
【日記】ティラノサウルスが喜んだ日
自分が歩いている姿をじっくり見たことがあるだろうか。わたしは今日、見てしまった。ちょっと長めの入院生活も、明日の朝で終わるのだが、ずっとベッドにいたせいで腰が痛い。その腰をかばいながらヨチヨチと歩く自分の姿が、完全にティラノサウルスだった。そしてわたしの短足が、ティラノサウルス化に拍車をかけている。
わたしの短足の起源は父方の祖母にある。わたし以上の短足を誇り、全日本短足連盟の名誉会長を務める祖母から父へ、そしてわたしへと短足は受け継がれてきた。このたび、わたしは三代目会長に就任することになった。現在、新規会員を募集している。
加入希望者はご一報ください。
【会費】
無料。
各自長年にわたりズボンの裾上げ代を負担しているため、会費は徴収いたしません。
※なお、入会後に短足ではないことが判明した場合、違約金として全会員の裾上げ代を一生涯ご負担いただきます。
【加入特典】
年一回、会長自ら会報誌『ASHIMIJIKA』をご自宅へ届けに伺います。
また、不定期開催の「短足ファッションアワード」へ無料でご招待。
【全日本短足連盟加入条件】
一、ズボン購入時、必ず裾上げを必要とすること。(一度でも裾上げなしで購入した方は加入条件を満たしません)
二、座高という言葉に古傷がうずくこと。
三、子ども用の椅子ではないのに、足が床につかずぶらぶらした経験があること。
四、体育座りであごを膝のうえに乗せようとしても、絶対に届かないこと。(頑張って届く場合は、加入条件を満たしません)
五、短足を恥じることなく、農耕民族の誇りと思って生きていること。
そんな三代目会長就任を知っていたのだろうか……。わたしは昨日賞をいただいた。
マイキーさん主催の企画「#エッセイしりとり」にて、『ただ、尻を顔にしたかっただけなのに』が、天界記録さん選出の『その視点なかったで賞』に選ばれたのだ。嬉しすぎる。丁寧に読み込んでくださったうえに素敵な選評までいただき……そりゃあ尻も浮くってもんよ。
わたしの尻が賞をとったのだ。四十年ずっと隠れていた尻がとうとう表舞台に躍り出たのである。感謝の意を込めて、ぜひみなさんにわたしの尻をお見せしようと思ったのだが、なんせずっとパンツの中にいる箱入り……いや、パンツ入り娘ですから。引きずり出そうと試みたが、恥ずかしがって出てきてくれなかった。ご期待に沿えず本当に申し訳ない。というわけで、喜びの声だけお届けしたい。
(アタシ、ウレシリ)
天界記録さん、素敵な賞を本当にありがとうございました。
そして、主催者のマイキーさんに関する驚愕の事実をお伝えしたい。
なんと「#エッセイしりとり」に参加した462人の618作品について、一つひとつ感想を書いた記事を公開されていた。その文字数、なんと20万字。『漢』である。こんなにも誠実でかっこいい主催者がいるだろうか。
わたしはこの夏ずっと入院していて、夏の思い出が作れずにいた。けれどマイキーさんのお祭りに参加したおかげで、楽しい夏の思い出ができた。マイキーさん、本当にありがとうございました。そして、審査員の皆さまもお疲れさまでした。
それからそれから、入院中、たくさんのメッセージやコメント、本当にありがとうございました。正直きつい日もありましたが、めちゃくちゃ励まされました。わたしには全国に友達がいるんだと思うと、(……エ、トモダチダヨネ…)とても心強かったです。あたたかい励ましを本当にありがとうございました。
というわけで、シャバに戻る明日から全日本短足連盟三代目会長として活動をはじめます。ティラノサウルス化しているため、まずは腰を治すところから。