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展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.22 記録をのこす

    美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナー、いよいよ最終回です。

    ■前回の記事(↓)

    ■全工程一覧はこちら(↓)をご覧ください。

    36. 事業報告書を作成する

    展覧会も無事おわり、作品をすべて片付け、お借りしていた作品はきちんと返却し、基本的にこれで一つの展覧会は完全に終了します。

    ただ、場合によってはもう一仕事ある場合があります。

    その展覧会が外部から助成金を受けていたり、企業から後援を受けていたりすると、展覧会終了後にきちんと報告書を提出しなくてはいけません。

    事業報告書の形式は、提出を義務づけている団体によって異なりますが、やはり国(おもに文化庁)から助成金を受けた時が一番綿密な報告書を要求されます。

    どんな内容をまとめるかというと、まず収支決算ですね。
    展覧会執行にあたり、どのような支出があったのか、各費目の金額と総額。すべての発注書や請求書の写しを添付しなくてはいけないことも。
    そして売り上げはどれぐらいになったのか。入館者収入、図録その他の売り上げなど。
    支出と収入の差額をどのように埋めたのか。助成金のほかに、自己資金をいくら費やしたのかなど。

    こうしたお金のことに関しては、学芸員は専門外ですから経理に強い担当者が事務方にいるのが理想なのですが、そんな人がいない時は学芸員が脳みそをショートさせながら数字とにらめっこします。

    報告書はほかに、展覧会の入館者数、その内訳、アンケートなどで計測した満足度評価などもまとめます。
    それから成果物として、チラシ、ポスター、図録なども提出する必要があります。

    お金を出してもらった以上、きちんと結果報告をするのは当然のことです。

    でも正直、この報告書作りは学芸員にとってかなりの負担になります。助成金の額によってはこの負担に見合わないと判断せざるを得ないこともあり、申請を見送ることもあります。

    37. 展覧会の記録をアーカイブとして残す

    展覧会は終わってしまえば、もう姿形もありません。だから自分たち(美術館)のためにもきちんと記録を残しておかなくてはいけません。

    アーカイブとかっこいい言い方をしますが、形はいろいろですね。

    まずアナログなところでは、展覧会準備のためにかき集めた資料、調書、展示図面など紙資料をファイリングします。
    美術館によってやり方は異なるでしょうが、基本的には展覧会ごとにまとめることが多いと思います。
    学芸員が後から振り返る時も、「あの展覧会ではどうやって展示したっけ?」みたいに展覧会と記憶がひもづいているからです。

    データベース上でも記録を残します。収蔵作品であれば、作品ごとのデータに「いついつの展覧会に使用した」という記録を追加しておきます。
    こうした担当した学芸員以外でも、データベースを見れば作品の展示履歴がわかるようになります。

    外部の人にも見えるアーカイブとしては、美術館が発行する年報にも展覧会の実績を一通り載せます。

    展覧会の概要、会期、出品した作品のリスト、行った関連イベントの内容、入館者数などをまとめて公表します。この編集も学芸員の仕事の一つです。

    せっかく苦労してやり遂げた展覧会ですから、きちんとアーカイブにすることで美術館にとっての貴重な財産とするのです。後々、これが役に立つんですよね。

    ***

    いかがでしたでしょうか。「展覧会ができるまで」シリーズはこれにて完結です。
    日頃当たり前のようにやっている仕事も、細かく書き出すとこんなに膨大になるんだな、と自分でも驚きました。
    おかげで完結までにえらい時間がかかってしまいました(笑)。


    ■過去記事のバックナンバーはこちら(↓)から


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