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Photo byエドゥアール・マネ / メトロポリタン美術館

名画ってなんだ? 序章

    「名画」と言われて、あなたは何を思い浮かべますか。

    なかには古い名作映画を想像する人もいるかもしれませんが、ここで言っているのは名高い絵、優れた絵という意味で使われる「名画」という言葉の方です。

    「うーん、急にいわれても」ととまどう人もいるでしょう。ではいくつか実際の作品を挙げてみるので、それぞれの作品が名画といえるかどうか判断してみてください(すべてパブリックドメインとなった作品画像を使っています)。

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    《聖母子像》ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ(イタリア)
    1290-1300年頃(ゴシック時代)、メトロポリタン美術館

    宗教画でありがたい感じはするけど、名画かと言われるとちょっと迷うかなぁ。でも名画だろうなぁ。

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    《リッタの聖母》レオナルド・ダ・ヴィンチ
    1490-1491年、エルミタージュ美術館

    ダヴィンチ!名画!文句なし!

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    《無原罪の御宿り》グイド・レーニ(イタリア)
    1627年(バロック時代)、メトロポリタン美術館

    名画っぽい!うまいし。

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    《村の若き女性たち》ギュスターヴ・クールベ(フランス)
    1851-1852年、メトロポリタン美術館

    名画かなぁ、なんとなく。クールベは聞いたことあるし。

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    《ダンスクラス》エドガー・ドガ(フランス)
    1874年、メトロポリタン美術館

    うん、名画!

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    《海辺にて》オーギュスト・ルノワール(フランス)
    1883年、メトロポリタン美術館、メトロポリタン美術館

    これも、名画!

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    《イア・オラナ・マリア》ポール・ゴーギャン(フランス)
    1891年、メトロポリタン美術館

    名画?うーん。ゴーギャンだし、名画になるのかな。

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    《ライオンの食事》アンリ・ルソー(フランス)
    1907年頃、メトロポリタン美術館

    名画とは違う気がする…。

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    《自画像》エゴン・シーレ(オーストリア)
    1911年、メトロポリタン美術館

    これも名画とは違う気がする…。

    すいません、勝手にみなさんの反応を予想してコメントを書いてしまいました。意見が違う人もいるでしょうが、当たらずとも遠からずでは?

    この結果から、なんとなく推測できる「名画」の条件は

    • ヨーロッパ美術

    • イタリア・ルネサンスから近代の印象派あたりまで

    • 著名な作家であること

    • 写実的な描写技術が高いこと

    このあたりではないでしょうか。

    さて、過去現在タイトルに「名画」と付く書籍は、山のようにあります。

    例えば1951年に、画家であり美術評論家でもある大久保泰が著した『西洋名画の話』(美術出版社)では、16点の名画が紹介されています。その作家を見ると、ジオット(ジョット)、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエル、ティチアン(ティツィアーノ)、ヴェラスケス、レンブラント、ダヴィッド、ドラクロア、コロ―、クールベ、モネ、セザンヌ、マチス、ブラック、ピカソ。

    また、現在刊行されているものとして『世界の名画 名画にまつわるエピソードから巨匠たちの生涯まで。』(メイツ出版、2010年)では、「これだけは見ておきたい、知っておきたい世界の名画&画家」として、ゴッホ、モネ、ルノワール、マネ、セザンヌ、ミレー、ダ・ヴィンチ、ルーベンス、フェルメール、ドガ、ピカソが挙げられています。

    子供向けの本で言うと『小学生のための「世界の名画」がわかる本』(メイツ出版、2018年)では、「誰もが知っているこの画家・この名画」として、ダ・ヴィンチ、ゴッホ、ルノワール、モネ、セザンヌ、マネ、ミレー、ピカソ、葛飾北斎、歌川広重の名前が並んでいます。

    きりがないので、ひとまずこれぐらいにしましょう。

    やはり名画と言われて私達がしっくりくる条件としては、先ほど挙げたうちの

    • ヨーロッパ美術

    • イタリア・ルネサンスから近代の印象派あたりまで

    • 著名な作家であること

    が多くの場合、あてはまるということになります。また「写実的な描写技術が高いこと」は、絶対条件とは言えないようです。

    私達が絵を見て、その良し悪しを判断する基準には、どうやら西洋美術史の価値観が影響しているようだ、ということが何となく分かりますね。

    なぜ、東洋の島国に住む私たちの美の基準に、西洋の価値観が入り込んでいるのか。次回、掘り下げてみたいと思います。


    バックナンバーはここで一覧できます(我ながら結構たくさん書いてるなぁ)。


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