
Interview|333(サンサンサン)

不思議なほど気が合い、人生の波まで重なった。そんな偶然とも必然とも思える巡り合わせから生まれたのが、Nakanoまる(Vo/G)、和木マドカ(G)、マリコ・サマー(Dr)からなる333(サンサンサン)だ。THE LET’S GO’s、THE TOMBOYS、Voo Doo Coo⎯⎯異なるバンドでキャリアを重ねた3人が鳴らすのは、最高にハッピーで、どこか切なくもあるロックサウンド。
2025年3月3日の結成以来、精力的なライヴ活動と並行して1st EP「LUCKY NUMBER」、2nd EP「燦燦」を発表。今年8月にリリースした3rd EP「おれんじ・にゅ〜・さまー」は、加速するバンドの“今”を鮮やかに封じ込めた快作だ。
先月の同作リリースパーティでは、2027年の結成記念日に渋谷WWWでワンマン公演を行うことを発表したばかり。さらなる飛躍への期待が高まるなか、VAMP!が333に初インタビュー。運命的な結成の舞台裏から、Nakanoまるの天性の歌声と和木マドカの燃えるようなギターがせめぎ合う新作の製作過程、バンドの未来図、10月14日に初出演するCHICKS RIOT!への意気込みまで、3人の現在地に迫った。
Member:Nakanoまる(Vo/G)和木マドカ(G) マリコ・サマー(Dr)Interview/Text:Ayumi Tsubouchi
Photo:大貫卓也
偶然が必然に変わった日⎯⎯333、運命の結成ストーリー
⎯⎯THE LET’S GO’s、THE TOMBOYS、Voo Doo Cooでそれぞれ活動していた3人が、333を結成するまでの経緯を教えてください。
マリコ・サマー(Dr) THE LET’S GO’sを脱退したあと、次は自分でゼロからバンドを始めたいと思うようになったんです。それまで途中加入しか経験がなかったし、以前まるちゃんに「次は自分で新しい場所を作ってみたら?」と言われたことがずっと心に残っていて。ドラマー募集にも惹かれなかったので、まず、ずっと一緒にやりたいと思っていたまるちゃんをご飯へ行った時に誘ったんですよ。そうしたら「いーよー、やろー!」って即答で(笑)。
Nakanoまる(Vo/G) 言った本人は全然覚えていなかったけど(笑)、私もソロで活動しながら、ずっとバンドをやりたいと思っていて。以前、私のサポートにマリちゃんとマドちゃんが入ってくれた時、この3人で何かできたら面白そうだなって感じていたんですよ。
マリコ・サマー 次に頭に浮かんだのがマドちゃん(和木マドカ)。THE TOMBOYS解散後、ひとりでギター漫談を始めようとしていたから、本格始動する前に誘わなきゃって(笑)。2025年の年明けに3人で新年会を開いて、そこで切り出すことにしたんです。THE TOMBOYSをやり切ったと思っているかもしれないし、ソロのギター音源も作りたいと言っていたから断られるかもしれないけどって。
Nakanoまる 誘う前にあった方がいいと思って、私は待ち合わせの直前に10曲ほどデモを送って(笑)。自分のファンクラブだけで公開していた曲があったんですよ。
マリコ・サマー 結成前から10曲デモがあるなんて凄いこと。これでマドカを落とせるって確信して(笑)。
和木マドカ(G) 私はまたサポートを頼まれるのかなと思っていたんですよ。THE TOMBOYSを辞めてしばらく経っていたし、もうバンドには縁がないのかもって考え始めていた時期でもあって。でも、まるちゃんのサポートでこの3人が演奏した時、本当に楽しかったんですよ。「この3人でバンドができたら」と思ったまま終わっていたから誘われた瞬間に、これは面白くなるぞって。
マリコ・サマー その日のうちに結成が決まり、バンド名も初ライヴの日程も会場も押さえました。全員ほとんど考える隙もなくすべて即決(笑)。
Nakanoまる 曲作りのために長野へ行ったり、初ライヴをした3月3日前日まで合宿をしたりしたね。
和木マドカ 結成時には、どれくらいの熱量でやりたいかも確認し合ったね。3人とも「めちゃくちゃやりたい」「これまでやったことのないことをしよう」って。そして3年後に恵比寿LIQUIDROOMでワンマンをしたいって盛り上がって。
Nakanoまる だから今はそこから逆算して、スケジュールを組んでいるんですよ。
和木マドカ 結成1年目の記念ライヴはこことか、具体的な話が始まったらマリコの鬼のプランニングが発動して、物事が一気に進んでいって(笑)。
Nakanoまる 元女バレのマリコ(笑)。
⎯⎯楽しさが溢れ出していますね。
全員 楽しかったー!
