
学校にポケモンカードを持っていく、という支援【不登校支援】【HSC】【小学2年】
息子は最近、朝、教室に一人で入れるようになってきた。
以前は、教室の中まで私が付き添わないと、入ることができなかった。
「行きたくない」というより、
「行きたい気持ちはある。でも、教室に入ろうとすると不安になる。」
そんな感じだった。
一歩入る。次は二歩。
そんなふうに少しずつ練習していたものの、教室という空間への不安を、なかなか拭い去ることができずにいた。
でも最近、ある支援をきっかけに、一人で入れるようになってきた。
それは、ポケモンカードを先生に見せるというものだ。
息子はポケカが大好き。
ポケカを持って学校へ行き、先生に見せることになっている。
支援級の先生が提案してくださった支援なのだが、はじめに聞いたときは、「え……いいんですか?」と思ったのも事実だ。
学校には学校のルールがある。
そもそも、ポケモンカードなんて、
「普通なら、持ってこないよね」って。
もちろん、持っていったカードは先生に見せたらすぐに回収する。
学校のルールや周りへの配慮は、大人が裏でそっと支えている。
それでも先生は、支援の一環として提案してくださった。
その結果、息子にとってポケカは、「教室に入る」ことへのハードルを下げてくれるものになった。
「教室に入らなきゃ」ではなく、「先生にポケカを見せたい」。
その気持ちが、不安よりも少しだけ前に出てくれる。
そして、その気持ちを力にして、一人で教室に入る。
これって、よく考えると面白い。
ポケカを持っていくこと自体が、目的なのではない。
そのことは、もちろん本人も分かっている。
ただ純粋に「先生に見せたい」。
その気持ちが、一歩を踏み出す原動力になっている。
私は以前、「できるようにするためには、何度も練習しなきゃ」と思っていた。
「一人で教室に入れない」なら、何度も入ってみる。一歩でもいいから、一人で入ってみる。
そんなふうに、できるようになるための練習を重ねることばかり考えていた。
でも、それだけじゃなかった。
「どうしたら、一人で入れる環境になるんだろう?」
そんな視点も必要だったんだ。
子どもが動けないとき、つい「どうしたらできるようになるだろう」と考える。
でも、本当に必要なのは、頑張らせることではなく、その子が動き出せるきっかけを一緒に探すことなのかもしれない。
毎朝、「今日はどのカードを先生に見せようかな」とワクワクしている息子の姿がある。
息子が今、一人で教室に入れているのは、単に「ポケカがあるから」だけではないと思う。
先生が、「これを支援として使っていいよ」と認めてくれていること。
「これなら教室に入れるかもしれない」と、息子自身が思えること。
環境と、周りの大人への信頼。そして、教室という空間への安心感。
何より、「できた」という小さな経験が積み重なっていること。
その全部が合わさって、今の一歩につながっているんだと思う。
ママがそばにいないと不安で入れなかった教室。
一歩入るのが精いっぱいで、すぐに泣いて引き返していたあの場所。
そこに今、息子は「先生にこれを見せるんだ」という目的を持って、自分の足で歩みを進めている。
それは紛れもなく、息子自身が勇気を出して踏み出した一歩だ。
「普通なら、学校にポケカなんて持っていかない。」
たしかに、そうかもしれない。
でも、普通にはない方法が、この子にとっての「できる」を生み出すことがある。
子どもを「普通」に合わせることだけが、支援じゃない。
その子がその子らしく、自分の力を発揮できるように、環境のほうを少し変えてみる。
それも、支援なんだと思う。
今朝も息子は、ポケカを持って教室へ入っていった。
私は、頼もしくなったその背中を見つめながら、
「ポケカ、すごいな。」
そして、
「先生、本当にありがとう。」
と、心から思っている。