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魔女刈り ソシャゲ アマノ文筆クラブ

    大和政権の将軍、倭建命やまとたけるのみことは日本中を西へ東へ討伐してまわった。
    あまりにあちこちに行かされるので、私は父に嫌われているのだろうかと、愚痴をこぼしたという話が残っているくらいだ。

    倭建命といえば、草薙剣くさなぎのつるぎだろう。
    元は都牟刈之大刀つむがりのたちと呼ばれ、のちに天叢雲剣あまのむらくものつるぎ、さらに草薙剣と呼ばれるようになった剣である。
    倭建命が火攻めにあったときに、草を薙いで難を逃れたことからこの名が付けられたという。

    しかし、不思議である。

    天叢雲剣という、素戔嗚尊すさのおのみことから伝わる名前があるのに、
    たかが草を薙いだ程度で草薙剣などという名前に変えるだろうか?
    草を刈って名前がつくのは草刈機くらいなモノだ。

    ここで一度、当時の倭建命の状況を整理してみる。

    倭建命の侵攻に抗っている地方の豪族の立場で考えてみる。
    ついに倭建命を追い詰め、いよいよ火攻めで亡き者にしようとしているとする。

    これまでに倭建命率いる大和政権軍によって、多くの同胞が打ち取られた。
    人質を取られて、裏切らざるを得なかった同胞もいたかもしれない。
    この戦いに敗北すると、良くて大和政権に絶対服従を誓うか、征服の尖兵として捨て使われるか、一族郎党皆殺しだろう。
    大和政権のいつものやり方だ。

    そんな状況で、やっと追い詰めた倭建命が潜んでいる草原や藪に火を放って終わるだろうか。
    火をつけたとはいえ、倭建命を確実に倒せるかどうかはわからない。
    倭建命は迎え火をつけて火攻めから難を逃れたという話もある。
    確実に息の根を止めるためには、火を放つだけでは終われないはずだ。

    きっと、自軍で包囲するはずである。
    火攻めとは、火を放つだけではない。
    文字通り、炙り出すのだ。

    そのとき、倭建命は何を切るだろうか。

    そう、攻めてきた敵を斬るはずである。
    悠長に燃える草を刈っている暇はないはずである。
    しかし、このとき倭建命は絶体絶命の危機に陥っている。
    藪に潜まなければならないくらいに追い詰められている。
    恐らく、敵を斬るよりも逃げることを選んだだろう。

    では、なぜ草を切ったということになっているのか。
    燃える草を切って退路を作ったのだろうか。

    ここで、草とは何かについて考えたい。

    まず、当時は人とはいわゆる大和政権の限られた人たちを指す言葉だったという前提を取る。
    平安時代まで時代が下がっても、人とは殿上人、つまり極一部の貴族階級だけを指していたのである。

    人とは殿上人なので、当然私の祖先は人ではない。
    あなたの祖先も人ではなかったかもしれない。

    では、人ではない人はなんと呼ばれていたのか。

    敵であれば、熊などと呼んでいた。
    熊襲などが良い例である。
    蜘蛛とも呼んだ。
    土蜘蛛と呼ばれた一族がいた。
    敵であれば、決して人とは呼ばなかった。
    呼び名を変え、蔑んだ。

    大和政権の一般の人は部民と呼んだ。
    民草という言葉を聞いたことがあるだろう。
    大衆を蔑むときなどに使う言葉だ。
    つまり、敵の民とは草だったのだ。

    倭建命は火攻めを逃れて、その敵側の一般の非戦闘員の人々の集落へ逃げ込んだのだ。
    なぜなら、自領の民には火を射かけられないからだ。

    そして、倭建命は逃げ込んだ先の民草を斬って逃げ延びたのだ。

    普段は農耕に従事していた人たちかもしれない。
    狩猟を生業にしていたのかもしれない。

    その民草を斬って斬って斬りまくって、倭建命は命からがら逃げたのだ。
    当時としても、褒められたことではなかっただろう。
    それでも、そうせざるを得なかったのだ。

    だから、それまで天叢雲剣という名前だった剣が、草薙剣という名に変わったのだ。

    この名には、倭建命の自戒も込められているのかもしれない。
    非戦闘員を斬ったという不名誉な行いの記憶として。

    現在、草薙剣は熱田神宮に祀られている。
    熱田神宮はとても大きな神社で、全国的によく知られている神社の一つだ。

    大和政権はなぜ草薙剣を、ここまで丁重に祀らなければならなかったのか。
    三種の神器でも別格の扱いになっているように見える。

    これは、大和政権が草薙剣の祟りを恐れたからに他ならない。
    祀ることで、祟りから逃れようとしたのだ。

    これも大和政権のいつもの手だ。
    暗殺して祀った。
    奪って祀った。
    祟りを恐れ、丁重に祀った。

    歴代の為政者も熱田神宮を丁重に扱っている。
    彼らは知っていたのだ。
    大和政権に殺された一般人が祀られていることを。
    恨みを持った神を祀っていることを。

    熱田神宮の作りは、完全に怨霊を祀っている神社の作りになっている。
    参道は一の鳥居をくぐると、すぐに左に湾曲している。
    参道の途中には橋がかけられている。
    本宮は参道からずらして建てられている。
    全て本殿に祀っている怨霊の脱出を防ぐための作りだ。

    ここまで厳重に祀らなければならない理由は一つしかない。
    草薙剣は呪われた剣なのだ。
    天叢雲剣の名前を変えなければならないほど、恨まれるようなことをやってしまったのだ。
    やはり、非戦闘民くさを薙いだ剣なのだ。


    という妄想をしながら、延々とガチャを引き続けた。

    課金して課金して、やっと草薙剣を引いた。
    これで、ザコ無双ができる。
    このゲームでは、草薙剣はザコ特攻の効果を持つ。
    だって、草薙だから。

    よし、これで今回のイベントの目玉が取れた。

    次は都牟刈之大刀ならぬ、まど○ギコラボの魔女刈りの鎌ガチャだ。


    下記企画に参加させていただきました。

    最後までお読みいただきありがとうございました。



    先日、熱田神宮に参拝してきたので、こうなってしまいました。
    とても静謐で立派な神社でした。

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    一ノ鳥居。鳥居の先で参道が左に曲がっている。
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    三ノ鳥居。本宮は参道から向きをずらして建てられているのが見える。
    本宮は見事に南面していた。
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    参道に掲示してあった草薙剣の由来。
    「天叢雲剣で難を逃れた」ではいけなかったのだろうか。

    お題回収が雑でごめんなさい。


     
     
    基本的に何か作るのが好き。おいしいものが好き。色々なことを分解して考えるのが好き。不思議なことが好き。これまでに身につけたことを使って、新しいことをやるのが好き。好きなことを共有したくて、noteを始めました。AIと思われるコメントへは返信致しません。

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