メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ふみまるは遊びじゃねぇんだよ

    ふみまるというハムスターがチーズを食べながら走る横スクロールアクションゲームをやっている。

    これがなかなかにシンプルながらに沼ってしまう。

    かわいい。かわいいのだが、このゲームのランキングは魔境だ。

    製作者の心野けいか氏はこう語っていた。

    「AIが導き出した理論値上の最高スコアは1549mである」と

    ちなみに今の最高スコアは1643mだ。AIさん・・・?

    その最高スコアを出しているリンファ氏はプレイするたびに理論値を超えていく。


    それともうひとつ、ランキングの2位もリンファ氏だ(!?)

    私はこの出鱈目なランキングを見てこのシーンを思い出した。

    画像
    『あかね噺』第4巻26席より引用

    どう考えたってレベルがおかしい。アマチュアの世界をプロが荒らすべきではない。

    リンファ氏曰く

    「キーボード操作だと着地からジャンプまで数フレーム短縮できる」
    「赤チーズを取った後のダッシュの距離次第ではリセットを考慮する」

    との事だ。あまりにも、ふみまるガチ勢すぎる。
    ここはお前が来ていい場所じゃないぞリンファ


    そもそもチーズを取ると加速するってのがどうなんだ。普通に考えたらチーズを食べた方が減速する方が物理学的にも正しいだろうが!!

    そんな事を考えながら一人「ふみまる20秒ラン」に興じる38歳

    遊んでいるうちに思考が飛んだ。

    そもそもネズミやハムスター=チーズって法則は一体なんなんだ。

    日本のハムスター代表といえばハム太郎だ。公式プロフィールによると、ほっぺにヒマワリのタネを25こ入れておけるらしい。
    チーズの「チ」の字もない。

    そもそもヒマワリのタネ25個程度でイキらないで頂きたい。

    ふみまるはゲーム内で実に28個のチーズを食べる。20秒間にだ。
    これは1秒間に1.4個のペースである。
    しかも驚くべきは走りながらだ。ふみまるは1600mを20秒で走る。
    これは換算すると時速288kmだ。

    つまり、ふみまるは時速288kmで駆けながら1秒間に1.4個のチーズを食べる。バケモンじゃねぇか。


    2000年の冤罪

    2006年、イギリスのマンチェスター・メトロポリタン大学のデヴィッド・ホームズ氏が、ネズミに色々な食べ物を選ばせる実験をした。ハムスターも同じネズミ目の仲間なので、他人事ではない。
    Scientific Americanのインタビューから、結果をざっくりまとめるとこうだ。

    ・ネズミが好きなのは、穀物やドライフルーツ、チョコのような甘い物
    ・匂いの強いチーズには、鼻をそむける
    ・お腹が空いていても、チーズはほぼ最後の手段

    好きどころか、嫌い寄りだった。
    ここまではまあ「へえ〜」で済む。問題はこの研究の資金である。

    出したのは、イギリスの青カビチーズ「スティルトン」の生産者協会だ。

    そしてホームズ氏が、ネズミが鼻をそむけるチーズの例に挙げたのがスティルトン。

    「スポンサーの商品はネズミも食わない」
    これはマーケティングとしてアリなのだろうか?

    協会がどんな結果を期待して研究資金を出したのかは知らないが

    「ネズミもうちのチーズに夢中ってことで・・・」

    という狙いがスティルトン側にあったのであれば、研究回答としては完全に狙いとは真逆の事実を突きつけている。

    忖度ゼロ。研究者の鑑である。
    ちなみにホームズ氏の本業は、犯罪心理学と犯罪分析らしい。ネズミの冤罪を晴らすのは、ある意味で本業だったのかもしれない。


     犯人はいつからいたのか

    じゃあ、なぜネズミはチーズ好きにされたのか。
    ホームズ氏の説はこうだ。冷蔵庫がない時代、食料庫には穀物やパンと一緒にチーズが置いてあった。忍び込んだネズミがそれをかじる。それを見た人間が「ネズミはチーズを食う」と思い込み、芸術家や漫画家が「パッと見て分かる絵」として描き続けた。

    ではトムとジェリーあたりが犯人か
    ……と思ったら、もっと古い記録があった。

    約2000年前、ローマの哲学者セネカが友人に宛てた手紙に、こんな屁理屈が出てくる。

    「ネズミ」は音節である。ネズミはチーズをかじる。ゆえに、音節はチーズをかじる。

    ルキウス・アンナエウス・セネカ『ルキリウスへの倫理書簡集』より引用

    言葉遊びで人を煙に巻く当時の論法を、セネカがバカにするために出した例だ。(このエピソード自体は凄くレトリックに富んでいて面白いのだが、私の筆力ではこの面白さを言語化出来ない。気になる人は原典をチェックしてほしい)

    注目してほしいのは真ん中の一文。「ネズミはチーズをかじる」が、説明不要の前提として使われている。
    2000年前の時点で、もう常識だったのだ。

    ハム太郎はネズミである。ネズミはチーズをかじる。ゆえに、ハム太郎はチーズをかじる。

    ……いや、かじってるイメージがない。

    セネカ、話が違うぞ。

    ネズミは2000年間、本人の好みとは関係なく「絵になるから」という理由でチーズ好きにされてきた。冤罪である。それも2000年もの。


    それでもハムスターは走る

    というわけで「ネズミやハムスターはチーズが好物」というのは紛れもない誤謬だったわけだが、私はふみまるを責める気はない。
    ヒマワリのタネを1粒ずつほっぺに詰めるハムスターより、でかいチーズにかぶりつきながら走るハムスターの方が、どう考えても絵になる。

    人間は2000年それを優先してきたのだから、ふみまるはただの被害者である。

    ちなみにセネカは、さっきの屁理屈のすぐ後にこう続けている。

    仮に私がこれを解けなかったとして、その無知のせいで、私にどんな危険が迫るというのか?

    ごもっともである。
    ネズミがチーズを好きかどうか知らなくても、誰も困らない。

    マジで役に立たねぇ。そもそもこの記事が誰の役にも立たねぇ

    それではまた次回ッ!!


     
     
    書きたいことを書いて稼いでます。 これまで7つのnoteアカウントで失敗し情報商材に20万近くを費やした人間が辿り着いたnote副業の本質についてメンバーシップ中心に話しています。 Amazonアソシエイトとして、がらてあは適格販売により収入を得ています。

    あなたへのおすすめ