説明。AIだけに集中すれば成績が良く見えても、過去に自分のルールを破った際には損失につながったためです。
CVS:薬価制度への不安で、株価は下がりすぎたのか
CVS Health(CVS)は、薬局、医療保険のAetna、薬剤給付管理のCaremarkを持つ企業です。番組では、7月の約110ドルから約86ドルへ、約22%下落したと紹介しました。
Aetnaと薬局事業は改善している
以前のCVSは、医療利用の増加と保険料設定の問題でAetnaの採算が悪化し、経営体制の変更につながりました。
David Joyner氏の下では、保険事業の立て直しが進んでいます。薬局事業についても、競合の撤退や店舗閉鎖が追い風になると評価しました。
8月5日発表の第2四半期決算では、全社売上が前年同期比7.3%増、調整後EPSが2.58ドル。2026年通期の調整後EPS予想は7.90~8.10ドルへ引き上げられています。
市場は、この改善より2027年のCaremarkの利益を心配しています。
340B制度と、Caremarkの収益への懸念
340Bは、対象医療機関が一定の外来用医薬品を割引価格で購入できる制度です。
CMSは7月、2027年の病院外来向けMedicare支払いについて、340Bで取得した対象薬剤の支払額を、平均販売価格(ASP)の33.4%下にする案を公表しました。番組では、従来のASPに6%を加える水準からの引き下げとして説明しています。
これは放送時点で提案段階です。病院の薬剤調達や関連する薬局サービスの採算が変われば、Caremarkにも影響する可能性があります。
別の論点として、Caremarkは7月にFTCとの和解を発表。薬価に連動する手数料の見直しや、価格の透明性向上などが求められています。クレイマーは、顧客との契約条件を慎重に見直すことで、2027年の加入者数が減る可能性にも触れました。
利益への影響より、株価の下落が大きいという判断
番組で紹介したBank of Americaの試算では、340B関連の変更が2027年EPSを約0.45ドル押し下げる可能性があります。紹介された市場予想8.52ドルに対して、約5%の影響です。
クレイマーは、これに対する約22%の株価下落は大きすぎると判断。放送時点の株価は今年の調整後利益予想に対して11倍未満、翌年利益の目安では約10倍とし、割安感を評価しました。
さらに下落する余地は認めながらも、約86ドルなら買いを検討できるという立場です。制度リスクが残る中で、利益への影響と株価を比べた見方です。
onsemi:Synaptics買収の見直しで、AI成長を評価し直せるか
onsemi(ON)は、電力制御とセンサーに強みを持つ半導体企業です。番組では前年売上の約51%が自動車、約28%が産業向けと説明しました。
EVや自動車需要の弱さに苦しんだ一方、AIデータセンターの電力管理が新しい成長源になっています。
AIデータセンターの電力管理が伸びる
GPUを大量に動かすデータセンターでは、電力を効率良く変換し、各機器へ届ける技術が必要です。
第1四半期のAIデータセンター売上は前年同期の2倍超、前四半期比30%超増。8月の決算では、会社は2026年の同分野売上が前年の2倍を超えると予想しました。
9月の投資家向け説明会で示した電力技術や、自動車分野の協業も評価しました。
約70億ドルの株式交換から、約57億ドルの現金買収へ
6月に発表したSynaptics(SYNA)の買収は、当初約70億ドルの株式交換でした。クレイマーは、買収価格が高すぎるという市場の不安が、onsemi株の急落につながったと説明しました。
Synapticsはタッチ操作、指紋認証、音声処理などに加え、端末側で処理するエッジAIを手がけます。ロボットや自動運転などのPhysical AIで、onsemiの電力・センサー技術との組み合わせが期待されています。
10月1日、両社は条件を変更。Synaptics株1株当たり123ドル、総額約57億ドルの現金買収へ切り替えました。
会社は、完了後すぐに調整後EPSへの増益効果が出ると予想しています。完了予定は2027年半ばで、株主承認や規制当局の承認などが残っています。
現金買収でも、資金調達と統合の負担は残ります。
クレイマーは、出遅れた半導体株として強気
株価は6月の約135ドルから9月に約65ドルへ下落し、約86ドルまで戻ったと紹介。
クレイマーは、買収条件の改善で過払いへの懸念が和らぎ、AI向け成長を評価しやすくなったと判断。約86ドルの水準でも、買いを検討できるとしています。
GRAIL:がん検査への期待と、急騰後の株価評価
GRAIL(GRAL)のGalleriは、血液中のDNAに含まれるがんの兆候を調べる、多種類のがんの早期発見検査です。
クレイマーは、従来の検診で見つけにくいがんを発見できる可能性を評価しました。ただし、マンモグラフィーや大腸がん検診などを置き換える検査ではなく、推奨される検診に追加する位置づけです。
