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山が村にそっと黄色の波を運んできた

    カラマツがほんのり色づきはじめて、
    村に黄色の波がそっと届きました。

    雨上がりの午前中、役場へ向かう道すがら、
    霧が山肌をなでるように流れていくのが見えて、
    思わず足をとめる。

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    黄色く色づく唐松の森

    見上げると、急な斜面の森が、
    ゆっくりとこちらへ近づいてくるようで。
    「うわぁー」と、心の声が口からもれてしまうほどの迫力。

    黄色、橙、深い緑。
    色がにじみ合う景色を眺めていると、
    呼吸がゆっくりになっていきます。

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    村を包むような黄色の山裾

    ここは、日本でいちばん人口密度の低い村、檜枝岐(ひのえまた)村。
    人口は500人弱で、暮らす場所もぎゅっとひとところに集まっています。

    田舎の人って、どこでも車で移動するものだと思っていました。
    以前に住んでいた長野では、私もそうでした。
    でもこの村では、車で行くより歩いたほうがいいなと思う距離ばかり。
    引っ越してから、散歩をよくするようになった気がします。

    この村には、信号がひとつだけ。
    学校の前に立って、子どもたちの毎日を見守ってくれています。
    今日も一日、おつかれさま。

    山の美しさは、やさしさだけでできているわけではありません。
    冷たい雨の日もあれば、雪に閉ざされる長い冬もあります。
    その厳しさを受けとめながら、人はこの村で暮らしてきました。
    そのお話は、また今度ゆっくり書きたいなと思います。

    私は、山は「歩く場所」であるのと同時に、
    「立ち止まる場所」でもあるなぁと、いつも感じています。
    雄大の絶景、葉のひとひら、霧のゆらぎ、風のつめたさ。
    目をやるだけで、心がふっとゆるんでいきます。

    日常に戻ったあとも、
    少し肩の力がぬけて過ごせている自分がいる。
    そんな時間を、これからもお届けしたいなと思っています。

    もし今日、ほんの少し立ち止まれそうなら、
    深呼吸をひとつ。
    あなたの心にも、黄色の波が届きますように。


     
     
    福島・檜枝岐村、長野・野尻湖を拠点に活動する女性ハイキングガイド。 山や湖の自然、季節の移ろいを楽しみながら、自然と共に過ごす豊かさをお伝えしています。小さな発見や、自然の中で感じたことを、日々の言葉で綴っています。

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