
【邦ロックの最後の希望】"家主"入門
はじめに
邦ロックってなんだろう。分かりません。そもそもロックってなんだろう。難しい話はまあ置いておいて、今回は"家主"についてご紹介したいと思います。
もちろん家賃を徴収する家主ではありません。バンド名です。
概要

大学のサークルで2013年に結成。元々は↑の写真で、右側3人のみから始まり、その後、同サークルの先輩であった一番左の谷江さんが2019年に加入。現在の家主のメンバーになります。
スピッツの草野マサムネさん、アジカンの後藤正文さんといった名だたるミュージシャンに評価され、今年はスピッツのイベントに参加、ピーズやthe pillowsといった歴戦のロックバンドとも対バンなどを行っています。
特徴としては、現代には珍しい超直球のギターロック。オルタナ、ガレージロックという感じ。ビートルズ的なメロディ性と、ハードロック由来の歪んだギターを併せ持ち、結果としては、今「ロック」という言葉に一番合う音楽性なのではないかなと感じてしまいます。
そしてメンバーのうち3人が作曲と歌唱を担当。ビートルズスタイルです。このようにして、轟音ロックから王道ポップ、サイケまで幅広い音楽性を見せてくれます。
しかしそれで統一感がないというわけでもなく、メインコンポーザーでもある田中ヤコブ(Vo/Gu)が、アレンジ等を担当し、音色の統一感が生まれています。
そしてなんといってもライブが素晴らしいバンド。田中ヤコブの自由で激しいギターに、観客は盛り上がりっぱなし。来年もツアーやるので、ぜひ見に行ってほしいです。仙台来ないけど。
歌詞はなんというか、作者にもよりますけど、ラブソングがあまりないのが昨今にしては珍しいです。世の中への皮肉や、ちょっとシュールな内容も多く、その辺も古き良きロックという感じです。まあとりあえず見て下さったほうが早いですね。
メンバー紹介
田中ヤコブ(Vo/Gu)

家主の中心的メンバーであり、メインの作曲、歌唱を担当。明るいやさぐれおじさんといった感じ。
ソロでも意欲的に活動し、全ての楽器を自分で演奏できるという多才な人です。
メインギターはギブソンSG。
曲の方向性としては、荒々しいギターロック。声は斉藤和義さんに近いという意見を聞きます。
谷江俊岳(Vo/Gu)

4人の中では一番年長者で、後から加入。確か未だにサラリーマンとして働いている。
主にリズムギターを担当。ギターはギブソンのThe Paulという珍しいギター。あとテレキャスターデラックス(多分)。ベースも弾ける。
パンクからサイケ、打ち込みのダンスナンバーまで幅広い音楽性を提供している。淡々とした歌い方も独特で、クセになる。ライブで変な動きをして、客を沸かせることに定評がある。
田中悠平(Vo/Ba)

バンドをするにあたってあまり弾いたことのないベースを任せられた不憫な人。
声や音楽性はシンプルというか、素朴というか、一番素直な感じ。でも良い。
ライブの本編最後に必ずと言っていいほど演奏されるアンセム、『オープンカー』は彼の曲。
岡本成央(Dr/Ch)

