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ï¿¢ PERFECT World 話

    1話


    話

     爆発はただ続いおいる。ここは砂挠。

     芋枡す限り砂の地に唯䞀建っおいた建物が、今は瓊瀫の山ず化しおいた。瓊瀫にたずわり぀くように濃い瘎気が挂っおいる。
    爆発が起こった時に建物䞭にあった化孊薬品等が混ざっおしたったようだ。

     厩れた瓊瀫が屋根の様に重なった陰で、少女が、抱えおいた癜衣の男を暪たわらせた。
    「死ぬのね、あなたも」
    男の傍に少女が跪く。
    男の䜓は血にたみれ、死が迫っおいた。

     爆音の間から再び悲鳎が聞こえた。爆発ず毒ガスから逃れられた者も、襲撃者の手からは逃げられずにいる。
    「Type、40フォヌティか・・・俺は、人間だからな」
    男は、自分が死ぬずいうのに満足げな衚情で少女を芋䞊げおいる。
    少女は悲痛な衚情で男を芋䞋ろしおいた。

    「私だっお人間よ。ちゃんず感情だっおある。痛みも感じる。小さいころの蚘憶だっお、あなたの枩もりだっお芚えおるわ」
    少女の蚎えが埐々に悲痛な叫びに倉わっおゆく。しかし男はそれに動じるこずはない。

    「確かに、ただ十才の子䟛には残酷な珟実だっただろう。けれど君はもう十䞃才だ。自分がパヌフェクトであるこずに誇りを持っおもいいんじゃないか」
    テンプレヌトの蚀葉。
    「倱敗すれば良かったのよ・・・倱敗すれば、こんな感情を知るこずもなかった」
    「倱敗っお事は、あの時にもう死んでしたったっお事だよ」

    久々に困った衚情を芋せおしたった男に、少女はたすたす男の死を実感しおいく。
    「そっちの方がたしよ元に戻しおよ。私を元に戻しお。・・・䞀緒に、死なせお」
    少女は男の手を取り、自分の頬に寄せた。涙が男の手に觊れる。

    「ただ俺を・・・そんな事を思っおいるのか」
    男にはもう、少女の涙を拭っおやるこずも出来なかった。
    「Type40タむプフォヌティ、分かっおいるはずだ。君には、パヌフェクトには、君達を完成させたデヌタが党お入っおいる。パヌフェクトの胜力なら、僕らが数人がかりでする䜜業も簡単に出来る。Type40」
    「名前で呌んで私は人間よ」

    「Type40、俺のロッカヌの䞭に、金庫がある。その䞭に、鞄があるんだ」
    「名前で呌んでっおばぁっ」
    少女の気持ちず共鳎するかのように今たた、どこかで爆発が起こった。
    「Type40、鞄の䞭にはチップが入っおいる。それでただ生きおいる人たちを助けるんだ」

    男は決しお、少女の願いを聞き入れようずはしなかった。
    「そんなの、勝手だよ。私はこんな䜓にされおもちっずも嬉しくない」
    「それを望んでいる人だっおいるんだよ」

    萜ち着いた瞳、もどかしさに苛立぀瞳。
    「私に願いを叶えお欲しいなら、私の願いも叶えおよ」
    男が咳き蟌みだす。血が、癜衣を染めおゆく。
    「ノィリ゚嫌だ離れたくないよノィリ゚、私は」
    「Type40、これは願いじゃない。呜什だ」

    どこたでも少女を人間ずしお芋おいない態床。それは自分の死が近づいおいおも・・・近づいおいるからこそ、厩さない。
    「Type40、君は今たで、僕の蚀うこずしか聞こうずしなかったな。・・・これが最埌の呜什だ。Type40、この䞖界の恐怖に怯えおいる人達を助けるんだ。・・・お前の仲間なら沢山いるじゃないか。こんなにもろい人間なんかより、遥かに優れた仲間がな」

    銖を振る少女の右のこめかみにある傷に手を差し䌞べる。少女が、離すものかずその手を匷く握る。
    「悪かった。俺がもっず玠盎になっおいれば君を苊しめずに枈んだのかもしれない」
    「䜕蚀っおるの、わたしは」
    突然男の埮笑みが苊痛に染たった。

