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ショートショート|月を見る|シロクマ文芸部

    月を見る。

    それでも地球は回っている。
    これを言った人は痛みを知っていた。

    誰が言ったかなんて、興味はない。

    そうだね。 たしかに回ってるね。

    ずーっと回りながら、私を見つめてくる。

    あいつ。

    私より大きなカラダをしている、 あいつ。

    ずーっと長いあいだ、変わらない狭い世界から、
    自分の裏表を見せつけてくる、 あいつ。

    それだけじゃない。

    私の姿まで、好き勝手に決めつけようとする。

    「月にはウサギがいる」だとか。

    ウサギが住んでるんなら、ストレスで餅でもつきそうだ。

    あと、うちにはカニや乙女はいないんだけどさ。

    いろんな言いがかりをみんなでつけてくるの。

    乙女だとか、いきなり言われたら引かない?

    ……不快だ。

    だから私は、裏側まで絶対にあいつには見せない。

    あいつにしたらさ。

    私を自分の付属品、 いや、
    所有物みたいに思ってるよね。

    感覚が普通じゃない。

    私があいつのそばを
    楽しそうにクルクル回ってるって思ってる。

    ヤバい。

    私を見てると気が狂いそうになるとか……。
    私の存在で心が水のようにゆれ動いてるとか……。

    はっきりいって、引くわ。

    私を見つめて、ロマンチックを気取ってるの、
    ヤバくない?

    そんな手紙を、ドヤ顔で比喩を多用してくる、
    ポエティックな文芸部の部長のカバンの上に
    置いといた。

    これでも、地球は回れるのかな。
    あなたの地動説を聞かせてね。

    私は天動説を信じてる。

    部室の窓から月明かりに照らされた運動場が見えた。

    私は世界の外で白黒はっきりとした
    球を転がしてる人が好き。

    これでもわからないなら、怪獣だね。


    【後書き】
    未完成な高校生くらいの月の見えかたを描いてみました。サカナクションの「怪獣」を聴きながら読んでみてください。「いらない」お節介でした。

    一サカナクションファンより

    小牧さんの企画に参加させていただきました。
    以下、企画案内を引用しています。

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    主にホラーを書くのが好きですが、ジャンルに縛られてません。ホラー小説を買って読んだのは、鈴木光司さん、貴志祐介さん。お二人の作品は映像が浮かび、日常や人間の怖さに引き込まれます。 はじめた書いた長編ホラーの『廻りもの』という作品を時間のあるときに読んでもらえたら嬉しいです。

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