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Photo bymako_makkonen

果おぬ者たちのための䞃重奏曲(セプテット) 2話

    「あった」 
     高速むグアナの背の䞊で荷物を持っおいたアリアは、手袋を芋぀け出しおほっず溜息を぀いお、それを身に着ける。
    「前に買ったスペアのこず忘れおた」
    「別に君が悪いわけじゃないが、䞍安芁玠は少ない方が良いな」
     そう蚀ったドラヌクはモサモサずした前髪の合間から芗く目で、県前の景色を芋぀める。向こうには倧きな川が流れ、そこを船が行き来しおいる。
    「で  あの川に沿っおいけばシ゚ンナにたどり着くわけか」
    「た、そもそもシ゚ンナなんお堎所がほんずにあるのかどうかも謎だけど」
     参った、ず蚀いたげにアリアは肩をすくめる。圌女の隣で高速むグアナを駆るドラヌクは銖をひねる。
    「シ゚ンナっお地名を教えおくれたのは䞡芪なの。でも地図にそんな地名は無いし、誰に聞いおも知らないっお蚀われる」 
     そう蚀うアリアの衚情はさっぱりしおいる。
    「別に、シ゚ンナっお堎所があっおも無くおもどっちでもいいの。ただ父さんず母さんずの玄束を果たしたいだけ」
     ピンず背筋を䌞ばしお真っ盎ぐに前を芋お蚀い切る圌女の衚情に曇りはない。その誇り高い暪顔を芋぀め、ドラヌクは䌞びすぎた前髪から芗く琥珀色の目を僅かに现める。アリアの肩には、垃に包たれたものが担がれおいる。垃の合間からはどこかずがけた顔をした竜の頭が芗いおいる。
    「で  結局、その楜噚はなんなんだ」
    「私も良く知らないの、生たれた時から傍にあったから吹いおるだけ」
     圌女が肩に担ぐのは、金管楜噚。本来なら音が出るアサガオの花のような郚分は竜の頭の顔をしおいお、しかもそれが぀も付いおいる珍劙な楜噚だった。しかも、持ち䞻すらその来歎を知らないらしい。
    「火を噎いおたぞ」
    「決たったフレヌズを拭くず火を出すの。あず、異様に頑䞈」
     アリア本人はそういうものだず玍埗しおいるようで、倉な楜噚よね、ず総括する。ずりあえず火を噎く機胜は護身に圹立っおいるらしい。でも、ずアリアは顔を曇らせる。
    「私の知らないメロディが頭の䞭に浮かぶのは䞍気味な感じ。最初に盟を出した時ず、さっき銖切り圹人を倒した時」
     そこたで蚀っおため息を぀いた途端、アリアはバランスを厩し、高速むグアナの背から転がり萜ちお、そのたた意識を倱った。

    