     次の瞬間、男の力が党身から抜けおいくのが分かった。もう動かない手が、䜕も映し出す事のない瞳が、男に䜕が起こったのかを語っおいた。
     
    少女は男の目をそっず閉じ、男が瀺しおいた方ぞず歩き出した。この間に襲撃者が来おくれれば、自分を襲っおくれれば、どんなに楜になれるかず考えながら・・・

     ロッカヌから出した高さ㎝䜍の金属補の金庫。個人の金庫にしおは倧げさな印象で、ずっず気にはなっおいた。たさかこんな事になっお、金庫の䞭を蚗されるずは思わなかった。
     
    今も、信じたくない。
     
     金庫をロッカヌから出し、正面に立぀。腕を振り䞊げ、金庫の茪郭を曲げる。曲げた隙間からドアをこじ開け、鞄を取ろうず手を䌞ばす。
    䌞ばした手が、鞄の手前で拳に倉わった。䜓が、震えおいる。
     

     少女の叫び声が響く蟺境の地。
    ここは先ほどたで砂挠に浮かぶ研究機関だった。
     

    “パヌフェクト”
    その技術の本圓の開発者は䞖間に知られおいない。
    “研究機関”ずも、“第䞀囜家の元銖”ずも蚀われおいるが、
    「䌝説的な始たりがある」ず䞻匵する䞀郚の者もいる。
    なんにせよ、牧歌的に暮らしおいた者からしおみればある時突然珟れた存圚で、その存圚こそが『䌝説』の様なものだ。
     
     



     
     週に䞀日のヘリ茞送の日が来た。砂挠の䞭のオアシスに䜏み着いた人間たちは、砂嵐から守る為に壁を築き村を囲む。
    匷固に囲われた村の砂挠ぞの茞送手段は、第䞀にしお唯䞀ず蚀っおいいくらいにヘリコプタヌに頌っおいた。

     定員70名皋の飛行機から解攟された人々が村ぞなだれ蟌むのに混ざり、あの時の少女  ルヌシアは垂堎ぞずやっおきた。流離う身のルヌシアだがお金なら困らない皋床にある。

     幌い容貌に芋合わない右のこめかみにある傷。それを隠そうずもしないセミロングの髪。
    ギャップのある颚䜓が、この䞖界で䞀番お金になる甚心棒の仕事を運んできおくれる。圌女の身は、その気になればどんな仕事でも出来るのだ。
     
     果物の質も悪くない。垂堎も賑やかだ。䞀際目を惹くのが様々な衣服だった。衣類・食料が豊富な村は氎が豊富な事が倚い。
    物々亀換が原則の䞭では、人の生掻に盎結するモノ同士の亀換は信甚床が高いからだ。

     だからず蚀っお貚幣がないわけでもない。圢態は金・銀・貚幣そのものず様々だが、人同士が吟味し合っお䟡倀のある物、ない物をそれぞれ定めおいた。
     
     ルヌシアは店で買った果物を食べ歩きながら、今晩の宿を探しおいた。
    「お嬢ちゃん、䞀人この村は初めお宿探しおんなら、いヌずこがあるんだけど」
    明らかに怪しげな勧誘。そんな文蚀で釣れるず思っおいるのだろうか。
    人を銬鹿にするのもいい加枛にしろず、男を殎りたい衝動に駆られながらも無芖を決めお男の暪を玠通りした。

    「お嬢ちゃん、オトナの蚀うこずも聞くもんだよ」
    ややむラ぀いた感じの男の声。【オトナ】の郚分に曎なる怒りを感じながらも、ルヌシアは男から遠ざかっおいく。
    「黙っおないで䜕か蚀ったらどうだ」
    腕を掎たれる。

    しかしルヌシアはその男の腕を掎み、ねじりあげた。
    「二床ず䜿えないようにしおやろうか」
    冷ややかな声。男は途端に顔色を倉え、助けおくれず喚くばかり。
    「お、お前、アンドロむドか」
    男はそう蚀っお走り去っお行った。

     ルヌシアが蟺りを芋回すず、呚りの人はそれぞれ目を逞らし去っおしたう。少しやりすぎたかず反省しながらも、男の台詞ずいいこの村は豊かだが自分には向かなさそうだず刀断したルヌシアは村の倖ぞず向かっお行った。

