
🍢第3話|四天王オデンダー、まさかの仲間入り!?
~魔王軍緊急会議! 肉まんは、おでんの具なのか?~
「……魔王様に報告せねば」
コンビニのイートインスペース。
おでんの大根を最後のひと口まで堪能したオデンダーは、突然、真剣な顔で立ち上がった。
「報告?」
ねこまる😸は、口いっぱいに肉まんを頬張りながら首をかしげた。
「そうだ。我が魔王軍は、重大な局面を迎えている」
「へぇ……」
「それは――」
オデンダーは、重々しく告げた。
「大根の実力を、魔王様にお伝えせねばならん!」
「…………」
「…………」
「…………」
まるねえ💛は、ゆっくりと顔を覆った。
「もうイヤ……。魔王討伐に来たはずなのに、なんでおでんの営業活動をしてるのよ……」
まるぞう🐾は、最後の肉まんをもぐもぐしながら、のんびりと言った。
「ねこまる、次はあんまんも買うニャ?」
「おっ、いいな!」
「よくないわ!!」
まるねえ💛のツッコミが、コンビニ中に響き渡った。
店員が、レジの向こうからにっこりと微笑む。
「お客様、あんまんもございますよー!」
「「買います!」」
ねこまる😸と、まるぞう🐾の声が、見事に重なった。
「……このパーティー、解散したい」
まるねえ💛は、天井を見上げた。

* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ 第一幕 魔王城、緊急事態発生!
そのころ。
禍々しい黒雲に覆われた魔王城では、緊急の軍議が開かれていた。
玉座の間には、魔王軍の幹部たちが勢ぞろいしている。
巨大な角を持つ魔族。
全身を鎧で覆った騎士。
不気味な魔法使い。
そして、玉座に座る魔王。
漆黒のマントを翻し、圧倒的な魔力を放つその姿は、まさに恐怖の象徴だった。
「……報告しろ」
魔王が低い声で命じた。
「はっ!」
側近が一歩前に出る。
「四天王のひとり、オデンダー様が、いまだ帰還しておりません」
「……またか」
魔王は額に手を当てた。
「今度は何時間だ?」
「現在、三時間と二十分ほどでございます」
「三時間……?」
魔王の眉がぴくりと動いた。
「まさか、またあの店か?」
「……おそらく」
「おでんか?」
「……おそらく」
「たまごか?」
「……おそらく」
魔王は、深いため息をついた。
「……あやつは、四天王の自覚があるのか?」
誰も答えなかった。
いや、答えられなかった。
すると、軍議の隅に座っていた魔族が、おそるおそる手を挙げた。
「あの……魔王様」
「何だ?」
「実は、オデンダー様から先ほど、伝書魔法が届きまして……」
「何?」
側近が、震える手で一枚の紙を差し出した。
そこには、力強い文字でこう書かれていた。
『魔王様へ。
大根は、想像以上にうまいです。
たまごも、負けていません。
あと、肉まんも最高です。
追伸:あんまんも気になっています。
オデンダー』
「…………」
「…………」
「…………」
魔王城に、深い沈黙が流れた。
魔王は、ゆっくりと紙を置いた。

「……軍議を中断する」
「はっ!」
「議題を変更する」
「はっ!」
魔王は、玉座から立ち上がった。
そして、全幹部に向かって宣言した。
「緊急議題! 肉まんは、おでんの具として認められるか!?」
「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」
魔王城が揺れた。
魔王軍始まって以来の、最大級の混乱だった。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ 第二幕 魔王軍の禁断の議論
「魔王様!」
最初に声を上げたのは、赤い鎧を身につけた魔族だった。
「肉まんは、肉まんでございます! おでんとはまったく別の料理!」
「そのとおり!」
別の魔族も立ち上がった。
「おでんは出汁で煮込むもの! 肉まんは蒸すもの! 調理法が違います!」
「ならば、はんぺんはどうなのだ!」
別の幹部が叫んだ。
「ふわふわしているではないか!」
「はんぺんは出汁で煮る!」
「肉まんだって、出汁に浸せば……!」
「やめろぉぉぉ! 肉まんを出汁に沈めるなぁぁぁ!」
議論は、瞬く間に大混乱へと発展した。
ある者は、おでんの具材一覧を持ち出した。
ある者は、肉まんの歴史を語り始めた。
そして、ひとりの魔族は、真剣な顔でこう言った。
「……そもそも、あんまんはどうなのだ?」
「「「あんまん!?」」」
魔王城に、再び衝撃が走った。
魔王は、こめかみを押さえた。
「……なぜ、我が軍は世界征服より肉まんの分類に熱中しているのだ……」

