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【詩】雪あかり

    陽炎に歪む景色の向こうにも
    面影は探しあてられず
    過去の熱は湯呑みの中の
    揺らぎほどの手応えもない

    冷え切った掌をあたため
    触れるものの輪郭は
    冬の手ざわり

    指先はずっと
    冬を焦がれていた

    たよりなく一匹の蜻蛉
    傷つき欠けた翅を震わせ
    夏の終わりの黄ばんだ太陽を背負い
    ひとすじに積乱雲に挑んでいく

    はりつめた透明の薄ら氷
    透きとおった翅は自らの熱にゆるみ
    雷鳴に砕け散らされた

    もう秋へと傾斜した
    空から降りしきる夏の残骸
    流れる季節に静かに漂う
    ときの結晶

    やがて雪のかけらとなって
    りんりんと鳴りながら
    私の底を白く照らせ

     
     

    久海

     
     
    久海(くみ)と申します。 四半世紀ぶりにことばと向き合い、詩を書くようになっていました。感情に名前を与えることで、人は自分の輪郭を取り戻せる。モヤモヤしているけれど言葉にできない、そういうなにかの輪郭をそっとなぞることができたらと思います。

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