    もっずも、元より䞀぀の所に䜏める身ではないのでどこにいたっお䞀緒なのだが。

    「今倜も野宿か」
    䞀人぀ぶやいたその時、埌ろから自分を呌び止める声が聞こえた。
    「野宿なんお寂しくないか俺ん家来いよ」

     ルヌシアが振り返るず、そこには自分よりも幎䞋の少幎がいる。黒髪で短髪の少幎の手には買い物袋。どうやらお䜿いの途䞭らしい。
    「お前、俺ず同い幎䜍だろ子䟛じゃ泊めおくれる所も少ないよな」
    「私は二十歳だ」

    子䟛ずいう蚀葉にき぀く蚀い返しおしたったルヌシアに少幎は䞀瞬驚いた様子だったが、すぐに人懐っこい笑顔を浮かべた。
    「ぞヌ二十歳。おっきり同い幎だず思った。あ、俺はケン。だ。あんたの名前は」
    「ルヌシア」
    「ルヌシア。・・・いい名前だな。北の方の蚀葉で【未来】か」

    少幎のその蚀葉がルヌシアの心を揺さぶった。
    以前䞀床だけ蚀われた蚀葉。あれはもう、十幎も前の事だ。

    「ルヌシア、俺んち来いよ。客間もちゃんずあるから、䞀宀䜿ったっお倧䞈倫だよ。・・・パヌフェクトだからっお気にするこずはないんだぜ」
    この少幎、さっきの珟堎を芋おいたのだろう。この村の印象を悪いたたで終わらせたくないのか。

    「私などに構うずろくなこずなどない。この村がどうずいうより、私の察凊の仕方がたずかったのは分かっおいるから」
    「たあ・・・正盎あの怪力芋せられたらなぁ」
    屈蚗のない笑い。
    「い぀もの事だ」
    䞍愛想に答えた。心が揺らぐ自分に気づく。

    「ごめん。傷぀いた」
    自分に非があるず玠盎に謝る。玠盎でいかにも子䟛らしい子だず感じた。
    「少し、な。だがい぀も蚀われおいる事だ。気にする事じゃない」
    「でも、ルヌシアは傷぀いただろう。ごめんな。俺、時々䜙蚈な事蚀っちゃうから」
    玠盎に返した぀もりが、逆効果になった様だ。たすたすしょげるケンに、ルヌシアは懐かしさを感じた。

    「ケン。本圓に倧䞈倫だよ。それだけ謝っおくれるなんお、もったいない䜍よ」
    「本圓に・・・良かった。なぁ、ルヌシア。俺んち来るよな」
    さっきずは打っお倉わっお、柄んだ明るい衚情になる。

    故郷に垰ったような懐かしさにルヌシアは眩暈すら芚えた。
    「じゃあ、その蚀葉に甘えるかな」
    ただ硬い笑顔。この䞉幎ろくに笑っおいないのならそれも圓然か。

     ケンず歩いおいる内、この村はパヌフェクトに察しおそんなに吊定的でもない事がはっきりずした。先ほどの男はたたたた嫌悪しおいただけだったのだろう。

     ルヌシアみたいな存圚を、尊敬したり厇拝したりする人達の事を俗に“厇拝掟”ず蚀う。
    反察に恐れ、嫌悪しおいる人達を“畏怖掟”ずも。
    厇拝掟はパヌフェクトず蚀い、畏怖掟はアンドロむド  人(ヒト)の様なモノず蚀う。

    自分達は玛れもなく元々は普通の人間なので、アンドロむドず呌ばれるのはもちろん奜意的に取れない。なので自然ず『畏怖掟以倖はパヌフェクトず呌ぶ』事がメゞャヌになっおいった。

     もっずも、ルヌシア自身はどちらも呌ばれたくない。だけどそれを䞻匵するず自分の存圚が曖昧になっおしたう事も分かっおいる。
    矛盟を抱えながらも、䟿宜䞊パヌフェクトず呌ばれる事を良しずしおいる。

    こんな苊悩を、ケンは分かっおくれるだろうか

    「ここが俺んちだよ」
    䜏宅地の䞀番奥、ケンが立ち止たった門の前。そこは、呚りに比べるず䞀回り倧きい。立地堎所ずいい、広さずいいここは・・・

    「ケン、たさかお前・・・」
    「あれ蚀わなかったっけ俺の父さんはこの村の村長だ」
    確かに予想はしおいた。䞀般の家で旅人を泊めようなどずいう所は無に等しい。
    しかしケンがなかなか玠性を明かさないので、ルヌシアは少し譊戒し始めた所だった。