マリコ・サマー ワクワクしたね、今もしているけど。
和木マドカ また再びこんな熱量でバンドをやれているのが嬉しい。
⎯⎯バンド名は3人のイニシャルMを転がして3が由来なんですって?
マリコ・サマー そうなんですよ(笑)。
和木マドカ 最初は3人の名前にマが付くから「マママ」や「ザ・マママ」という案も出たけど、ちょっと違うなと(笑)。
マリコ・サマー 結成日に全員が偶然オレンジ色の服を着ていて、「太陽みたい」「燦々としている」と話しているうちに、3人だから3が3つ。
Nakanoまる しかも全員イニシャルがMだしねって感じだったね。
⎯⎯結成の経緯然り、バンド名でもいろんな重なりがあったのですね。
Nakanoまる うちら、前年も翌年も3人全員がひとりだった時期はなかったじゃん?
和木マドカ まるちゃん、Voo Doo Cooをやっていたしね。
Nakanoまる タイミングがズレていたら別のバンドを組んでいたかも。本当にご縁とタイミングが重なった結成だったね。
⎯⎯結成日に全員がオレンジの洋服だったというのも運命を感じさせますね。オレンジってそんなに被らないでしょう?
Nakanoまる 本当ですよ(笑)。うちらはいつもカラフルだから、モノクロの世界から脱却させたい。
マリコ・サマー 世の中をオレンジに染めたい。
和木マドカ 我々の目指す方向だ(笑)。


ポップ、ロックンロール、パンクが激突する⎯⎯3人で鳴らす333の音
⎯⎯「これまでにないことをやる」という意識の中で、音楽性はどのようにまとまっていったんでしょう?
Nakanoまる 最初はジャンルがない状態から始まったね。私が曲の骨組みを作るんですけど、完成度は3割くらい。残りの7割は3人で作っていますね。今のところ方向性を、私独自の表現で「ポップカルチャー」と呼んでいるけれど、最終的には333にしかない新しいジャンルを作りたいと思っているんですよ。
和木マドカ まるちゃんのデモをもとに、マリちゃんがドラムを組んで、私がギターを中心にアレンジすることがほとんど。ただ、まるちゃんから来るリクエストは「竜巻」「もっと強い女」「後ろから肩をポンポン叩いてくれる友だち」みたいな抽象的な言葉が多くて(笑)。
Nakanoまる どういう音かわからないけど、そういう言葉でしか伝えられない(笑)。
和木マドカ そのイメージを音にするまで、ラリーのように何度もやり取りをするんですね。1st EP「LUCKY NUMBER」はイメージを固めすぎずに作って、2nd EP「燦々」でバンドの輪郭が見えてきたという感じでしたね。
マリコ・サマー まるちゃんは「ギターと歌は戦っていてほしい」ってよく言っているね。歌声が強いから、支えるだけではなく、真正面からぶつかるギターが必要なんだって。
Nakanoまる ソロを長くやっていた分、私は「バンドって音同士が戦うことなんじゃないですか」と思っていて(笑)。それぞれの音が遠慮せずに主張しながら、曲としてひとつになるところに面白さを感じるんですよ。
⎯⎯3人は通ってきた音楽も異なりますもんね。
和木マドカ マリちゃんはパンク、私はロックンロール、まるちゃんはポップ。その違うカルチャーが押し合いへし合いしながら交わるのが333だなと思っていて。私はTHE TOMBOYS時代のガールポップからクーラ・シェイカーとかUKロック、それからガレージ、ブルースへと興味が広がっていきましたね。リフ重視のザ・ブラック・キーズも好きだし、吾妻光良さんの、底抜けに明るくて笑えるのにギターがものすごくカッコいい姿にも憧れる。
⎯⎯吾妻さんの音楽には漫談のような楽しさがあっていいですよね。
和木マドカ カッコいいのに笑っちゃう。本当にセンス。やりたいけど、できないーって。ブルースって結構「月曜ツラい」「お金ないー」とか歌うじゃないですか。
⎯⎯それ、333に通じていませんか。
和木マドカ まるちゃんのカッコつけていない感じ、だけど、特に絶望していない感じがいいし、ブルースに通じているなって。以前は作り込まれたロックンロールのカッコ良さを追っていたんですけど、今は素の自分で音楽をやりたい。333のポップさの中に、ブルース的な生活感やユーモアなんかもうまく入れられたらって思いながらやっています。
