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福祉観|本当に困っているのは?

    大声を出す。物を投げる。
    起きられない。約束を破る。


    何度伝えても、同じことを繰り返す。


    関わる家族や支援者は、困ってしまう。
    腹も立つし、疲れるし、諦めたくもなる。


    親でも、支援者でも、ひとりの人間だ。
    事情を知らなければ、ただ迷惑に感じることもあるだろう。


    そのうえで、私は立ち返るようにしている。


    この人自身も、困っているのではないか。


    言語表現が困難な、重度障害者。
    触法行為を繰り返す、非行少年。


    休みがちな同僚。
    授業についていけない子。


    周囲を翻弄する行動の陰には、本人さえうまく説明できない苦しさがあるのかもしれない。


    何がつらいのか。
    どうして腹が立つのか。
    どうすれば楽になるのか。


    分からないまま、苦しさだけがある。
    その苦しさが、困らせる行動に見えてしまう。


    もちろん、ダメなことはダメだし、毅然と対応することも時には必要だ。


    しかし、立ち返ることを忘れてはいけない。
    この人は、何に困っているのだろうと。







     
     
    福祉の人。 複雑な人間を、複雑なまま描きます。 金曜21時|◯◯観 日曜21時|短編小説

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