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アメリカ人、電話切るの早すぎ問題

    わたしには、疑問だったんです。

    アメリカ映画を観ていると、電話で話しているときに、自分の言いたいことを言い終えたら、すぐにガチャっと電話を切るシーンを結構な頻度で見かけませんか。またね、とか、じゃあね、といったさよならに当たる言葉をなんにもかけずに、ガチャっと。

    電話切るの、早すぎへん?
    実生活でもアメリカ人はあんな風に電話をぶった切ってんの?

    まずは、みなさんにわかりやすい例をお見せしたい。そう思って検索してみたら、まさにこれ!という動画を見つけました。

    見事にみんな言いたいことを言い放ったら、そのまま電話を切っています。

    わたしの感覚では、電話を切るときは、必ず別れの挨拶をします。日本に限らず、どこの国でもそういうものだと思っていました。

    もう少しいうと、日本では電話でのマナーも細かくて、目上の人が受話器を置くまで待ってから切るべしといった暗黙のルールまであるくらいです。相手との関係性もありますが、ブチっと一方的に電話を切るのは失礼にあたるかもしれません。いずれにしても、電話を切るときは、「それではこのあたりでそろそろ…」とお互いに確認しあってから受話器を置くもの。

    そんな感覚からすると、アメリカ人の電話の切り方はちょっと乱暴に映ります。

    サヨナラに当たる言葉がなくても、例えばこんな言葉があれば、まだわかります。会話を終えようとしていることが伝わります。

    I have to go.(もう行かなきゃ)
    I'll call you back later.(後でかけ直すよ)

    でも、冒頭の動画の中には、その先に相手からの返答があってもおかしくないところで、なにも言わずに受話器を置いているシーンがいくつもあります。あれ、実は聞こえていないだけで、受話器の向こうで相手が一所懸命なにか言っているときもあるんじゃないの?

    アメリカに住むようになって、電話をかけたりかかってきたりすることが日常的にあります。

    わたし自身の経験をとおしてわかったことは、実生活では、映画の中ほどさっさと切る感じはないということ。特に、初めて話す相手の場合は、さすがにもう少し丁寧です。会話の締めくくりにあたる言葉がちゃんとあります。

    ”It was nice talking to you. Bye!”(話せて良かったよ、またね!)
    ”Have a good day!”(良い一日を!)

    そして、”Bye!” とか ” You, too!” など、こちらから返す一言を聞き届けてから電話が切れることの方が多いです。

    でも、関係性の近い相手だと、もう少しさっきの動画の状況に近くなります。

    うちのアメリカ人の夫を例に挙げます。

    彼はわたしに対して、サヨナラなしで電話を切ることはありません。でも、切るタイミングは明らかに早いです。

    ”Ok, talk to you later, bye!” ガチャ。
    ”I love you!” ガチャ。
    "See you!" ガチャ。

    こうした彼の言葉に通常のスピードで反応していると、わたしが "bye!" と返しているときにはもう電話は切れてしまっています。こっちの "bye!" をどうしても夫に聞かせたければ、食い気味に答えるしかありません。

    ちなみに、夫は義理の母との電話を切るときも、バイと言ってから、同じように高速スピードで切ります。その直後に義母がなにか言いかけたのに、そのタイミングで夫が電話を切ってしまったという場面を何度も見たことがあります。

    「お義母さん、なにか言ってはったで。切るの早すぎるよ」

    とわたしがたしなめても、夫の答えはこうです。

    「いや、もう "bye" って言ったからいいんだよ。そこからまた向こうが何か言うのを待ってたら、永遠に電話を切れないだろ」

    アメリカ人(というかうちの夫)ってドライ。気持ちいいくらいドライ。ちなみに、こういうとき、夫は義母にかけ直したりしないし、向こうからかかってくることもありません。お互いこれで問題ないんだね。

    つまり、まとめるとこういうことです。

    会話をキャッチボールだとすると、最後の一言は投げきるスタイルです。相手から返ってくるボールを待つ態勢にはなっていません。それどころか、ボールが自分の手を離れた瞬間に、キャッチボールはおしまい。相手がそれを受け取るところも見届けずに、ましてやボールを返してくることなど全く構わずに、さっと背中を向けて帰っていく。

    普通の日本人なら、こう思うかもしれません。

    なにこの置いてけぼり感。
    さっきまであんなに楽しく会話してたやん。
    楽しかったやん。

    でも、安心してください。他意はないはずです。ただ、別れるときの粘着性が違うだけです。わたしたち日本人の別れ方は、夏の湿気のようにちょっとねちゃっとしているんです。アメリカ人は、大陸性気候です。カラッとしています。

    さっきの動画の冒頭に、こんな言葉が表示されていました。

    Being in the movies means never having to say "Goodbye".
    Especially when you hang up the phones.
    【訳】
    映画の中では、「さようなら」と言う必要などない。
    特に、電話を切るときは。

    結論。アメリカ人は電話を切るのが早い。映画の中ほど早くはないけど、やっぱり早い。


    ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

    《アメリカ生活で気づいたことを書いた記事》

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    アメリカ在住ライター。元国家公務員。アメリカ人と国際結婚し、渡米9年。日本とアメリカ、ふたつの社会を知るからこそ見える暮らし・子育て・文化について書いています。小学生二児の母。趣味はピアノとブラジリアン柔術。

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