メインコンテンツへスキップ

展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.6

    美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです(前回の記事)。
    だんだん1項目1記事になってきて、進まない…(最初は3項目1記事でした)。

    全工程はこちら(↓)をご覧ください。

    12. 関連イベントを考える

    せっかくの展覧会だから、多くの人に来て欲しいと思うのが、担当者(学芸員)の素直な気持ちです。

    そのために、重要となるのが催し物です。
    展覧会の会期中に、関連イベントを開催するのです。

    一番オーソドックスでハードルが低いのは、学芸員によるギャラリートークですね。
    展覧会を担当した学芸員が、日時を決めて展示室をめぐりながら解説を行います。
    予約不要で、たまたま居合わせた人でも参加OKなので、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

    ギャラリートークに関しては、別の記事で触れたことがあるので、よろしければご覧ください。

    何年か前に、Twitterの学芸員界隈(めっちゃせまいな笑)で議論が巻き起こったことがあります。「学芸員は名前を出すべきかどうか」問題です。(中略)

    よく美術館でギャラリートークという催しがありますよね。展覧会を担当した学芸員が、お客さんをあつめて、展示の解説をするというものです。

    でも、広報に出る情報としては、多くの場合「担当学芸員が解説をいたします」みたいになっていて、なぜか学芸員の個人名が出ないのです。不思議ですよね。

    「学芸員は美術館の「中の人」?いやいや、名前を出してなんぼでしょ!」

    ***

    外部からゲストを招待してイベントを行うこともあります。
    存命のアーティストを扱う展覧会だったら、アーティストご本人に来てもらい語ってもらうのも良いですね。
    展覧会テーマに関連の深い研究をしている研究者を招いて、講演を行ってもらうこともあります。

    力を入れている展覧会だと、複数人のゲストを集めてシンポジウムを行う例もあります。

    また、実際に参加者が手を動かすワークショップも人気です。
    アーティストと一緒に何かを作ってみる、とか、展示作品で使われている技法を体験してみよう、とか。
    お子さんを対象にして行うイベントの場合もあります。

    最近、話題になったもので言えば、学芸員たちのラップバトルトーナメント(笑)。よくそんなの思いついたな…。

    ***

    イベントにはいくつか期待される効果があります。

    一言でいえばもちろん集客効果なんですけど、それをもう少し分解すると

    1. スタートダッシュの起爆剤

    展覧会の初っぱなに、話題になるイベントを持ってくるという手があります。
    最初にある程度お客さんに来てもらえると、そこから客が客を呼び、会期全体を通して客入りが好調になることが期待できます。

    2. なかだるみ防止

    みなさんも心当たりがあると思いますが、展覧会って始まった時と会期終了まぎわは比較的人が来ます。
    興味がある人はまっ先に来てくれますし、逆に行こうかどうしようか迷っていた人は最後に駆け込みで来てくれますから。
    というわけで、会期の中盤がどうしても来館者数は落ち込みます。イベントをそうした時期にもってきて、なかだるみをなるべく防ぐという方法があります。

    3. ご新規さんの開拓

    イベントを明確にターゲットを絞ることができます。
    たとえば親子向けイベントとか。そんなイベントでも無ければなかなか美術館に足を運ばないような人でも、この機会に美術館を体験してもらうことで、心理的ハードルが下がりますから、そのうちの何割かでもリピーターになってくれればなぁと期待しています。

    ***

    とにかくですね、美術館はどんなに展示内容に自信があっても、まずは一度足を運んでもらえなくては始まりません。そのためのイベントなのです。
    というわけで、広報物(チラシ)にもイベント情報をしっかり載せて、ホームページやプレスリリースなどでも告知していくのです!

    つづく


    美術館の舞台裏のさらに裏の話は、ときおり限定記事で配信中。
    興味のある方は「オトナの美術研究会」まで!


    あなたへのおすすめ