
私が同人誌の部数を決めるときに考えていること
同人作家インターネットあるあるというのが、「同人誌は何冊刷ればいいですか」「何冊でもいいですよ!」と答える風景である。
おそらく質問してきた人が求めている答えってそういうのじゃないだろ。なぜなら「趣味だから好きな数を刷ればよい」というのはアドバイスというより価値観の話であって、何の助けにもなってないから……。
なお、どれだけ話しても最終的には「自分の決めた数を刷ればよい」になるのは必然だし、趣味なのにこんなせせこましいことを考えるなという人もいるかもしれない。しかし「趣味なんだから好きにすればいい」という建前をもって見えている落とし穴を隠すのもどうかと思う。気を付けていても穴に落ちるときは落ちるが、他人が穴に落ちた跡は通らない方がいい。
01.在庫を置くスペースをどれだけ確保できるか
ある意味お金よりも重要な部分である。お金は稼げるが、場所は確保するのに手間も時間もかかる。事情があって引っ越せない人もいるだろう。
とらのあなに預ければその間は家に在庫を置かなくてすむが、自家通販を主体として活動する場合は厳しい面もある。
あと同人誌の種類が多いと発送ミスのリスクが増えるので、あまり増やしたくない。
あと6畳の部屋に住んでると半畳段ボールで場所食うのも嫌なんだよ……6畳と
5.5畳は違うん……段ボール積み上げると、地べたにマットレス敷いて寝てるので寝てるとき倒れてきたら危ないし。
家に業者さん来たときも印刷会社の段ボール隠すような場所ないから……いや業者さんが印刷会社の名前知ってるのかはわからないけど……知ってたらなんとも言えない気持ちになりそうで……。
02.同人誌を出す頻度
一年に一冊出すくらいなら多めに刷ってのんびり頒布するのもいいし、頻繁に出す人なら在庫管理や前述した置場所、イベントで机に置ききれないという事態もあるので少なめに刷るのもあり。
もちろん置場所とお金が確保できるならいくらでも刷っていいけど。
03.同人誌の厚み
厚い本はめっちゃ場所取るんだよ!!特に小説本は厚くなりがち。
でも文庫本はA6のせいかA5の厚いのよりはましな気がする。
ページ数少なめの本は多く、厚い本は少なく刷るのもいいかな。
04.懐事情
避けては通れない、懐事情の話。
「たくさん刷った方が印刷費を回収するのが速い」というのは真理だけど、100部200部越えると10万円以上吹っ飛ぶことがあるので気軽にはやりづらい。
たとえ完売できるとしてもいきなり10万円はなあ……。元手がない人もいるし。
この問題も「趣味なんだからお金のことは野暮」みたいなことを言う人もいるけど、健康的で持続可能な趣味をやる上でお金のことは無視できない問題だ。そんなアドバイスをする人は、無限にお金を持ってる石油王だと思っておこう。
1.自分が「趣味に使っても笑って済ませられるお金の最大金額」を思い浮かべます。
2.印刷会社の値段表を見ます。
3.1で思い浮かべた値段に一番近い値段のコースにします。
4.完売したらそのとき考えます。
これだと赤字が出たとしても「やるんじゃなかった」とまではならないと思う。
05.ジャンル、性癖
何となくでいいのではけるのが速いジャンルや性癖を知っておくとよい。以下、私が出してみた雑感。
はけるのが早い
わかりやすいエロ
メジャージャンル、メジャーカプ
今現在メディアミックスで扱われているキャラ
はけるのが遅い
一次創作(特にエッセイではなくフィクションの方)
複数のカップリングが含まれる本
検索しづらいカプ、属性(3人交際とか性癖の名前が一般名詞とか)
価格帯が高い本
注意してほしいのは、はけるのが遅いから、部数が少ないからといって同人誌としてのクオリティが低いというわけではない。ただ、どうしても手にとってもらいやすい作品とそうでないものがある。
癖のあるものは少なめに刷って様子を見るのもありである。すぐ完売してしまうようなら、次回似たような作品を出すときに考慮すればよい。
あと一次創作はなあ~。大体の人が固定ファンがつくまでは苦労する。数年かけて自分のブランドを育てていく前提のジャンルだなと思う。(私は怠け者のため一次創作では全然売れてない)。
06.イベントに参加する頻度
リアル同人イベントには「お祭り気分ボーナス」が働くため、リアルイベントに参加した方が在庫がはけやすい。逆にいうと東京や大阪に行きづらい場所に住んでいる、お金や体力の事情でリアルイベントに出られない人は部数が少なくなる傾向になる。
あなたもお祭りの夜店でつい散財してしまったことはないだろうか。それと同じである。
オンラインイベントでも「お祭り気分ボーナス」はなくはないが、やはりその規模はリアルイベントより小さいのだ。
通販中心で在庫を頒布する場合、部数は少なめに見積もっていた方がいいだろう。
おまけ・変則的な在庫の持ち方
私が行っているわけではないが、変則的な在庫の持ち方をしている人もいる。以下のようなものだ
少量だけ刷って感想をくれる人だけに頒布する
同人誌は趣味なので金銭以外のものを対価とするのもありである。その対価があまりにも理不尽なものでない限りかまわないだろう。
イベントごとに10部再版してこまめに売り切る
割高になってしまうものの、在庫を持たずかつ買いたい人の欲求を満たすことができる方法だ。最近は10冊が最小ロットの同人印刷所も多いので可能になっている。
いろいろ喋ったが、伝えたいことはひとつである。
「その人の金銭的事情や住宅事情やあとジャンルやカプの文化も知らないのに、いっぱい刷ることがいいことみたいな価値観を流布するんじゃない!!!!」
以上です。
↓頒布物はこちら