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イライラする挨拶代わり〜死人に挨拶なし〜

    また来た。
    毎日飽きもせずによく来る。

    「どうして教えてくれなかったんだ」

    目の前に腰を下ろし、伏せ目がちで重々しく口を開いた。掠れる小声は曇り空には届かない。

    「教えてくれれば、お前をこんな目には合わせなかったのに……」

    俺はちっと小さく舌打ちをした。
    教えたところで、結果は同じだっただろう。

    目の前で肩を震わせ、奥歯を噛みしめている。

    俺は知っている。
    それが演技であることを。
    それがお前自身に言い聞かせていて、俺のことを少しも思っていないことを。

    「ーー教えてくれよ」

    息を飲むほどに暗い瞳が見つめてくる。

    「どこに隠したんだ? あの金は俺のものだ」

    地を這う声音が静かに響いた。

    俺は口を開きかけて言葉を飲み込んだ。
    お前の金でも、俺の金でもない。

    「あの金がないと俺は死ぬ!」

    握り潰す勢いで掴みかかってきた。
    鬼の形相が墓石に近づく。

    汚い手で触れられるのも、同じ話をされるのも、そろそろ腹に据えかねる。

    さよならすら言いたくない。

    俺は、半透明の姿を現わした。


    (417文字)


     
     
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