
なんと学芸員は展示室にはいないのです
最近SNS(というかX)を見ていると、話題の美術展をきっかけに「並ぶ、並ばない」論争や、「撮影はどこまで許容すべきか(撮影可の展覧会なので主にマナーの点で)」「おしゃべりは是か非か」など色々な意見が飛び交っています。
火傷しそうなので、あまりそういう議論には飛び込まず眺めているだけなのですが、そこで気になったのが
展示室の学芸員がこういう対応をした
その場にいた学芸員はこんなことを言った
といったコメントが結構目に付いたことです。
「あー、やっぱりまだ美術館の学芸員は展示室にいる人だと一般的に思われているんだな」とわかりました。おそらく今このnoteを読んでいるような人はそうではないと思うのですが。
随分昔にすでにこのことについては書きました。
さらに、最初の書籍『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』(産業編集センター)でもそのあたりのことは語りました。
だから、自分の中では「もうこの話は十分したよなぁ」という気分だったのですが、まだまだ世間に伝えるまでにはいたっていなかったのだなと思い知ったわけです。考えてみれば、当たり前ですね。すいません、調子に乗ってました。
学芸員についての誤解と言えば、また少し話が変わるのですが、最近こんなことがありました。
私は現在は学芸員ではなく大学教員ですが、オープンキャンパスや大学祭などで本学の受験を考えている高校生やその親御さんと話をすることもあります。
そんな中で「将来学芸員というのもいいかな、と考えているんです」という娘さんとお母さんがいらっしゃいました。元学芸員としてはうれしい限りなのですが、現実も伝えなくてはいけません。
「学芸員になるためには、資格を取得するのはもちろん大学院まで進んで、修士号を取ることが必要になります。多くの美術館・博物館は公募条件に修士号以上とあります。もちろんすべてではないですけれど」
そうお伝えすると、「え、大学院まで行かなきゃいけないんですか……」と驚かれていました。そうですよね、普通そんなこと知りませんよね。
教員免許と似たようなイメージがあるのかもしれませんが(実習に行ったりたしかに似ているところはありますね)、小中高の教員を目指すのに比べると、学芸員は私から見てもかなり博打に近いものがあるので、誰でも彼でもおすすめするわけではありません。やりがいがあるし、楽しい仕事ですけどね。
まだまだマイナーな職業なのかな、と思ったSNSと現実の二つの出来事でした。ただそれだけのお話。