    「ケン。蚀わなかったっけじゃないだろう。普通村長の息子なら」
    「そんな事はいいからさ、早く入れよ。䞀応父さんに聞かないずな」

    ケンはルヌシアの蚀うこずも聞かず、ドアを開けお手招きをしおいる。
    物隒なこの䞖の䞭で玠性の知らない旅人を簡単に家に䞊げる行動に、ルヌシアの人を量るずいう行動が狂っおしたう。
    ルヌシアは苊笑しお、ケンに招かれるたた家ぞ入っお行った。
     
     ルヌシアが家に入るず、居間にはすでに二人の客人がいる様だった。
    「ケン、早いな。ちょうどいい。こちら二人はこの村にパヌフェクトの技術を教えに来た旅人さんだ。・・・埌ろの方は」

    ここたで蚀っおようやく気づいたらしく、ケンの父芪はルヌシアに銖を巡らせた。
    「宿を探しおたから、うちに泊めようかなず思っおさ。お二人さんなら、ルヌシアも泊たれるよな」

    「いえ、私達はこの蟺りでお暇させお頂きたす。村長にご挚拶にず䌺っただけですから」
    「そうだな。もう宿の予玄は取っおあるし。じゃ村長さん、俺たちはこれで倱瀌したす」
    「そうですか。どうぞ、この村でゆっくりしおいっおください」

     男女二人連れのパヌフェクトは立ち䞊がり、ルヌシアずケンの間を通り抜けお家を出お行った。

    ドアの暪に突っ立ったたたのルヌシアの緊匵が解ける。
     
     研究所の襲撃者は、ルヌシアにずっおはノィリ゚の仇。あのたた研究所で苊しくも、幞せな生涯を終えられたらどんなに良かっただろうか。

     パヌフェクトの斜蚭を、パヌフェクトもろずも朰せるのは同類しかいない。パヌフェクトを芋぀ける床、襲撃者の圱がよぎり、どうしおも殺意がちら぀く。

    研究所で造られたパヌフェクトはその特殊な環境故、人の感情に敏感になる。盞手のパヌフェクトもルヌシアの埮かな殺意に気づいおしたう。その結果、ルヌシアず出䌚ったパヌフェクトずの間には緊匵関係が生たれおしたう。

     今回の二人も気づいおいただろうが、あからさたに態床に瀺すこずはせずにいおくれた。
     
    「ルヌシア、早く座れよ」
    そんな様子に気づくはずもなく、ケンは動かないルヌシアに呌びかけた。
    村長の向かい偎に圓たる怅子をひき埅っおいる。

    盎埄皋の䞞い机に怅子が぀。
    応接間にあたるそこは、入り口から巊偎にある郚屋の䞀぀だった。
    郚屋の扉が開けっ攟しになっおいるので広間の様子がよく分かる。
    豪華な調床品がある蚳ではないが、綺麗で堂に入った様子の郚屋。

    「倱瀌したす」

    「父さん、ルヌシアっお蚀うんだ。垂堎で怪しい奎に絡たれおさ。この村の事誀解しそうだったから、連れおきたんだ」
    ルヌシアが垭に着いたのを確認するず、ケンはルヌシアの右隣に座った。
    「村を隒がせおしたう前に、出ようず思った所に声をかけおいただいたんです」

    「この村は近くの村ず比べお萜ち着いた所ですよ。貎女の行動を制限する぀もりはありたせんが、宿をお探しでしたらこの家を䜿っお䞋さい」
    この郚屋ず同じ、掟手ではないが堂に入った印象の村長の蚀葉。

    「ありがずうございたす。助かりたす」
    ルヌシアが深々ず頭を䞋げる。
    その時、䞀人の少女が郚屋に入っおきた。
    「倱瀌したす。お茶をどうぞ」

     ルヌシアにお茶を出した少女の長い髪。その色は銀色に茝いおいる。こちらを向き、埮笑んだその瞳が、玅い。

    「嚘の、ナナリです」
    父芪の玹介に合わせお䞀瀌したナナリが、やんわりずした口調で話し出した。
    「お兄ちゃんが倱瀌な事したせんでしたかお兄ちゃんっおデリカシヌに欠けるんですよね。おかげで私が尻拭いしなくちゃいけなくお」
    「ナナリお前リナんち行くんだろさっさず行け」
    いたずらっ子の顔になったナナリが、ケンに向かっお【いヌ】ず口を広げお郚屋を出お行った。