臨床試験の課題と、FDA諮問委員会の賛成票
英国のNHS-Galleri試験では、事前に定めた12種類のがんについて、ステージIIIとIVを合わせた診断数を有意に減らすという主要評価項目を達成できませんでした。
一方、ステージIVの減少や早期発見の増加も報告されています。これらの成果と、主要目標の達成は区別が必要です。
9月23日のFDA諮問委員会は、安全性、有効性、利益とリスクのバランスについて、それぞれ賛成多数の判断を示しました。
ただし、諮問委員会の判断はFDAの正式承認ではなく、FDAを拘束しません。正式承認や保険適用の範囲、時期は、引き続き不確定です。
販売は伸びているが、赤字も続く
Galleriは既に販売されていますが、広い保険適用には至っていません。番組では通常価格949ドルとし、割引があっても自己負担が普及の壁になると説明しました。
第2四半期のGalleri売上は前年同期比24%増、検査数は35%増。クレイマーは、この差に普及のための割引が影響したと説明しました。
同四半期の純損失は約1.10億ドル。6月末の現金、現金同等物、短期有価証券は合計約8.62億ドルでした。資金はありますが、収益化には時間がかかります。
Samsungからの約1.10億ドルの出資も完了。韓国での商業展開と、日本・シンガポールへの拡大を検討していますが、規制上の承認などが条件です。
有望でも、売上高の約34倍は高い
番組で示された時価総額は約61億ドル、売上倍率は約34倍。利益に対するPERではなく、売上に対する評価です。
市場の大きさと先行する事業基盤は評価しても、競争と割高な株価を警戒。承認期待で急騰した分、投機的な性格が強まったという判断です。
上昇余地を認めつつ、少額から押し目で買い増す判断です。FDAが厳しい承認条件を付ける可能性も挙げました。
視聴者相談:事業への評価と、買う価格を分ける
Dutch Bros(BROS):段階的な買いに前向き
Starbucksの立て直しや競争激化は重荷でも、事業を評価。番組では39ドル、36ドル、33ドルと、下落に備えて購入を分ける例を示しました。Waste Management(WM):まず一部を買う
経営と成長を評価し、約200~207ドルで少し買う判断。追加下落に備え、購入余力を残すとしました。Broadcom(AVGO):保有継続
決算後の下落から戻った局面でも、売却を急がない判断。自身の一部売却は保有額が大きくなったためで、残りは持ち続けると説明しました。AEVEX(AVEX):防衛分野に慎重
ドローン関連企業への質問には、防衛セクター全体の先行きを警戒する回答。個社の詳しい業績分析には踏み込みませんでした。Astera Labs(ALAB):急騰後は待つ
良い会社と認めながら、予想PER約97倍は高いと判断。その日の大幅上昇を追わず、株価が落ち着くのを待つ姿勢です。Tower Semiconductor(TSEM):事業は評価、価格には慎重
Marvell関連の需要などを評価しても、番組で示したPER約66倍は高いと判断。今の水準で積極的に買う回答ではありませんでした。
Lightning Round
Cerebras Systems(CBRS):割高を警戒
競争を巡る報道への質問に、良い会社でも株価が高すぎると回答。個々の報道の真偽より、現在の評価水準を問題にしました。Enterprise Products Partners(EPD):保有に前向き
金利上昇が株価の重荷になる可能性は認めつつ、エネルギーの輸送・処理事業と経営を評価。目先の債券市場より、事業の強さを見るとしました。Argan(AGX):判断保留
夏の高値からの下落について、十分に調査できていないため即答を避けました。MasTec(MTZ):買いを見送る
事業や価格には一定の評価を示しましたが、風力・太陽光関連への売りを警戒。強い下落の流れに逆らって買わない判断でした。
フランスの財政不安:恐怖だけで売買しない
最後に、フランスの政情と債務への懸念が、世界の債券市場へ波及する可能性を取り上げました。
金利上昇、緊縮への反発、他国への連鎖、データセンターの資金調達難を結び付ける報道が増えると予想。これは今後のシナリオで、すべてが既に起きたという説明ではありません。
以前の欧州債務危機でも、底値や破綻を予想して取引した投資家が損失を出したと振り返りました。
悪化すればECBが対応し、結果として買いの機会になる可能性もあるという見方です。ただし、今回も同じ経過をたどる保証はありません。
締めくくりは、パニックは投資戦略にならないという言葉。危機の見出しだけで判断しない姿勢を促しています。
※本記事は番組内容の要約と公式資料による補足です。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。