マリコ・サマー 私はSAやLAUGHIN’ NOSEのような男臭いパンクが原点ですね。その後、以前に在籍していたTHE LET’S GO’sを通して、女性ヴォーカルのロックンロールのカッコ良さを知って、まっすぐでメロディの良い音楽を聴くようになって。最近はnever young beachが好き。ジャンルを越えて良いものを聴きたいと思っています。333では以前の8ビート中心のスタイルから16ビートにも挑戦しているし、「こうじゃなきゃ」という枠にとらわれずに、何でも吸収していきたいなって。
Nakanoまる 私はバンドをやりたくて福岡から東京へ来たんですよ。BUMP OF CHICKENやRADWIMPSを聴いていたけど、そのきっかけはGOING STEADYとJUDY AND MARY。大人になってからは洋楽、特にWeezerがずっと好きで。だから、今はWeezerになりたいんですよ(笑)。暗い歌詞と親しみやすいメロディの組み合わせが、自分の好きな感じにぴったりで。
和木マドカ こういう感じで3人が違う場所から持ち寄るからこそ、333の音楽性には広がりがあるんじゃないかなって思っています。
▶︎1st EP「LUCKY NUMBER」より
▶︎333がセレクト! “333のポップカルチャー”プレイリスト

“333の夏”をパッケージした最新EP⎯⎯
濃密な対話から生まれた「おれんじ・にゅ〜・さまー」
⎯⎯この夏にリリースされた3rd EP「おれんじ・にゅ〜・さまー」では、333のサウンドがギュッと確立された印象がありますね。
和木マドカ パッとね。
Nakanoまる おにぎりみたいな作品です(笑)。
和木マドカ 333の夏の3曲をまとめた感じですね。
マリコ・サマー 前作ほど追い詰められはしなかったけど、3曲目に入っている「Like a Baby」の速い裏打ちには苦戦。速い曲は得意でも、速い裏打ちは難しくて心が折れそうになって。でも完成形を聴くと、カッコよく叩けていたんじゃないかなと思っています。
和木マドカ ワンマンに向けて速い曲を作りたかったんですよね。で、この曲は、まるちゃんからは「ジェットコースターみたいな曲だから、ギターもそうしてください」と言われたんですね。最初に入れたリフは「コーヒーカップっぽい」「歌と一緒にイエーイとしていない」と却下されて(笑)。でも最終的にはちゃんとジェットコースターを探し当てました。こういう比喩は難しいけど、バンドとしての正解を見つけた時には達成感がありますね(笑)。あと、これはヴァンパイア・ウィークエンドの影響も入っている曲です。
⎯⎯1曲目の「HENTEKO」はベーシストのヂーノさんと製作した曲をリアレンジしたものなんですって?
Nakanoまる 短編映画『マンガガールズ』のために作った曲だったんですけど、正式リリースはされていないし、333にも合う曲だから改めて録音しようと。333ではいつも壱さんというベーシストにお願いしているんですけど、この曲では元Voo Doo Cooのヂーノ君にベースを弾いてもらっているんですよ。
和木マドカ 元のアレンジは打ち込み、バイオリン、キーボードがたくさん入っているんですよ。333は「人力で再現できない音は使わない」と決めているので、ヂーノ君に当時の意図を聞きながら、3人で演奏できる形へアレンジして。彼から「ベースとギターだけでも踊れる場所は踊れる。隙間がある方が踊れるし、厚くするところだけ厚くすればいい」と言われたことで、我々は引き算を覚えたね。新しい人と作ったことで、奥にまた別の扉があることにも気づけました。
マリコ・サマー これをきっかけに、足すだけでなく、空間を作ることも意識するようになったね。
和木マドカ どんな方向へ動いても、最終的には333の音楽になる。そう実感できたことで、バンドの型を決めすぎなくても、ブレずに安心して製作できるようになったかなって。
⎯⎯2曲目「くっついて熱帯夜」は結成当初からあった曲なのですね。
Nakanoまる 1st EPに入れ損ねていて、今回ようやく収録できました。ライヴではずっと演奏していたんですけど、音源にするに当たってマドちゃんが苦しんでいたね。