MCで一言も喋らず、ライブでは毎回タンクトップの、仕事人のような人だが、ライブに行って思うのは、彼のドラムが家主の軸となっているということ。
唯一ボーカルを取っていないが、コーラスの声が素晴らしいので、実は歌えるのではと訝しんでいる。
アルバム紹介
YANUSHI EP (2019)
まだ3人体制時代の、自主制作されたEP。まだ録音環境等難はあるが、『生活の礎』や『Cheater』などの田中悠平の曲は、ライブでも度々演奏される。
特に『生活の礎』は大好きな曲だが、後に紹介するライブアルバムに収録されているので、そっちを聴いてくれれば良いかなという気もある。
生活の礎 (2019)
家主の1st。とりあえずこれを抑えといてくれればライブは楽しめる。
『家主のテーマ』はまさに家主のテーマで、家主というバンドを知ってもらうのにぴったりな楽しい曲。
その他『カメラ』『茗荷谷』『マイグラント』『p.u.n.k』『お湯の中にナイフ』『オープンカー』をはじめ、全曲素晴らしいと言っても過言ではない。
特に先述もした『オープンカー』は、最高に気持ちいい曲。筆者はこの曲を歌いながらバイトへの自転車を走らせた。
僕たちの金なんだ どう使っても構わないだろう
こんなに多彩な曲があるのに、30分で終わるのが良い。一曲一曲が短くて聴きやすよね。
DOOM (2021)
2nd。前作より重厚感のある曲が増す。
『近づく』は半音下げチューニングで、まさにハードロックという感じで、終わりに向かうことを歌う曲で、そこから盛り上げアンセムの『NFP』、そしてパンクナンバーの『にちおわ』に繋がる流れが美しい。
かと思えば『夏の道路端』のようなサイケの曲、『路地』というシリアスな曲もある。他にも『それだけ』は、草野さんも絶賛したギターソロが堪能できる、短いながらも素晴らしい曲。
終盤の『老年の幻想』で、一曲目の『近づく』で歌った「生まれた時から老いていく」というテーマを、肯定的にとらえているのも、アルバムの流れとして素晴らしい。
歳をとったら 声も渋くなるよね
家主(バンド)も良くなるかもね
INTO THE DOOM(live) (2022)
筆者が(おそらく)今年最も聴いたアルバ厶。2nd以前の曲をほぼ網羅したライブアルバム。家主はやっぱライブバンドです。実際に参加すると轟音過ぎて耳栓必須ですが。
ライブ定番曲が詰まっているので、正直これを聴いてくれれば良い。最高だから。
アルバムで聞くと、田中ヤコブのボーカルにエフェクトがかかっている曲が多く、個人的にはあんまり好みではないのだけれども、このライブアルバムではかかっていないので、気にせず聴ける。
何万回話したことだが、『それだけ』→『マイグラント』の流れが素晴らしすぎて、何回聴いても絶頂に至る。もうアルバム収録版の『マイグラント』では満足できない。嘘、好きです。
石のような自由 (2023)
3rd。なんか歌詞の暗さが増している。
全体的に中期ビートルズ(『Rubber Soul』〜『Revolver』あたり)の雰囲気を感じる。『SHOZEN』のスキャットとか『Drive My Car』ですもんね。
田中ヤコブ曲の割合が最も多く、彼の影響力を感じさせる。そんな中飛び込んでくる谷江さん作曲のダンスナンバー『庭と雨』や明るい『Dreamy』が刺さる。
録音環境も向上し、アルバムとしての完成度は高くなっている。前述の通り、ヤコブさん曲の割合が多いのが、好みの分かれるところかもしれない。
しかし最初の『SHOZEN』、『きかいにおまかせ』はイントロのギターが最高だし、『耐えることに慣れすぎている!』、『今日はひとりでいようね』は別タイプで構成が面白くて、引き出しの多さに感嘆させられる。
May the DOOM be with you(2024)

サブスク未解禁のライブ映像&ライブ音源。家主の初ライブDVD。
こちらは3rd曲を中心に、ライブ定番曲も織り込んだ良いセトリである。
これも聴いてほしいのですが、サブスク未解禁なのがつらい。家主にハマった人は買おう!なんか安いし。ブルーレイでもアマゾンで4000円ぐらい。
『オープンエンド』で悠平さんと谷江さんがギターとベース交換するのめっちゃ良い。あと『INTO THE DOOM』には収録されていなかった『おはよう』、『ぜんまいじかけ』、『老年の幻想』などが聴けるのもよい。
本来は打ち込みの『庭と雨』のバンドアレンジが聴けるのも、ライブならではって感じですね。
結局何聴きゃいいのよ、という人向け
家主をある程度知っていて、興味がある人は、ライブ盤の『INTO THE DOOM』がおすすめですかね。ライブ盤ということで、統一感もあって聴きやすいですし、やっぱライブがかっこいいバンドですから。
アルバムで言うなら、やっぱ1stの『生活の礎』です。家主のスタンダードが詰まってると言っても過言ではない。30分ぐらいですので、するっと聴けます。
それ以外の人に聴いてほしい曲は、『家主のテーマ』、『NFP』、『庭と雨』、『それだけ』、『オープンカー』あたりですかね。そのプレイリストも作っておきます。
『家主のテーマ』、『NFP』、『それだけ』が田中ヤコブさん曲、『庭と雨』が谷江さん曲、『オープンカー』が田中悠平さん曲ですね。
おわりに
私は懐古厨で、基本的に歴史あるミュージシャンしか聴けないタイプの良くないリスナーだったのですが、家主は何かハマることができました。
これからの彼らに期待です。