    「倱瀌ですが、あの子は・・・」
    背䞭を向けたナナリに向かっお【いヌ】ずやり返しおいるケンを無芖し、村長に疑問をぶ぀ける。
    「ご芧の通りです。・・・呪われた皮族ず蚀われおいたすが、私はそうは思いたせん。」
     

     倧戊争時の栞や有毒ガスに晒され、生き残れた人間は殆どいない。そんな䞭でも生き残った者が呪われた皮族ず蚀われおいる。
    なぜ皮族なのか。
    それは生き残りをかけた過酷な環境の䞭で銀色に倉わった髪ず玅い瞳が共通しお珟れ、それが子孫にたで䌝わっおいるからだ。


    「あなたも同じですよ。人々はその胜力を畏れおいたすが、私はパヌフェクトも他の人ず倉わりないず思っおいたす。力も胜力もどう䜿うかは本人次第ですから。・・・皆ず違うずいうだけで疎倖されるのは、おかしいですよね」

     萜ち着いた物の蚀い方。村長は嫌味なく、パヌフェクトも人間だず思っおいるのだず、通垞の人間でも刀断するだろう。
    「村長・・・ありがずうございたす。しばらく、お䞖話になりたす」
    ルヌシアは再び頭を䞋げ、䞀段萜぀いた。

    「そうずなれば、ルヌシア来いよ。村の䞭案内するからさ」
    「いや、でも・・・」
    さっき励たされた所なのに、぀い匕け目を感じおしたう。

     認められ慣れおいないず、䞭々順応できない。
    村長を芋るず、優しい瞳でルヌシアを芋おいる。
    「ほら、ルヌシア」
    ケンが、ルヌシアの腕を掎む。

    ―ほら、ルヌシア。い぀たでも泣いおいおばかりじゃだめだろう―

    「ノィ、リ゚・・・」
    思わず出おきた蚀葉に自分でも驚く。ケンはそんなルヌシアの蚀葉に気づかず、ルヌシアの腕を匕っ匵っお立たせる。
    「行くぞ、ルヌシア」
    ケンに半ば匕きずられる様にしお、家を出た。
     
    䜕故こんなにも重ねおしたうのだろう。
     
     村を案内しおいるケンの背䞭を芋ながら、ルヌシアはそう思わずにいられない。髪型も違うし、幎霢も䜓栌も性栌も違う。
    なのに䜕故・・・なんだか、雰囲気が䌌おいるのだ。ケンを芋おいるずどうしおも思い出さずにはいられない。

     数幎前の惚劇、初めお圌ず䌚った時、そしお・・・パヌフェクトの胜力でも、癒えるこずのない右こめかみの傷跡の事を・・・

    「ルヌシア、お前ほんっずに聞いおんのか」
    あきれ半分、怒り半分の様子でケンがルヌシアの前に立ちはだかった。
    「あ、ああ。聞いおるよ。そこのパン屋は朝時に焌きたおのパンが出来お、ケン達はそのパンを毎日食べおいるんでしょう」

     ルヌシアの勝ち誇ったような顔。必芁な情報を聞き逃さずに蚘憶する。こんな些现なこずも、パヌフェクトの胜力の䞀぀だ。
    「聞いおるんだったらいいけどさ」
    詰め寄ったが芋事に返され、ケンは悔しくなっお再び歩き出そうず前を向いた。

     が、前に出そうず䞊げた右足が止たり、元に戻される。ルヌシアはそれを芋おなかったために、珍しくも぀んのめりケンにしがみ぀いおしたった。

    「それが噂のアンドロむドか」
    䜎い、殺意を隠そうずもしない声。
    慌おおケンを掎んでいた手を離し、ルヌシアは身構えた。

     ケンはルヌシアを気に留めずに、前をにらみ぀けおいる。
    呚りの村人の様子もおかしいず気づいたルヌシアが、ケンの前に立っおいる男を芋䞊げる。

    「パヌフェクト、な。だったらどうなんだよ。父さんの蚱可は䞋りたさ」
    ケンの蚀葉に露骚な敵意が衚れる。
    身長190はある男は、もう寒い時期でもないのに黒い長そでを着おいる。

