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株主優待、廃止・改悪ラッシュの裏で何が起きているのか——2026年、優待選びで気をつけたいこと

    2025年9月から2026年3月までの半年間で、38社が株主優待の廃止を発表しました(2026年3月時点の集計)。特に2026年2月は、1ヶ月だけで16社が廃止に踏み切っています。

    「あの銘柄、まだ優待もらえるんだっけ?」——そう思ったことがある方も多いのではないでしょうか。以前「株主優待って何?いつ買えばいい?」という記事で優待の基本と人気銘柄をご紹介しましたが、今回はその続編として、なぜ今、優待の廃止・改悪が相次いでいるのか、そしてこれから優待銘柄とどう付き合っていけばいいのかを整理します。

    なぜ今、廃止・改悪が相次いでいるのか

    背景には、主に5つの要因があります。

    ①配当一本化の名目。多くの企業が「株主への公平な利益還元」を理由に掲げます。この裏には、海外投資家からの批判もあります。優待は「価値を定量化しにくい」「テーマパーク入場券や自社製品などは来日しないと使えず実質的に無駄」「クオカードのように配当とは別の郵送コストがかかる」といった不満に加え、「国内在住の株主しか実質的に受け取れず、株主平等原則に反する」という指摘も根強く、これが配当一本化を後押ししている面があります。

    ②東証市場再編。上場維持に必要な株主数の基準が緩和されたことで、優待によって個人株主数を確保する必要性そのものが薄れました。

    ③TOB・MBOラッシュ。2025年の1年間に廃止された68社のうち、55.8%が上場廃止に絡む案件でした。優待は上場企業であることが前提の制度なので、非公開化が決まれば自動的に終了します。

    ④資本コスト経営への転換。配当や自社株買いへの転換のほうが、資本効率を重視する市場から評価されやすくなっています。

    ⑤業績悪化。維持が難しくなった企業による、後ろ向きな廃止も一定数含まれます。

    改悪の実例

    廃止ではなく「縮小」という形も増えています。ピーエイはAmazonギフト券を年1万円から5千円に半減させたうえ、保有要件も1年から2年に引き上げました。アトムは2026年6月、優待ポイントを全区分で半減すると発表しています。

    38社の廃止のうち33社は自主的な廃止で、その約半数をクオカードやギフト券といった「金券系」が占めています。金券系の優待は、企業にとって配当への振り替えがもっとも判断しやすいカテゴリーだといえそうです。

    でも実は、「二極化」も起きている

    ここまでは縮小の話でしたが、実態はもう少し複雑です。2026年4月1日〜7月24日の適時開示235件を見ると、廃止は18件にとどまる一方、新設・再開は52件と、廃止の3倍近くにのぼります。

    象徴的なのが、三井住友フィナンシャルグループが2026年5月に新設した優待です。Vポイントと銀行アプリ「Olive」のアカウントを連携させることで特典を受け取れる仕組みで、金券をそのまま配るのではなく、自社の金融サービスの利用促進につなげる設計になっています。

    つまり今起きているのは「優待そのものが消えていく」という単純な話ではなく、金券をただ配る優待から、自社サービスの利用に結びつく優待への世代交代だと捉えたほうが実態に近いようです。

    これから優待を選ぶ・持ち続けるときに見ておきたいポイント

    以上を踏まえると、優待銘柄を評価するときに見ておきたい視点が見えてきます。

    縮小・廃止のリスクが比較的高いのは、①クオカードやギフト券など金券系の優待、②業績が悪化傾向にある企業、③TOB・MBOの噂がある企業、の3タイプです。特に金券系は、企業側からすると配当への切り替えがもっとも説明しやすいカテゴリーである点は覚えておいて損はありません。

    逆に、比較的残りやすいのは、①自社のサービスや商品に直結し、利用促進という別の経営目的を持つ優待、②株主還元方針を明確に打ち出している企業、③財務体質が安定している企業の優待です。優待を持つ・買う際は、その企業が優待を「なぜ」出しているのかという理由まで、少し想像してみると判断の助けになります。

    まとめ

    以前ご紹介した人気優待5選(イオン、東宝、すかいらーくホールディングス、明治ホールディングス、オリエンタルランド)も、今後の株主還元方針や業績次第で内容が変わる可能性はゼロではありません。

    株主優待は、これまで「持っていれば毎年もらえるもの」という感覚で語られがちでした。ですが実際には、企業の状況とセットで見ていく必要がある制度に変わりつつあります。優待を選ぶときは、利回りや内容だけでなく、その優待が今の会社にとってどんな位置づけにあるのかも、あわせて確認してみてください。

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