側近が、そっと答える。
「オデンダー様の影響かと……」
「……帰ってきたら、あやつには説教が必要だな」
そう言いながら、魔王はふと考え込んだ。
「……ところで」
「はっ」
「肉まんとは、そんなにうまいのか?」
「…………」
「…………」
「…………」
今度は、誰も答えられなかった。
なぜなら。
魔王軍の誰ひとりとして、肉まんを食べたことがなかったからだ。
「……決めた」
魔王の瞳が、怪しく光った。
「実際に食べて判断する」
「魔王様!?」
「異論は認めん!」
魔王は、マントを翻した。
「全軍に告ぐ!」
その声は、魔王城の隅々にまで響き渡った。
「コンビニへ向かうぞ!」
「「「「えええええええ!?」」」」
こうして、魔王軍は前代未聞の行動を開始した。
目的は世界征服。
……ではなく。
おでんと肉まんの実食調査である。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ 第三幕 オデンダー、まさかの勧誘!?
一方、そのころ。
異世界コンビニのイートインスペースでは、ねこまるたちが食後のお茶を楽しんでいた。
……いや。
正確には、ねこまるとまるぞうは、追加注文したあんまんを楽しんでいた。
「うまい……」
ねこまる😸が、しみじみとつぶやく。
「肉まんもいいけど、あんまんもいいなぁ……」
「甘くて最高ニャ!」
まるぞう🐾は、頬をパンパンに膨らませている。
「ふたりとも、少しは旅の目的を思い出してくれる?」
まるねえ💛は、すっかり冷めたお茶をすすった。
そのとき。
「ねこまる殿!」
オデンダーが、勢いよく立ち上がった。
「うおっ!? 何だ?」
「頼みがある!」
オデンダーは、ねこまる😸の前で深々と頭を下げた。
「我と一緒に、魔王様のもとへ来てくれ!」
「…………」
「…………」
「…………えっ?」
ねこまる😸は、あんまんを持ったまま固まった。
まるねえ💛が、ゆっくりと口を開く。
「……ちょっと待って」
「何だ?」
「今、何て言ったの?」
「魔王様のもとへ来てくれ、と」
「…………」
まるねえ💛は、ねこまる😸を指差した。
「この人、魔王討伐に来た勇者側なんだけど!?」
「そうなのか!?」
オデンダーが目を見開いた。
「そうだよ!!」
まるねえ💛が叫ぶ。
オデンダーは、しばらく考え込んだあと、ぽんと手を打った。
「なるほど!」
「何がなるほどなのよ……」
「では、こうしよう!」
オデンダーは、ねこまる😸に向き直った。
「魔王様に、お前の大根愛を伝えてほしい!」
「…………」
「そして、魔王様に大根の素晴らしさを教えてくれ!」
「…………」
「頼む!」
オデンダーは、再び頭を下げた。
ねこまる😸の目が、きらりと輝いた。
「……魔王に、大根を?」
「うむ!」
「大根の素晴らしさを?」
「そうだ!」
「……行く!」
「ちょっとぉぉぉぉぉ!!」
まるねえ💛の悲鳴が、コンビニ中に響き渡った。
「何で即答なのよ!?」
「いや、魔王がどんな大根を食べているのか気になるだろ?」
「そこなの!?」
「ひょっとしたら、もっとおいしい大根があるかもしれない!」
「魔王城を高級おでん屋だと思ってない!?」
まるぞう🐾が、元気よく手を挙げた。
「ぼくも行くニャ!」
「まるぞうまで!?」
「魔王城には、肉まんもあるかもしれないニャ!」
「ないと思うわよ!」
オデンダーは、感動したように二人を見つめた。
「おお……! なんという食への情熱!」
「いや、感動するところじゃないから!」
まるねえ💛のツッコミは、もはや職人芸の域に達していた。

* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ 第四幕 魔王軍、来店。
そのときだった。
コンビニの自動ドアが開いた。
「いらっしゃいませー!」
店員の声が響く。
そして――。
黒い鎧の魔族が、ぞろぞろと店内へ入ってきた。
赤い鎧の魔族。
巨大な斧を背負った魔族。
紫色のローブをまとった魔法使い。
その数、ざっと二十人。
最後に、黒いマントを翻した男が姿を現した。
鋭い眼光。
頭にそびえる巨大な角。
圧倒的な魔力。
店内の空気が、一瞬で張り詰めた。
まるねえ💛が、青ざめた顔でつぶやく。
「……ねえ」
「ん?」
「これって……」
「……うん」
ねこまる😸も、さすがに表情を引き締めた。
「……魔王だな」
そう。
店内に現れたのは、魔王その人だった。
魔王は、ゆっくりと店内を見渡した。
そして、カウンターの向こうにあるおでん鍋を見つけると、静かに口を開いた。
「……ここが、伝説のおでんを売る店か」
「いらっしゃいませー! おでんは全品販売中ですよー!」
店員の声が、場違いなほど元気に響いた。
魔王は、ゆっくりとうなずいた。
「……よし」
そして、全軍に命じた。
「全員、おでんを買え!」
「「「「はっ!!」」」」
魔王軍二十人が、一斉におでん鍋へ殺到した。
「大根を十個!」
「たまごを二十個!」
「こんにゃくを全部!」
「ちくわも忘れるな!」
「肉まんはどこだ!?」
「こちらでーす!」
「肉まんも全員分だ!」
「魔王様、あんまんもございます!」
「……何?」
魔王の目が、鋭く光った。
「あんまん……だと?」
まるぞう🐾が、嬉しそうに飛び跳ねた。
「魔王様! あんまんも最高ニャ!」
「……そうか」
魔王は、真剣な顔でうなずいた。
「では、あんまんも買おう」
「「「「はっ!!」」」」
魔王軍は、完全に買い物モードへと突入した。
その光景を見ながら、まるねえ💛はぽつりとつぶやいた。
「……世界征服って、こんな感じだったっけ?」
ねこまる😸は、腕を組んでうなずいた。
「いや、これはこれで平和でいいんじゃないか?」
「……あなたが言うと、腹が立つわね」

* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ 第五幕 魔王、ついに大根を食す!
数分後。
コンビニのイートインスペースは、魔王軍の宴会場と化していた。
テーブルの上には、大量のおでん。
肉まん。
あんまん。
そして、なぜか大量のお茶。

魔王は、玉座に座るときと同じ威厳を保ちながら、目の前の大根を見つめていた。
「……これが、大根か」
「そうです!」
ねこまる😸が、力強くうなずいた。
「まずは、そのまま一口食べてみてください!」
「……よかろう」
魔王は箸を手に取った。
大根をつまむ。
そして、ゆっくりと口へ運んだ。
ぱくり。
「…………」
「…………」
「…………」
魔王の動きが止まった。
次の瞬間。
「……うまい」
低く、震える声が漏れた。
「何ということだ……!」
魔王は、大根を見つめた。
「表面だけではない……。中まで出汁が染み渡っている……!」
「そうでしょう、そうでしょう!」
ねこまる😸が、なぜか誇らしげに胸を張った。
「大根は、じっくり煮込んでこそ真価を発揮するんです!」
「……なるほど」
魔王は深くうなずいた。
「我は、これまでたまごこそがおでんの頂点だと信じていた……」
その手が、震える。
「だが……大根にも、これほどの可能性があったとは……!」
魔王は、ゆっくりと立ち上がった。
そして、全魔王軍に向かって叫んだ。
「本日をもって、大根を我が軍の正式な推奨具材とする!」
「「「「おおおおおおおっ!!」」」」
魔王軍が歓声を上げた。
「魔王様、たまごはどうなるのですか!?」
誰かが尋ねた。
魔王は、少し考えた。
「……たまごも、うまい」
「「「「おおおおおおおっ!!」」」」
「よって、大根とたまごを同率一位とする!」
「「「「おおおおおおおおおおおっ!!」」」」
魔王軍が、再び大歓声を上げた。
……いや。
”世界征服はどうした。”
その場にいた誰もが、心の中でそう思った。
ただひとり、まるぞう🐾を除いて。
「魔王様!」
まるぞう🐾が、元気よく手を挙げた。
「肉まんは何位ニャ!?」
「……何?」
魔王が、ゆっくりと振り返った。
まるぞう🐾は、両手で肉まんを持ち上げた。
「肉まんも、あったかくておいしいニャ!」
「…………」
魔王は、肉まんを見つめた。
そして――。
「……一口、もらえるか?」
「もちろんニャ!」
まるぞう🐾が、肉まんを差し出した。
魔王は、それをひと口食べた。
「…………」
沈黙。
魔王の瞳が、わずかに見開かれる。
「……これは……」
そして、震える声で告げた。
「肉まんも、うまいではないか……!」
「やったニャーーー!!」
まるぞう🐾が飛び跳ねた。
ねこまる😸も、思わず拳を握った。
「よし! これで食の平和は守られた!」
「……だから、そんな使命はないってば」
まるねえ💛は、もうツッコむ気力も残っていなかった。

* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ 第六幕 そして、魔王からの依頼
宴会が終わりに近づいたころ。
魔王は、ねこまる😸たちを呼び寄せた。
「……ねこまる、と申したな」
「はい!」
「そなたに、頼みがある」
ねこまる😸は、背筋を伸ばした。
「何でしょう?」
魔王は、真剣な表情で告げた。
「我が魔王軍には、深刻な問題がある」
「……問題?」
「うむ」
魔王は、深いため息をついた。
「最近、軍の士気が低下しているのだ」
「なるほど……」
ねこまる😸は、真剣にうなずいた。
「それは大変ですね」
「そこで、そなたに頼みたい」
魔王は、ねこまる😸の肩に手を置いた。
「我が軍に、おいしいおでんの楽しみ方を教えてくれぬか?」
「…………」
「…………」
「…………」
まるねえ💛が、ゆっくりと口を開いた。
「……それって、魔王軍の料理教室?」
「そうだ!」
魔王は、堂々とうなずいた。
「大根の煮込み方、たまごの味の染み込ませ方、そして肉まんとの相性……。学ぶべきことは多い!」
「……世界征服は?」
まるねえ💛が尋ねた。
魔王は、しばらく考え込んだ。
「……腹が満たされてから考える」
「ダメだ、この世界……」
まるねえ💛は、とうとうテーブルに突っ伏した。
ねこまる😸は、目を輝かせていた。
「魔王軍の料理教室か……。面白そうだな!」
「ねこまる、ちょっと待って!」
「俺のリハビリの知識も活かせるかもしれない!」
「おでんにリハビリの知識をどう活かすのよ!?」
「いや、長時間立ちっぱなしの魔族もいるだろ? 腰や膝のケアとか……」
「急に本業を持ち込まないで!」
まるぞう🐾は、あんまんを頬張りながら、のんびりとうなずいた。
「ぼくは、試食係がいいニャ!」
「それは、ただ食べたいだけでしょ!」
「おいしいものを食べるのも、大事なお仕事ニャ!」
「……もう、好きにして」
まるねえ💛は、完全に諦めた。

こうして――。
魔王討伐の旅は、思いもよらない方向へ進み始めた。
勇者でもない。
英雄でもない。
ただのおでん好きな50代猫人族と、その仲間たち。
彼らは今、魔王軍の食生活を改善するという、とんでもない任務を背負うことになったのだった。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
◆ エピローグ 魔王軍の新たな作戦
その夜。
魔王城の軍議室では、新たな作戦会議が開かれていた。
議題は、もちろん――。
『魔王軍の食生活改善計画』
黒板には、大きな文字でこう書かれていた。
大根の出汁を極める
たまごの味を染み込ませる
肉まんの可能性を研究する
あんまんの地位を確立する
まるぞうを試食係に任命する
「……最後の項目、必要か?」
魔王がつぶやく。
「必要ニャ!」
まるぞう🐾が即答した。
「……そうか」
魔王は、なぜか納得した。

その隣では、ねこまる😸が「My Note」を開き、真剣な顔で何かを書き込んでいる。
「よし……。事業計画の参考になるかもしれないな」
「……ねこまる?」
まるねえ💛が、怪訝そうに尋ねた。
「今度は何を始める気?」
ねこまる😸は、にっこり笑った。
「異世界おでんコンサルタント!」
「そんな職業、聞いたことないわよぉぉぉ!!」
魔王城に、まるねえ💛の叫び声が響き渡った。
こうして、魔王軍とねこまる😸たちの奇妙な共同生活が始まった。
しかし――。
彼らは、まだ知らなかった。
魔王軍には、もうひとつ。
おでんの具を巡る、決して譲れない問題が残されていることを。
それは――。
「ちくわぶは、おでんに必要なのか?」
という、地域によって意見が真っ二つに分かれる、禁断のテーマだった。
そして、その問題を口にした瞬間。
魔王城に、再び怒号が響き渡ることになるのだった……。
🐾 次回予告
第4話|魔王軍、ちくわぶ論争で大分裂!?
~その具材、入れるべきか否か~
「ちくわぶこそ、おでんの至宝!」
「認めん! あれは小麦粉の塊ではないか!」
「何だとぉぉぉ!!」
魔王軍が、ついに二つの派閥に分裂!
そんな中、ねこまる😸が「My Note」を開いて、衝撃のひと言を放つ。
「……ところで、ちくわぶって何?」
「「「「知らずに仲裁しようとするなぁぁぁ!!」」」」
果たして、ねこまる😸たちは魔王軍を救えるのか!?
そして、まるぞう🐾は肉まんを何個食べるのか!?
次回、食欲と混乱が止まらない!
――第3話・完。 🍢🐾
このラノベの第1話を作るきっかけになったのが、
わかモンさんの企画イベント👇
そして、わかモンさんが0→1を作るきっかけの場も作ってくれています👇
このライトノベル、ついにマガジン化しました😆❗❗
(なるべく続編が読みやすいようにです。)
そして、ライトノベルは続く・・・(終わりが見えない😭)
