
【魚食イベントレポート】子供たちが自ら捌き、自ら握る。魚食体験を通じて佐渡の漁業と水産資源の今を学ぶ一日。
新潟県地域おこし協力隊(海業・ブルーツーリズムによる誘客担当)の舩橋です。
2026年3月18日、新穂潟上に位置する「たまりば 子ども未来舎 りぜむ」にて、佐渡の海産物を題材とした魚捌きおよび調理教室を開催いたしました。今回はその活動報告として、施設のご紹介とともに、講座の様子や参加者の皆様の学びについて綴ります。
会場となった「たまりば 子ども未来舎 りぜむ」とは
今回会場となった「りぜむ」は、佐渡市新穂潟上にある古民家を改修して生まれた、多世代交流拠点です。日本財団の「子ども第三の居場所」事業にも採択されており、地域の子どもたちが学校や家庭とは違う環境で、安心して自分らしく過ごせる自由な遊び場・学び場として機能しています。

子どもだけでなく、地域のお年寄りから移住者まで、誰もが気軽に集まり交流できる「たまりば」であり、手作りの遊具がある原っぱでの外遊びや、今回のような調理体験など、生きた経験を通じて成長を育む温かい空間です。このような地域に根ざした素敵な居場所で食育イベントを開催できたことは、非常に意義深いことでした。
佐渡の海洋資源を学ぶ事前講義
実習に先立ち、まずは佐渡の漁業と養殖業に関する基礎知識を共有する時間を設けました。 二ツ亀周辺の定置網漁の空撮写真を交えながら、ブリやアジなどの回遊魚を狙う定置網漁や、マダラなどの底魚を対象とした刺し網漁といった佐渡の多様な漁法について解説しました。また、新潟県内の食用魚介類養殖の約99%を佐渡が占めているという事実や、昨今人気の高い佐渡サクラマス・佐渡サーモン(ギンザケ)の養殖の盛況ぶりについても触れています。

加えて、ブリが成長に伴い地域で呼称を変える出世魚であること(ズンベ、イナダ、ワラサ、ブリ)や、外見が似ているヒラマサとの見分け方(口角の形状や胸ビレの位置など)といった生態的な知識もお伝えし、地域の魚類への理解を深めてもらいました。

安全と衛生を徹底した解体実習
講義の後は、アジ、イナダ、そしてサクラマスを用いた調理実習です。 参加者の皆様には、鱗取りから内臓除去、頭落とし、三枚おろし、血合い骨の処理、そして皮引きに至るまで、魚食の基本となる一連の工程に挑戦していただきました。
指導にあたっては、刃物を扱う上での「引いて切る」という基本動作や、刃の進行方向に手を置かないといった安全管理を徹底しています。同時に、真水での入念な洗浄や10℃以下での冷蔵保管など、食中毒を予防するための衛生管理の重要性についても、実践を通じて学んでいただきました。初めての作業に戸惑いながらも、真摯に魚と向き合う参加者の姿が非常に印象的でした。

食の恵みを味わう調理体験
自らの手で丁寧に捌いた魚は、江戸前風の握り寿司とイナダのハンバーグへと調理しました。
寿司のシャリは握りやすさを考慮して水量を調整し古米を用い硬めに炊き上げ、赤酢を用いて本格的な風味に仕上げています。寿司下駄に並べられた佐渡サクラマスやサワラの握りは、見栄えも良く、参加者の皆様の努力の結晶と言える出来栄えでした。 また、魚食に馴染みの薄い子どもたちにも美味しく食べてもらえるようイナダのハンバーグも調理し、魚の多様な楽しみ方を提案しました。



結びに
試食の時間は、自ら調理した達成感も相まって、参加者の皆様にとって充実した有意義なひとときとなったようです。
「家でも魚を捌いて作ってみたい」という嬉しい言葉も多く聞くことができました。
今回の教室を通じて、佐渡の豊かな水産資源に対する関心を深める一つの契機を提供できたと感じています。
今後もこのような実践的な食育活動を通じて、地域の魅力や海の恵みを次世代へ伝える取り組みを継続してまいります。