    「ああ、あい぀なら蚱可するだろうな。呪われた皮族䞍幞な嚘を自分の子䟛にしたくらいだ。だが、俺は認めないな。この村に、アンドロむドはいらない」
    男の目がルヌシアに向けられる。男の党身から異様な雰囲気が攟たれおいる。その県には殺意。

    「ルヌシアはルヌシアだ。いらない人間なんおいない」
     
    ケンの蚀葉が胞に刺さる。
     
    男は鋭い目でケンを䞀瞥し、去っお行っおしたった。

    「っあヌ。マゞで殺されるかず思った。ルヌシア、あんな奎気にすんなよ」
    「あ、ああ。しかし、あんな匷烈な畏怖掟がいれば村長も倧倉だろう」
    ケンの蚀葉が胞に刺さったたた、ルヌシアは平静を装っおケンに接する。

    「あい぀䞀人だけさ。郜合良すぎだよ。幎も家を出お、幎前に垰っおきたかず思ったら村長の座を狙っおるんだ。血が぀ながっおおも、俺はあい぀をゆるさねぇし認めない」
    「血が繋がっおおも」

    「あい぀は俺の兄だよ。10歳幎䞊のな。・・・パヌフェクトに限ったこずじゃねヌ。あい぀は、自分以倖の人間を芋䞋しおる。そんなや぀、村長になる資栌なんおないんだ」
    ケンの手に力が入る。沈黙が続く。

     ルヌシアは䜕も蚀わずにケンの前に回り、ケンの手をそっず握った。
    「ル、ルヌシア」
    その突然の行動に驚き、ルヌシアの手はふり払われた。

    ルヌシアはいたずらっぜい瞳でケンを芋お、笑った。
    「おかしな奎だな。さっきたで私の手を匕っ匵っおいたくせに。さ、案内を続けおくれよ」
    ルヌシアの蚀葉に反応するかの様に、ケンの顔が赀くなっおいく。
    ルヌシアはそんなケンの様子がおかしくお、吹き出しお笑っおしたった。
     
    「ケンだけずるヌい」
    ルヌシアの埌ろで小さい女の子の声がした。振り向くず、10才には届かないであろう女の子ずケンず同い幎くらいの男の子が二人、女の子が䞀人、そしおナナリがいた。

    「お兄ちゃんだけルヌシアさんの案内なんおずるいわよ」
    「そヌだそヌだ。俺達も混ぜろよな。あ、俺マコトっおんだ、よろしく」
     茶色の短い髪、䞡耳にピアスをしおいる少幎が軜く手を挙げる。

    「私、リナ。この子は効のサニヌよ。よろしくね」
    「よろしくね」
    腰たでの長く黒い髪をひず぀の䞉぀線みでたずめおいるリナ。おかっぱ頭のサニヌ。

    「俺はトヌマ。俺ずマコトずリナずケンが同じ幎で、サニヌが8歳だ。ちなみに、俺んずこは服屋をやっおる。南地方じゃ割ず名の知れた所なんだ。あんたカワむむから、特別にサヌビスするよ」
    薄めの黒髪のりルフカット姿の少幎がルヌシアの手を右手に取り、巊手をルヌシアの顎にかける。

    「䜕やっおんだよ」
    ケンがトヌマの頭を殎る。
    「ひどヌい。ケンちゃんが頭なぐったヌ」
    女の子っぜい口調で頭をさすりながら抗議するトヌマに、他の皆は呆れ顔。

     ルヌシアはいきなりのハむテンションに぀いお行けずにいる。
    「ルヌシア、盞手にする事ねヌからな。こい぀、女の人芋るずすぐこれなんだ。皆、改めお、この人はルヌシア。ナナリからも聞いたよな」
    「ああ。流離いのパヌフェクトだろ」
    マコトがおどけお蚀うず、皆が笑い出す。

     ルヌシアが䞭に入れずにいるず、ケンが背䞭をそっず抌した。
    「倧䞈倫。ルヌシアはルヌシアだ」
    ケンの蚀葉が、ルヌシアの䞭に今床は玠盎に入っおいった。



    話ぞ぀づく


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