
連載第4回|手法カテゴリ事典#1|「ナンピンEA」は全部危険? ― 生き残る18本と全損する大多数を分ける"1つの数字"
⚠️ 本記事はFXの売買手法に関する一般的な解説・検証であり、特定商品の性能や将来の利益を断定するものではありません。投資は自己責任で。
「守り」から「攻め」へ ―― 手法そのものを検証する
これまでの連載(第1〜3回)では、ゴゴジャンの商品ページに並ぶ数字――説明文・レビュー・EA成績――が、いかに当てにならないかを見てきました。いわば「だまされないための"守り"」の話です。
ここからは一歩進んで、「攻め」に入ります。新しく始める「手法カテゴリ事典」は、EAの"手法そのもの"――ナンピン、スキャル、スイング…――を一つずつ取り上げ、「その手法は、なぜ儲かる/なぜ飛ぶのか」を、シンプルなロジックを自作して中立に検証するシリーズです。出品者の宣伝でも、評論家の推測でもなく、誰でも再現できる形で確かめます。手法の"なかみ"が分かれば、個別の商品を見る前に「この型は自分に合うか・地雷か」を判断できるようになります。
記念すべき第1回は、最も多く売られ、最も誤解されている手法――ナンピンから始めます。
「ナンピンEAは危険」——でも、本当に全部?
ナンピンは危険、というのは半ば常識です。第3回でも「勝率99%のEAほど破産しやすい」と触れました。
ところが、ゴゴジャンEA全4,963本から"危険な兆候の無い"堅実223本を選び抜いたら、その中に18本のナンピン型が残っていました。しかも——
α(アルファ):PF8.06・最大DD5.9%・最大ポジション3。本シリーズの効率No.1
粉雪:健全度100点・最大ポジション4・SLあり・運用24ヶ月。堅実ナンピンの最上位
Maple18EURJPY/AUDJPY:PF約4・勝率90%・運用24ヶ月
「ナンピン=危険」が正しいなら、なぜこれらの優良EAは生き残っているのか? 自分で実装して確かめました。
まず、ナンピンの仕組み
逆行(含み損)したら、買い増す。150円で買って149.8円に下がったら、そこでもう1つ買う。平均取得単価が149.9円に下がり、少し戻れば全部まとめて利確できる。下がるほど買い増し、ちょっと戻れば勝ち——だから勝率がとても高くなる。これがナンピンです。
問題は「どこまで買い増すか」。ここが、生死を分けます。
なぜ"無限ナンピン"は必ず飛ぶのか(自作検証①)
まず、いくらでも買い増す「無限ナンピン」を実装しました(20pips逆行ごとに買い増し・SLなし・初期100万円)。

100万円がコツコツ増えて150万円に。美しい右肩上がりです。——ところがある日のトレンドで、積み上げた利益もろとも一気に全損しました。同じ条件で500口座を回すと、67%(3口座に2口座)が破産。無限ナンピンにとって、全損は"事故"ではなく"仕様"です。
生き残るナンピンとの違い=「最大ポジション数」(自作検証②)
では、堅実223本のナンピン18本は何が違うのか。データを見ると、答えは明白でした——最大ポジション数が1〜4と少ないのです(αは3、粉雪は4)。無限に買い増さず、数回で止めている。
そこで、買い増しの回数を制限したら破産確率がどう変わるかを検証しました。

結果は劇的でした:
無限ナンピン:破産67%
最大10ポジ:47%
最大3ポジ:4%
最大3ポジ+SL:2%
1ポジのみ+SL(=ナンピンせず):0%
「買い増しを3回で止める」だけで、破産確率は67%→4%に激減します。さらにSL(損切り)を足せば2%。堅実223本のナンピン18本が「最大ポジ1〜4で買い増しを絞り、破産しにくい」かたちで生き残っているのは、偶然ではなくこの構造だったのです(18本のうち約半数はSLも併用してさらに守りを固めています)。
だから、見るべきは「手法名」ではなく「最大ポジション数」
ここが本記事の結論です。手法タグの"ナンピン"だけで判断すると、危険なものも優良なもの(α・粉雪)も、まとめて見逃します。
代わりに、商品ページで次の4点(とくに最初の2つ)を見てください。〔危険(避ける)→ 制御されている(検討可)〕の順です:
最大ポジション数:5以上〜数十 → 1〜4
SL(損切り):なし → あり
勝率:99%超でDD極小 → 5〜8割
平均損失 vs 平均利益:損失が何倍も大きい → 同程度
最大ポジション数が数十で勝率99%・DD1%なら、それは第3回で見た「利確の鉄人STAF(最大ポジション95)」型=時限爆弾。最大ポジション数が3でSLありなら、αのように「制御されたナンピン」かもしれません。
結論:ナンピンは「無限か、数回で止めるか」で天と地
避けるべき:最大ポジション数が多い(5以上)・SLなし・勝率99%でDD極小の「無限ナンピン」。67%が破産する構造
検討の余地あり:最大ポジション数1〜4で買い増しを絞り、損益比が健全な「制御されたナンピン」(SLがあればなお良い)。堅実223本に18本実在し、αのように効率トップのものもある
判断の軸:手法名(ナンピン)で脊髄反射的に避けず、最大ポジション数とSLで"無限か制御か"を見抜く
「ナンピン=悪」ではありません。"歯止めの無いナンピン"が悪いのです。この1点が、今回いちばん持ち帰ってほしい視点です。
次回の事典は、スキャルピング ― なぜ"デモでは無敵"のスキャルEAが実口座で負けるのか(スプレッドの罠)を、これも自作検証で扱います。
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