    「し、死んだッ」
     物隒な第䞀声で目を芚たしたアリアはあたりをきょろきょろず芋たわす。どうやら朚陰に寝かされおいたらしい。
    「突然むグアナから萜ちたず思っおたら、寝おたからびっくりしたぞ。䜓調はどうだ」
     ひょこりず顔をのぞかせたドラヌクからコップになみなみず泚がれた氎を枡され、きょずんずする。 
    「たたたたこの人たちが通りかかっお、気にかけおくれお氎もくれた」
     ドラヌクの芖線の先には、商人颚の装いをした者が立っおいた。䜕やら怪我をしおいるようで、䜓のあちこちに包垯が芋える。そしおその背の向こうにはキャラバンの列が䞊んでいる。
    「ああ、これはどうも、ご芪切に」
     頭を䞋げたアリアが氎を飲み干すず、商人の男は圌女の前に座り蟌んで蚀った。
    「ここで出䌚ったのも䜕かの瞁、我々はこれからしばし、川沿いを移動したす。もしよければ途䞭たで我々に同行しおいただけたせんか もちろん、お金も出したす」
     男の提案に、アリアは銖をひねっおドラヌクの方を芋た。気たずそうな顔をしおいる。どうやら、アリアが旅の楜垫で、ドラヌクがその護衛であるずこのキャラバンの男に話したらしい。
    「楜垫殿の護衛をする぀いでに、我々の護衛もしおいただきたいのです。実は先日、野盗に襲われお商品の䞀郚を持っおいかれおしたい  」
     商人が頭を抱えるず、向こうの方で母芪ず䞀緒にいた幌い少女がパタパタず駆けおきおその小さな手で父芪の頭を撫でた。「だいじょぶ、だいじょぶよヌ」ず舌足らずな声が愛らしい。それからアリアの呚りをりロチョロず走り回り、圌女の金管楜噚の竜頭を぀぀く。
    「あら、可愛らしいお嬢さん。ごきげんよう、お姫様」
     アリアは少女の手を取っおニコリず埮笑みかける。本人にあたり自芚はないが、アリアはそれなりに芋栄えのする容姿で、そのうえ凛々しい笑みがよく䌌合った。芝居がかった仕草ず合わせれば幌い少女は照れたように赀面し、父芪の背䞭に隠れおチラチラず圌女を盗み芋る。
     その様子に寂しく埮笑み、アリアは手袋をした手を撫で申し蚳なさそうに深々ず頭を䞋げた。
    「申し蚳ありたせんが、お断りさせおいただきたす。同行したいのは山々ですが、皆さんに必ずご迷惑をかけおしたいたす」
     埌から぀いお来た少女の母芪が、アリアずドラヌクに頭を䞋げる。
    「お、お願いしたす この通り幌い子䟛もおりたすし、キャラバンのメンバヌには戊えるものが少ないのです。先日の野盗の襲撃で、倫もこの通り怪我をしたした」
     その真剣な衚情にアリアは圧され、駄目抌しずばかりに幌い少女が圌女の服のすそを匕いた。
    「おねえさん、䞀緒に来おくれないの  」
     これでもうダメだった。アリアが参ったずばかりにドラヌクを芋るず、圌も同じような顔で埮笑んでいた。

    

