
「ダリーの正体ーそれは宇宙人?
『奇跡の復活、そして——後遺症との知られざる死闘』第三章
2話「ダリーの正体とは」
前回お話しした、あの銀色の部屋。
医療事故の後、そこは何度も私の夢に現れました。
最初の頃の私はただただ怯えていて、何一つ尋ねることもできません。
しかし、夢の中で見るダリーの優しい瞳に、傷ついた心が少しずつ癒やされていくのが分かりました。
そこにダリーがいてくれるだけで、不思議と温かい気持ちになれる。

それはまるで、入院当時の母が側にいてくれた時の感覚でした。
けれど、周りを見渡してもダリー以外の姿はありません。
ふと不思議に思った私は、思い切って尋ねてみました。
「ダリー、君はいつも一人なの?」
するとダリーは私の方へ振り返り、穏やかに笑って答えました。
「一人じゃないよ。ガンマがいるじゃないか」
「ガンマ……? それは誰? ここには僕と君しかいないじゃないか」
「ガンマは、君のことだよ」
当時の私には、ダリーの言っていることがさっぱり理解できませんでした。
ダリーが話すには、こういうことでした。
「君が死ぬと、僕も死ぬ。だからガンマを死なせるわけにはいかないんだ。ガンマに死が近づいた時、僕がサポートする。それが僕の使命……『分身』って言っただろ?」
今でこそその意味がよく分かりますが、当時は「ただの夢の中の話」として深く考えてはいませんでした。
あなたは、普段夢を見ますか?
そして、その夢を覚えているタイプでしょうか。
私は夢を覚えているのが大の苦手です。目が覚めた瞬間、手のひらに乗せた雪のようにサラサラと消えていってしまうのです。
(ダリーとの会話も殆どが目を覚ました瞬間に忘れています。
今回の話も覚えて居る一コマでしかありません。)
ですが、考えてみればダリーとの付き合いも、もう46年になるのでしょうか。
今こうして私が生きていられるのも、ダリーが寄り添い、命を支えてくれていたからなのかもしれません。
そう思うと、彼は誰よりも長く私の人生を共に歩んできてくれた、かけがえのない親友なのです。
〜三光年パーフェクト〜
そんなある日、夢の中でダリーが思いがけないことを口にしました。
「ガンマ、一緒に『三光年パーフェクト』へ行って、このコンピューターをアップデートしてこよう」
その言葉を聞いた時、私は初めて気づいたのです。
自分がいるこの場所がUFOの中であり、果てしない宇宙なのだということに。
「さんこうねん……パーフェクト? それって何? どこにあるの?」
私は鳩が豆鉄砲をくらったような顔で聞き返しました。
私の様子を見て、ダリーは優しく言いました。
「ガンマの記憶には残っていないのか。まあ、無理もないか。意識がなかったんだからね……。ガンマが意識を取り戻すまで、ずっと三光年パーフェクトのカプセルに入っていたんだよ。君の何千年前からの記憶や能力は、すべて三光年パーフェクトのメインコンピューターに保存されているんだ」
「何千年前からの記憶……!?」
普段は夢をすぐに忘れてしまう私ですが、この夢だけは、どれだけ脳が赤ん坊レベルに戻っていてもハッキリと記憶に残っています。
「三光年パーフェクト」とは、文字通り地球から三光年離れた場所にある宇宙ステーションであり、数多くのUFOが集まる巨大な宇宙センターでした。
そこで私たちを待っていたのが、センター長を務める「ローディアン」という人物でした。
三光年パーフェクトのカプセルから出た私に、ローディアンはこう言いました。

「これでガンマは、ドライバーライセンスが取れるようになるよ」
(※当時の私にとっての「車の運転免許」のことです)
当時、私の脳機能は10歳レベルまでしか回復していなかったはずです。
にもかかわらず、その後の現実での免許試験では、すべての試験を一発でクリアすることができました。
今思えば、あの場所で能力がアップデートされていたのかもしれません。
しかし——。
この先、私は人生の道を誤り、「悪」の道へと足を踏み入れてしまうことになります。
それによって魂の成長は止まり、娘の死後、更なる後遺症との壮絶な死闘が幕を開けるのです。
ダリーとローディアンによる、命がけのサポートを受けながら——。
次回、突然の異変、目が開かない!へ続く