和木マドカ 333はライヴと音源を別物として考えるバンドなんですよ。ライヴはその瞬間の熱、録音は何度聴いても飽きない記録として。すでにライヴで完成した曲を別の景色に変えるのは難しかったけれど、ずっと温めていたリフを入れてみたら、ふたりから「それ、全編に散りばめて」と言われて(笑)。まるちゃんの歌と言葉の隙間にギターを入れて、歌とギターが競り合うアレンジになりましたね。
Nakanoまる リフはいくつあってもいいって、マドちゃんが望んでいないところにもどんどん散りばめて。間奏やキメを作ったり、いったん壊して再構築していく作業が楽しかったね。
⎯⎯製作ではかなり細かく意図の確認を重ねていくんですね。
Nakanoまる マドちゃんが私の好きな感じでギターを弾いてくれていても歌メロとぶつかっていたら「なぜそのフレーズを弾きたいのか」を聞くんですよ。意図がわかったら、ギターを変えるんじゃなくて、私がメロディや歌詞を変えることもあって。構成やCメロも、意図に納得すればすぐ変える。曲のベストがどこにあるのかを、3人で探っていきたいんですよ。
和木マドカ この3人でなければ殴り合いになりそうなくらい濃密なやり取り(笑)。でも、まるちゃんが意図を知ろうとしてくれるから、私たちも意見を言いやすい。おかげで私はリフを無限に作れるようになったし、まるちゃんはメロディを無限に作れる人。マリちゃんは全体を見ながら演奏と活動を前へ進めてくれる。良いトライアングルができているんですよね。
マリコ・サマー バンドをやっている感が凄くあるよね。場面ごとに誰かが弱音を吐くこともあるけど、3人で刺激し合って、助け合って。それは音楽製作だけじゃなくて、バンド運営も同じ。
⎯⎯「おれんじ・にゅ〜・さまー」は作品全体としてはどういう位置付けですか?
和木マドカ 「くっついて熱帯夜」と「Like a Baby」は大きな会場でのライヴを想定して作った曲。空間を広く使える、少し壮大な仕上がりになっていますね。その一方で、最後は「Like a Baby」は爆速ナンバー。
⎯⎯次へ走り出すような曲「Like a Baby」で締め括られているのが印象的ですね。
マリコ・サマー 確かに。エンドロール感ないもんな。
Nakanoまる 1st EPのリリースからちょうど1年の総括でもあると言えますね。出演したラジオ番組でこの3曲を「青春・恋愛・人生」と表現してもらって、確かにそうかもって。
マリコ・サマー 「Like a Baby」が人生枠だね。
Nakanoまる めっちゃ良いな(笑)。
⎯⎯「Like a Baby」は人生観を歌いつつ、次の飛躍を宣誓しているようでもありますよね。
マリコ・サマー あ、確かに。うちらは結成時から目標を逆算して動いてきていて、来年には渋谷WWWでワンマン公演“HAPPY GO LUCKY”を予定しているんですよ。他にもいくつかプランがあるんですけど。
Nakanoまる そこへ向かう覚悟が曲から滲み出ているんだな(笑)。
和木マドカ 結成以降、いつ解散しても悔いないという勢いでずっとやっているよね。製作やライヴを重ねるほど、試したいことが無限に増えていく。いつも「今が一番楽しい」と思える状態です。これからも楽しい発表があるので、ぜひ期待していてください。
⎯⎯わかりました。ところで、近々のお楽しみといえば、10月14日のCHICKS RIOT!です! 最後に初出演の意気込みを聞かせてもらえますか?
マリコ・サマー まず、誘ってもらえたのが本当に嬉しくて。THE LET’S GO’s先輩とは脱退以降初めての再会になるから、恥ずかしくないライヴをしたいです!
Nakanoまる フライヤーのカラフルさから絶対楽しいがわかっちゃう。どのバンドにもモノトーンの人がいないでしょ(笑)。
和木マドカ THE LET’S GO’sはすでによく知っているバンドだし、QUINCAMPOIXとの対バンは初めてだけど、通ってきた道には共感するものを感じています。仲良しで終わるのではなく、良い意味でバトルする気持ちで挑みたい。みんなポップでありながら、内側に熱いパンクスピリットを持っていると思うから。観てくれる人が楽しめて、自分たち自身もカッコいいと思えるライヴにしたいです。
Nakanoまる 自分たちのありのままを出したいね。楽しみにしています!!!

インタビュー後の1コマ!
▶︎最新作3rd EP「おれんじ・にゅ〜・サマー」より
▶︎2nd EP「燦々」より


