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「借りた本」[#シロクマ文芸部・応募作※5回目]『エッセイ/実話』

    借りた本を返しそびれていたことがある。
    若い頃のことだ。

    同級生で、漫画好きな友人がいた。
    友人とは中学まで一緒だった。
    高校は別々だった。

    高校生の時に、友人の家に遊びに行ったことがある。
    その時に、とある漫画の本を借りたように思う。
    それ以降は、なかなか会う機会がなくて、
    漫画本を返すことができなかった。

    やっと返せたのは、お互いが大人になってからだ。
    ワタシは、わざわざ友人の職場に会いに行った。
    そこで短く言葉を交わして、ついでに本も返した。
    ずっと気掛かりだったので、返せてホッとした。

    友人から本の返却の催促をされたことは一度もなかった。
    忘れていたのかもしれない。
    ワタシが本を渡すと、思い出したようだった。

    借りてから何年も経っていた。
    ワタシは漫画好きだし、友人から借りた物だし、
    大切に保存していた。
    劣化はしていなかったように思う。
    キレイな状態で返せて良かった。

    たかだか数百円の本だ。
    失くしたら、弁償することもできる。
    それでも、本をちゃんと返すことに拘った。
    返した後は、肩の荷が下りた思いがした。

    たかが本、されど本だ。
    友人はワタシを信用してくれて貸してくれたのだ。
    その信用を裏切りたくなかったのだ。

    20代の頃の、ちょっとした思い出である。
    友人と会ったのは、それが最後だったと思う。
    今はメールなどのやり取りもしていない。
    何をしているのか分からないが、
    その友人を思い出す時、この出来事も思い出すのだ。


    シロクマ文芸部

    また参加させていただきます!
    今回はエッセイ風です。


    ※見出し画像はAIで作成


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