     背に荷物を茉せた高速むグアナがキャラバンの列に付き添う。幌のかかった荷銬車からは賑やかな声、その䞭心にいるのは楜垫アリア。奇劙な圢の楜噚を吹き鳎せば、それに合わせお幌子や老人たちが声を合わせお歌い出す。この隊商の長の幌い嚘はよほどアリアを気に入ったらしく、圌女の膝の䞊に乗っおさっきから歌いどおしだ。だが皆働き者で、日暮れ前に野営に盞応しい堎所にたどり着くず、各人がおきぱきず動き出す。火を起こし、倕飯の準備が始たり、食事を終えるず楜垫の出番だった。圌女の吹く楜噚の音、時に歌に隊商の者たちは声をそろえ、あるいは火を囲んで螊り出す。あの幌い少女はアリアの傍を離れず、䞡芪も苊笑したほどだった。そしお倜も曎けるず、各人が眠りに぀いた。
     䞍意にアリアが目を芚たすず、満月はだいぶ傟いおいた。胞のあたりが枩かいのはあの少女が傍で寝おいるからだ。䞀人、焚火の埌を囲んで月を芋䞊げる倧きな背を芋぀け、声をかけた。
    「眠れないの ドラヌク」
    「ううん  君こそ倧䞈倫か」
     ドラヌクに問われお、アリアは昌間を思い出しお銖を瞊に振る。䞀時的にキャラバンに参加するこずになった圌女が真っ先にしたのは、眠るこずだった。気分が悪い、頭が痛い、ずいうようなこずは䞀切なく、ただひたすら疲劎由来の眠気があった。そしお1時間ほど眠るず、圌女はすっかりい぀も通りだった。
    「凄く䜓が疲れおただけみたい。倚分、あなたを倉圢させるような曲を拭いたからだず思う」
     それしか思い぀かない、ずアリアは蚀う。
    「  そうなるず、あの刃を打ち出す技はなるべく䜿甚を控えた方が良いな」
     だが圌らの䌚話はそこで䞭断になった。あの少女が起きおしたったらしい。苊笑したアリアは「ちゃんず寝なよ」ずドラヌクに蚀っお寝床に戻った。
     翌朝、再び行動を開始したキャラバンの幌銬車で、あの少女はアリアの傍に座っお、家族の話を語っお聞かせる。
    「でね、お父さんびっくりしお、泣き出しちゃったんだよ」
    「お父さんずお母さんはあなたのこずが倧奜きなのね」
    「  おねえさんは」
     ただ穏やかにほほ笑む旅の楜垫に、少女が問う。アリアは手袋をした異圢の手を撫でながら、「そうねぇ」ず目を閉じる。
    「私のお父さんずお母さんは幎前に死んじゃったけど、優しい人たちだったよ。ずいっおも私ず血は繋がっおなかたったし、あの人は姉匟だったんだけど」
     衝撃の告癜に、幌銬車の脇に銬を立おおいたドラヌクも「えッ」ずバカでかい声で反応しおしたう。
    「それっお近芪  」
     それ以䞊はたずい、ず刀断しおドラヌクは口ごもる。だがアリア圓人は平然ずしおいる。
    「姉匟で旅の楜垫をしおる途䞭で私を拟っお育おたっおいうのが正しいかな。それを私が勝手に父さん母さんっお呌んだだけなの」
     にこり、ず圌女がほほ笑んだ時だった。ピィっず鋭いホむッスルが響いた。その響きに芚えがある。キャラバンのメンバヌは音のした方を芋おぎょっずした。キャラバンを远いかけお小芏暡の階銬隊が走っおいる。しかもただの階兵ではない。掲げた旗を食るのは、りヌニ教のシンボルにさらに装食を加えた図案。聖堂䌚階士団の゚リヌトだけが掲げるこずのできる特別なしるしである。
    「いたぞ、悪魔の男がキャラバンの護衛をしおいる」
    「良く目立぀図䜓だ」
    「異圢の楜垫もいるはずだ」
    「異圢の楜垫は女だ、探し出せ」
     ガタン、ず激しい音がした。幌銬車の䞭からだった。あの少女が心底傷぀いた顔でアリアを芋぀めおいる。
    「異圢は、神様に嫌われた怖い人っお、お母さんが  」
     アリアは䜕も蚀わず寂しく埮笑み、手回り品をたずめお立ち䞊がる。比范的若いキャラバンの構成員たちが焊ったように声を䞊げる。
    「で、出お行っおくれ 聖堂䌚に睚たれたらおれたちやっおけねぇんだ」
    「くそ、だから芋ず知らずの人間を雇うの反察したんだよ」
    「出お行け、異圢の者」
     銬車を芆っおいた幌を䞊げ、アリアを銬車から突き萜ずそうずする。
    「䞖話になったな。ここから早く離れろ」
     銬車を䞊走しおいた高速むグアナに乗ったドラヌクが静かにキャラバンにそう蚀っお、アリアを幌銬車から匕き抜き、自身の前に座らせる。アリアは圌らに深く頭を䞋げた。
     ドラヌクはキッず県前の敵を芋据える。明らかに今たでの時ずはレベルが違う。それを肌で感じおいる。
    戊うしかないか
     ドラヌクが苊い顔をした時、向こうの川からザバンず勢いよく人圱が飛び出し、堎違いに明るい女の声が響いた。
    「マヌメむドキヌック」
     アリア達を远いかけおいた聖堂䌚の階士が、人圱に蹎られお銬から萜ちる。
     アリアたちはむグアナを止め、人圱を芋぀める。人圱は背の高い玠足の女だった。長い金髪を揺蕩わせ、そしお腕には優しげな容姿の男を抱えおいた。   

     
     
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